原因1.寒さ

まず考えられるのが、気温の低下や床が冷たいことなどからくる一時的な冷えです。
猫の祖先は砂漠出身といわれているため、暑さには強くても寒さにはやや弱い傾向があります。
そのため冬場や冷房の効いた室内では、足先や肉球が冷えやすくなる場合があります。
足が冷たくなる以外にも、体を丸めてじっとしたり、小刻みに震えていたりしている場合は要注意です。
対策としては、室内の温度を猫にとって快適とされる21~28度に保つようにしましょう。ただし、快適とされる温度は猫によって差があるため、呼吸の様子や冷たい場所を探していないかなどの行動変化を合わせて観察して調節しましょう。
また、暖かい寝床を用意してあげることも大切です。毛布やペット用のヒーター・ゆたんぽなどを活用することもおすすめです。人間用のヒーターを使用すると、低温やけどや皮膚トラブルなどにつながる危険性もあるため注意が必要です。
原因2.加齢

猫も年をとると、筋肉量が減って基礎代謝が落ちるため、寒さを感じやすくなります。
さらに、心臓の働きや血管の弾力性が低下すると、四肢の末端まで十分に血液が届きにくくなります。
血流が悪くなると、見た目では気づきにくいですが、足の冷えのほかにも、肉球が白っぽくなる、元気がなく寝てばかりいるといった症状が見られます。
室内の温度に気を配るとともに、マッサージをしてあげることが効果的です。スキンシップも兼ねて、体全体を優しくなでたり、足先を軽くもみほぐしましょう。
原因3.心臓・循環器の病気

足の冷えが慢性的に続いたり、ほかの症状を伴ったりするときは、心臓や循環器の病気の恐れがあります。
「肥大型心筋症」はその代表例で、心臓の筋肉が厚くなり、全身に血液を送り出せなくなる疾患です。
初期段階では無症状ですが、進行すると呼吸が荒くなったり、後ろ足に血栓が詰まって突然立てなくなる「動脈血栓塞栓症」を起こすことがあります。
このとき、後ろ足が急に冷たくなり、触ると痛がることがあります。
動脈血栓塞栓症は、緊急性の高い病気であるため、症状が見られたらすぐさま動物病院を受診しましょう。定期的に健康診断をしておき、病気の兆候をいち早くキャッチすることも重要です。
まとめ

猫の足が冷たいとき、寒さから加齢や病気のサインまで、その原因はさまざまです。
一方で、共通しているのが、冷えは猫からのSOSであるということ。
まずは、生活環境を見直し、猫がストレスなく暮らせるよう対策を取りましょう。
それでも冷えが続く、あるいは元気がない、呼吸がおかしいといった異変が見られる場合には、早めに獣医師に相談を。
足先は、猫の健康状態を映す重要なバロメーターです。
日常的にスキンシップをとりつつ、異変がないか観察することを習慣化しておくと良いでしょう。
小さな変化を見逃さないことが、大切な家族の命と健康を守ることにつながります。