猫の飼い主が『だらしない』と起こるリスク7つ 思わぬ事故に繋がる危険性も

猫の飼い主が『だらしない』と起こるリスク7つ 思わぬ事故に繋がる危険性も

猫の飼い主が、お世話や片付けを少しサボってしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか。初めて猫を飼う方や忙しい飼い主も、本記事を読めば、猫の健康や命に関わる思わぬ事故を避け、安全に過ごすための大切なポイントがわかります。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫の飼い主が「だらしない」と起こる7つのリスク

爪を切られる猫

1.トイレ掃除をサボる

猫はとてもきれい好きな動物なので、トイレが汚れていると大きなストレスを感じます。トイレの砂が汚れたままだと、猫はそのトイレを使うのを嫌がり、カーペットや布団など、家の別の場所で排泄する「粗相」の原因になることも。

一度粗相を覚えてしまうと、元のトイレに戻すのが大変になるだけでなく、飼い主にとっても大きな負担になります。

さらに悪いことに、汚いトイレで排せつを我慢し続けることで、膀胱炎や尿道結石といった泌尿器系の病気にかかるリスクや便秘などのトラブルになるリスクが非常に高くなるので注意が必要です。

これらの病気は、猫にとってつらいだけでなく、治療費もかさみます。愛猫の健康と快適な生活を守るために、トイレのフンやオシッコは毎日取り除き、砂の交換や容器の丸洗いも定期的に行うようにしましょう。

2.食器の洗い残しや古くなったフードをそのままにする

猫が使う食器や水入れを洗わずに放置したり、食べ残しのドライフードを長期間入れっぱなしにしたりすることも危険です。食器に食べかすが残っていると、湿気と相まって雑菌がすぐに繁殖してしまいます。

特にプラスチック製の食器は傷に雑菌が入り込みやすく、これが原因で猫の顎の下にブツブツができるなどの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。

また、ドライフードも開封してから時間が経つと、酸化して栄養が壊れてしまうだけでなく、脂質の酸化などの劣化をして猫の健康に悪い影響を与えるので気を付けなければいけません。

猫がいつも新鮮な水やご飯を食べられるように、食器は毎回きれいに洗い、水は毎日交換し、フードは鮮度の高いものを与えるという基本的な衛生管理を怠ってはいけません。

3.床やテーブルに小さなものを放置する

飼い主がうっかり床やテーブルに小さなものを置きっぱなしにすると、好奇心旺盛な猫にとって「おもちゃ」や「獲物」に見えてしまいます。

特に注意が必要なのは、輪ゴム、ヘアゴム、糸、ビニール袋の切れ端、小さな電池などです。これらを猫が誤って飲み込んでしまうと、食道や胃を傷つけたり、腸の中で詰まってしまい、命に関わる「腸閉塞」という非常に危険な状態になることがあります。

腸閉塞は、緊急の手術が必要になることが多く、猫の体に負担をかけ、飼い主にも多額の費用負担がかかります。

猫が安全に過ごせるよう、猫の手が届く場所には、飲み込めるサイズの小さなものは絶対に置かないという徹底した片付け習慣が必要です。

4.猫にとって毒になるものを放置しておく

猫の健康にとって非常に危険なものを、猫が簡単に触れられる場所に放置しておくことは、重大な事故につながります。

例えば、ユリ科の植物は花、葉、花粉のすべてが猫にとって猛毒で、少量でも口にすると腎臓に深刻なダメージを与えます。

また、人間用の薬(特に痛み止めなど)や、洗剤、漂白剤などの化学薬品を、手の届く場所に置いておくと、猫が誤って舐めたり飲んだりする可能性があります。

さらに、ネギ類(玉ねぎ、ネギなど)やチョコレートといった猫が中毒を起こす食べ物を出しっぱなしにするのも危険です。

これらの危険物から猫を守るためには、すべて戸棚の中や、猫が絶対に登れない高い場所にしまうという強い意識を持つようにしてください。

5.猫の排泄物や体の状態を毎日チェックしない

日々のチェックを怠る「だらしなさ」は、猫の病気のサインを見逃すことにつながります。猫は具合が悪くても隠そうとする習性があるため、病気の発見が遅れやすい動物です。

毎日のトイレ掃除の際に、フンの形や硬さ、オシッコの量や色をチェックすることで、下痢や便秘、糖尿病、腎臓病などの初期の変化に気づけます。

また、猫の体を撫でるときに、急に痩せていないか、しこりがないか、被毛のツヤがあるかなどを確認することも大切です。

これらの小さな変化を毎日見逃さずに把握することが、猫の病気の早期発見につながり、結果的に猫の寿命を延ばすことになります。

6.爪切りやブラッシングなどのケアを怠る

猫の爪切りやブラッシングといった体のケアをサボると、猫がケガをしたり、体調を崩したりします。

爪が伸びすぎると、猫が遊んでいる最中や高いところから降りたときに、カーペットや家具に爪が引っかかって、爪自体が折れたり、指を傷つけたりする危険性があるので注意しましょう。

