1.トイレおよびその周辺を掘りがち

猫のホリホリ・スポットで真っ先に上がるのが、トイレおよびその周辺です。
どんなにかわいい飼い猫でも、ルーツをたどれば、猫の祖先・リビアヤマネコに行き着きます。つまり、野生の血がいまだに残っているということです。野生動物の掟は、自分の命を守ること。そのためには、危機管理が非常に重要になってきます。
猫がトイレの猫砂を掘るのは、うんちを隠して自分の匂いを消すためです。野生の現場でうんちを放置しておくと、匂いがまわりに漂い、天敵やライバル猫に自分の居場所がバレてしまいます。サバイバーにとっては、非常にリスキーな状況です。
穴を掘って、丁寧にうんちを収め、せっせと土(猫砂)をかけておけば、匂いの拡散を防げます。居場所も簡単には見つかりません。
律儀にトイレをホリホリして、我が分身(うんち)を隠すのは、野生動物としての名残です。豪快に塩を撒く力士のように、ときに愛猫が猫砂を派手に散らかしても、その野性に敬意を表し、大目に見てあげましょう。
2.モコモコ・ふわふわ素材を掘りがち

猫が穴を掘る場所は、トイレに限ったことではありません。毛布や布団、ラグなどの柔らかい布製品もヘビーローテーションになりがちです。
たとえば、寒い季節になると、就寝前に飼い主さんの布団に潜り込んで、必ずと言っていいほど毛布をホリホリする愛猫もいます。
実は、これもまた大昔からの習性であり、寝床を整えるための行動です。何よりも快適性にこだわる猫にとって、毎夜のベッドメイキングは欠かせません。
なかには、ホリホリの後、念入りにフミフミしてから眠りに落ちる子もいます。フミフミは、子猫時代、母猫のおっぱいを出しやすくするためのしぐさです。愛猫だけでなく、飼い主さんをも甘い寝落ちの世界に誘います。
愛猫が飼い主さんの布団をホリホリし始めたら、先祖代々伝わるベッドメイクが始まった証拠です。その愛らしく、かわいらしい伝統の技を一ファンとして静かに見守ってあげてください。
3.フードまわりを掘りがち

フードまわりも、ホリホリ・スポットになりがちな場所です。
みなさんにはこんな経験があるでしょうか?
食事中の愛猫が急にそっぽを向き、ゴハンの器のまわりをしきりにホリホリし始める―。
「お気に入りのフードなのに、いったいなぜ…」と愛猫想いの飼い主さんなら余計にとまどい、心配になってしまう場面です。
実は、この行動の背景には、2つの意味が隠されています。
ひとつは、「毎日毎日、同じフードで飽きたよ!」、「もうたくさんだ!」というように、フードに対する「No!」の意思表示です。とにかく、目の前からフードが消えて欲しい、と考えているフシがあります。
猫は食通で、飽きるのも早く、高級プレミアムフードであっても、気に入らなくなったとたん、食べなくなります。
もうひとつは、「そこそこ満足できたし、小腹が空いたときにまた食べよう…」という意図です(貯食)。
食べ物の限られる野生下の猫は、いつ獲物にありつけるかわからない世界に生きています。そんな厳しい状況では、食べ残しもまた貴重な食料源です。そのままにしておくと、他の動物に食べられる恐れがあるので、猫は穴を掘って、証拠隠滅を図ります。
うんちにせよ、食べ物にせよ、ホリホリして土(猫砂)をかけ、匂いを消すことは、自分のアシ(痕跡)に気づかれないようにするための、猫なりのサバイバル作法です。
最後に、余談ですが、愛猫から膝のうえなどをホリホリされたら、甘えたい気持ち、マーキング、どちらかの可能性があります。いずれにしても、飼い主さんが特別な存在であることを示すサインです。
いわば、ホリホリは「大好きだよ!」の刻印であり、飼い主さんは誇らしく受け止めてあげてください。
まとめ

今回は、猫がついつい穴を掘りたくなる場所を紹介しました。
トイレから寝床、フードに至るまで、猫のホリホリは、いまだに変わらない野性を直接的に示しています。
おうちで暮らすようになっても、猫の昔ながらのスタイルは変わりません。フードが気に入らなければ、穴を掘ってから、エアーで土をかけてフタしようとします。フード選びに苦心する飼い主さんにとっては少し気の毒なシーンですが、これもまた猫の魅力です。