猫に見られやすい『遺伝病』3つ 主な症状から発症しやすい猫種まで解説

猫に見られやすい『遺伝病』3つ 主な症状から発症しやすい猫種まで解説

猫にも遺伝によって起こる病気があるため、ペットショップで猫を飼うときは、親猫の病気を確認する事が大切です。 この記事では猫に多い3つの遺伝病についてご紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

︎1.骨軟骨異形成症

スコティッシュフォールド

骨軟骨異形成症とは

骨軟骨異形成症候群とは、関節の中でクッションの役割を果たしている軟骨が骨のように硬くなってしまう事で関節の動きが悪くなり痛みや動かしづらさを引き起こす病気です。

症状

この病気を発症すると、まず初めにジャンプをしたがらない、動きが少なくなるなどの症状が見られるようになります。重症になると、見た目にも関節が瘤のように硬く腫れ上がって変形し、関節の可動域が少なくなって歩きにくくなったり、痛みが発生したりします。

好発猫種

この病気は遺伝性の病気で、スコティッシュフォールドの「垂れ耳」と同じ遺伝子によって遺伝的に発症します。元々スコティッシュフォールドは、遺伝子の突然変異によって生まれた猫種であり、その突然変異した遺伝子が骨軟骨異形成症候群の遺伝子と言えます。

特に、両親共に垂れ耳のスコティッシュフォールドから生まれた猫は症状が重症になる事が多いです。

近年はスコティッシュストレートという、立ち耳のスコティッシュフォールドも存在しますが、立ち耳であっても両親のうちどちらかが垂れ耳の場合には、発症するリスクがあります。 

治療法

現時点で、猫の骨軟骨異形成症候群の根本的な治療法はなく、症状に合わせた対処療法やサプリメントによる関節のサポートなどが治療の中心となります。

近年、猫の変形性関節炎の痛みを取り除くために作られた「ソレンシア」という注射薬が、猫の骨軟骨異形成症候群の痛みにも効果を示す事が分かってきており、月に一回この注射を打つ事で痛みを取り除いて、元のように歩ける事もあります。

ただし、症状の程度や体形などにもより、すべての個体で効果が期待できるわけではありません。治療方針はかかりつけ医の先生と相談してみていただけたらと思います。

︎2.多発性囊胞腎症

ペルシャ

多発性囊胞腎症とは

多発性嚢胞腎症とは、腎臓に沢山の液体の入った袋である嚢胞が形成され、腎機能が低下する遺伝性の病気です。

比較的若い頃から嚢胞が形成され始め、徐々にその数と大きさが増加する事で腎機能の低下も進行します。

親猫のどちらかが、この遺伝子を持っているとその子供は50%以上の確率で発症する可能性が高いとされるため、この遺伝子を持った猫を繁殖で使わない事が大切です。

症状

個体差はあります腎臓は進行するまで症状が出にくい臓器です。そのため、初期にはほとんど無症状の事が多いです。

腎不全が進行すると、多飲多尿や元気消失、食欲不振や嘔吐などの症状が見られるようになります。さらに進行し、尿毒症と呼ばれる状態になると、激しい嘔吐を繰り返し、神経症状や痙攣が見られることもあります。

好発猫種

この遺伝子が多いのは、ペルシャ、アメリカンショートヘア、エキゾチックショートヘア、ヒマラヤン、スコティッシュフォールド、アメリカンショートヘア、ブリティッシュショートヘアなどです。

その中でもペルシャは最も多く、約40%の猫が多発性嚢胞腎症になっていると言われています。

治療法

現在、多発性嚢胞腎症の根本的な治療方法は残念ながらありません。よって多発性嚢胞腎症が見つかった場合にはなるべく正常な腎臓を長く保護する事が大切になります。

腎臓病用の療法食を食べたり、内服薬を使って腎臓を保護したり、多飲多尿によって失われた水分を点滴で補うなどの治療がメインとなります。

︎3.肥大型心筋症

メインクーン

肥大型心筋症とは

肥大型心筋症は猫で最も多い心臓病です。

肥大型心筋症とは、心臓の筋肉が分厚くなる事で心臓の内側の空間が狭くなり、全身に血液を送る力が弱くなってしまう病気です。

肥大型心筋症は、肺水腫、動脈血栓塞栓症などの致死的な病気に繋がることもある危険な病気です。

症状

最初に見られる症状としては、少し元気がない、疲れやすくなる、運動したり興奮したりすると開口呼吸をする、咳などがあります。

肺水腫や胸水貯留が起きると、かなり息苦しさは増し、安静時でも呼吸が苦しく開口呼吸をするようになります。

また、心臓内の血液がうっ血することで血栓ができやすくなり、その血栓が後脚の付け根の血管に詰まる事があります。この病気を動脈血栓塞栓症といい、血栓が詰まると猫は激しい痛みから大きな声をあげて暴れ、後ろ足は動かなく冷たくなります。

動脈血栓塞栓症は命に関わる病気なため、このような症状が見られた際には早急に動物病院を受診する事が大切です。

好発猫種

肥大型心筋症を発症する猫は、原因の一つとして、心筋線維に結合するタンパクの遺伝子に変異がある場合が多い事が分かっています。

好発品種は、メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘア、ペルシャ、ノルウェージャンフォレストキャットやスコティッシュフォールド、ブリティッシュショートヘアなどです。

しかし実際には混血猫も多くこの病気に罹患しています。特に親や兄弟など家族間で肥大型心筋症を発症した猫がいる場合には、定期的なエコー検査などで心臓をこまめにチェックする事が大切です。

治療法

肥大型心筋症は、弱くなった心臓の動きを補助しながら、動脈血栓塞栓症や肺水腫など命に関わる病気への進行を食い止める事が治療の要です。

肥大型心筋症による症状が出始めた場合には、強心作用、利尿作用、心拍数を抑える作用、血栓ができにくくする作用など、数種類の内服薬を組み合わせて治療を行います。

︎まとめ

アメリカンショートヘア

今回ご紹介した3つの病気は全て遺伝子検査が可能です。

猫を飼うときは親や兄弟に遺伝性疾患の猫がいなかったかを聞き、いた場合には早めに遺伝子検査を行う事で病気の初期症状を発見しやすくなります。

最近では繁殖時にあらかじめ親猫たちに遺伝子検査を行っている可能性が高いこともあります。愛猫にどのような傾向があるのか把握しておくことは大切です。

また、遺伝子検査を行い陽性だった場合には、その猫は繁殖に用いない事が、将来的に猫の病気を減らすためにも大切です。

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