また、ブラッシングを怠ると、特に長毛種の猫は毛玉ができてしまい、これが皮膚を引っ張って痛くなったり、皮膚病の原因になったりします。

毛玉を猫が自分でグルーミングする際に、一緒に飲み込んでしまい、消化管の中で毛玉が詰まる「毛球症」になるリスクもあるので気を付けなければいけません。

猫の健康維持と快適さのために、定期的に爪を切って、毛の絡まりをなくすお手入れをすることは、飼い主の大切な役割であることを忘れないようにしましょう。

7.窓や玄関の戸締りをしっかりしない

猫はわずかなすき間から外に出てしまうことができるため、窓や玄関の戸締まりをしっかりしないことは、最も危険な「だらしなさ」のひとつです。

外に出た猫は、交通事故にあったり、ほかの動物とケンカしてケガをしたり、伝染病にかかったりするリスクにさらされます。また、一度外の世界に出てしまうと、迷子になってしまい、二度と飼い主の元へ帰れなくなる可能性も。

特に換気のために窓を開けるときや、宅配便の受け取りなどで玄関を開けるときは、猫が飛び出さないよう、必ず猫の居場所を確認し、二重のロックや網戸が壊れていないかをチェックする習慣が必要です。

猫を家の中で安全に飼うためには、「ちょっとくらい大丈夫だろう」という油断をなくすことが何よりも大切でしょう。

今日からできる!だらしなさを防ぐ「3つの簡単習慣」

トイレ掃除する女性

毎日やることを決める

猫との生活を安全で快適にするためには、「そのうちやろう」ではなく、「これを毎日必ずやる」という簡単なルールを決めることが、だらしなさを防ぐ最も効果的な方法です。

具体的には、「朝起きたら水を替えて食器を洗う」「仕事から帰ったらすぐにトイレのフンとオシッコを取る」「寝る前に猫の体を撫でて全身をチェックする」といったように、生活の節目に合わせた行動リストを作ります。

このリストは、複雑なものではなく、5分以内で終わる簡単な作業だけに絞るのがコツです。毎日同じ時間に同じ行動を繰り返すことで、これらの作業が「習慣」となり、猫の病気のサインも見逃しにくくなります。

床にモノを置かないルールを作る

猫の誤飲・誤食による事故を未然に防ぐため、家の中で「床や猫が登れる棚の上には、猫が飲み込める小さなものを一切置かない」という厳しいルールを作り、家族全員で守ることが大切です。

特に危険な輪ゴムやヘアゴム、イヤホンなどの小物は、「定位置」としてフタ付きの箱や引き出しの中にしまう習慣を徹底しましょう。

このルールは、単に片付けになるだけでなく、猫の安全な遊び場を確保することにもつながります。

もし床に何か落ちているのを見つけたら、「猫の命に関わる危険物だ」と認識し、すぐに片付ける意識を持つことで、猫の命を守るための行動が習慣化されることでしょう。

確認を習慣にする

事故や病気のリスクを大幅に減らすために、「○○する前に確認する」というクセをつけることが重要です。

最も大切な確認習慣は、「外出前や就寝前に、窓や玄関の戸締まりが完全にできているか、危険なものが落ちていないかをチェックする」ことです。

この「ダブルチェック」を必ず行うことで、脱走や誤飲のリスクを防げます。また、フードを与える前には「フードの賞味期限と、食器がきれいか」を確認し、トイレ掃除の際には「フンやオシッコの状態がおかしくないか」を確認します。

この「確認」のひと手間が、飼い主のちょっとした油断を防ぎ、猫の命と健康を守る最後の砦となります。

まとめ

鉢植えを倒す猫

猫の飼い主の「だらしなさ」は、単なる片付けの問題ではなく、愛猫の命と健康を脅かす重大なリスクに直結します。

トイレの汚れから来る病気、床に落ちた小物による誤飲、戸締まりの甘さによる脱走など、その危険性は計り知れません。

しかし、これらのリスクは、「毎日やることを決める」「床に物を置かない」「最終確認をする」という、今日からできる簡単な3つの習慣を身につけるだけで、ほとんど防ぐことができます。

猫の安全はすべて飼い主の意識にかかっています。小さな努力を続けることで、猫は長く健康で幸せに暮らすことができ、飼い主自身も安心して猫との生活を楽しめるようになるでしょう。

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