猫が『貧血』を起こしてしまう原因3つ 表れる症状から取るべき対処法まで解説

猫が『貧血』を起こしてしまう原因3つ 表れる症状から取るべき対処法まで解説

猫はとても我慢強い生きものなので、体調が悪くてもあまり表に出しません。気づいたときにはぐったりしていた…というケースもめずらしくないです。とくに貧血は、外から見えにくいのに体へ大きな負担がかかるため、早い段階で気づいてあげることが大切です。この記事では、猫が貧血を起こす代表的な原因や、飼い主さんが気づきやすいサイン、病院へ行くべきタイミングについて紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫が貧血になると何が起こるのか

白黒猫

猫が貧血を起こすと、体中に酸素が届きにくくなり、元気が急に失われます。

少しの動きでも息が上がったり、いつもより眠ってばかりになったりする姿は、とても心配になるものですよね。

体を動かすためのエネルギーが足りなくなるような状態なので、早い段階で気づいてあげることが大切です。

猫が貧血を起こした際の気づきやすいサインを知っておくと、愛猫を守る一歩につながります。「いつもと様子が違う」と感じたら、まずは注意深く観察してみましょう。

猫が『貧血』を起こしてしまう原因

休んでいる猫

1.出血による赤血球の不足

猫がケガをした時だけでなく、腸内で炎症が起きて出血が続いているケースもあります。

体の中でじわじわ血が失われていくため、外からは見えなくても赤血球の量が減ってしまう仕組みです。

出血が原因の貧血は、歯周病や腫瘍の自壊でも起こることがあります。たとえば、口の中で炎症が慢性化すると少しずつ血が失われ、ふとしたタイミングでぐったりすることもあります。

普段と比べて口臭が強くなったり、よだれが増えたりする場合は、体の内側で問題が進んでいるサインと考えましょう。

腫瘍の自壊も体表であればわかりやすいですが、体内の場合気づきにくいので注意が必要です。表面的な出血がないから安心とは言い切れません。

2.免疫の異常で赤血球が壊れる

猫の体は本来、細菌やウイルスから守るために免疫が働きます。ただ、何らかのきっかけで自身の赤血球を「敵」と勘違いして壊してしまうことがあるのです。

免疫介在性溶血性貧血と呼ばれ、急激に赤血球が減ってしまうため危険度が高い状態に入ります。

特徴として、急に黄疸が現れることが挙げられます。耳や白目の部分が黄色っぽく見えるときは、赤血球が大量に壊れたサインです。

家の中で寝場所を頻繁に変えたり落ち着きがなかったりする場合も、体のしんどさを紛らわせようとしていることがあります。

3.赤血球が作れなくなる

猫の赤血球は骨の内部にある「骨髄」で作られています。

ここに異常が起きると赤血球そのものが生産できなくなり、少しずつ貧血が進みます。慢性的な感染症や栄養不足、リンパ腫などが原因になることがあり、気づきにくい点が特徴です。

骨髄の変化だけでなく、造血ホルモンを分泌する腎臓の問題によっても貧血は起こり得ます。造血が行われていないのであれば、どの器官の問題なのか、検査により特定が必要です。

まとめ

横になる猫

猫の貧血は、見た目からは分かりにくいことが多いものの、放っておくと体に大きな負担がかかります。

今回紹介したように、「出血」「免疫の異常」「骨髄などの造血器官のトラブル」といった原因はさまざまですが、どれも早めに気づくことで重症化を防ぎやすくなります。

元気がない、息が上がりやすいといった小さな変化は、体からの大切なサインです。

気になる様子が見えたら、早めに動物病院を受診することが愛猫を守る一番の近道になります。

日常のふれあいの中で、いつもと違う「ほんの少し」に気づいてあげる気持ちを忘れず、安心して過ごせる毎日を一緒に作ってあげたいですね。

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