猫が撫でられそうになると逃げる心理

1.猫の距離感とずれている
猫にも、人と同じようなパーソナルスペースがあり、受け入れられる物理的な距離感は、相手への信頼度によって変わります。この距離感がずれているために、近づくと逃げられてしまっているのかもしれません。
2.触られたくない部位を撫でようとした
猫には、撫でられると気持ちよく感じる部位と、不快に感じる部位があります。もしかすると、飼い主さんは知らず知らずのうちに猫が嫌がる部位を撫でようとしているのかもしれません。
猫によって喜ぶ部位と嫌がる部位は異なりますが、一般的にお腹やお尻、足先などは触られるのを嫌がります。逆に、自分では毛づくろいをしづらい耳の付け根や裏側、あごの下などは、撫でられると喜ぶ猫が多いです。
3.タイミングが悪い
猫の気持ちを考えず、飼い主さんの「撫でたい」という気持ちだけで行動してしまうと、心理的な距離、つまりタイミングが合わずに逃げられてしまうことが多いです。食事中、毛づくろい中、室内の探索中など、何かに夢中になっている最中や睡眠中は、撫でたくても我慢をし、少し離れた場所から優しく見守りましょう。
4.不意を突かれて驚いた
猫は保守的で、波乱万丈な生活よりもルーティーンに従った穏やかな生活を好む傾向があります。そのため、飼い主さんが突然ワッと近づいてくるような、不意をつかれる行動には驚いてしまい、警戒心を高めてしまいます。
5.猫が嫌がるニオイがついている
猫は、非常に鋭い嗅覚を持っています。飼い主さんの洋服や髪の毛などについているかすかなニオイにも敏感です。また、人には分からない微妙なニオイも嗅ぎ分けられます。ある程度慣れてきているにも関わらず、近づくと逃げてしまう場合は、もしかすると飼い主さんの洋服などから、猫が嫌がるニオイがしているのかもしれません。
猫は、タバコ・消毒薬・香水・芳香剤などの人工的なニオイを嫌う傾向があります。特に柑橘系のニオイを嫌がる猫は多いです。ご自身の習慣や職場環境などでこれらのニオイがつく可能性が高い場合は、まず着替えるなどの対策をしてみましょう。
猫との距離を縮めるコツと配慮すべきこと

猫の距離感に合わせる
逃走距離といって、全く信頼できない相手が近づくと、逃げ出す距離があります。個体差が大きいものの、一般的には2m程度と言われています。迎えたばかりの猫は、飼い主さんとの距離感が逃走距離に等しいと思って接すると良いでしょう。
少しずつ信頼してもらえるようになると、1m程度の距離でも威嚇されなくなり、信頼度が深まるほど距離は縮まります。この距離感は、飼い主さん目線ではなく、猫目線で決まります。焦らずゆっくりと信頼関係を築いていくことが大切です。
猫のタイミングに合わせる
まだしっかりとした信頼関係が築けていない猫と接する場合、飼い主さんの気持ちは押し殺し、猫のタイミングを優先しましょう。飼い主さんが自分から近づこうとすると、かえって猫は警戒心を強め、なかなか距離は縮まらないでしょう。
あまり猫に関心を示さないようにして過ごしていると、猫の方が「この人はご飯をくれるし、自分に害を与えるようなことはしなさそうだ」と判断し、自分から近寄ってくるようになります。そのタイミングで優しく撫でてあげるようにしましょう。
撫で方を研究する
まだ慣れていない猫を撫でる場合は、喜ぶ部位だけを撫でるようにしましょう。その際、必ず毛並みに沿って撫でるようにします。また、手を猫の頭の上から下すように近づけると、猫は脅威を感じて警戒し、逃げてしまいます。
手は緩く握り、猫の顔の下の方からゆっくりと近づけ、鼻先でそっと人差し指を差し出してニオイを嗅がせます。ニオイを嗅がせるのは、猫にとっての挨拶に該当し、あなたのことをニオイで記憶します。心ゆくまでニオイを嗅いだら、ゆっくりと手を開いて優しくあごの下などを撫でましょう。
驚かせない
せっかく慣れてきた猫も、あなたの突発的な行動で驚かせてしまうと、一気に信頼度が下がり、警戒心を高めます。猫と一緒に過ごす際には、猫を驚かせないように行動しましょう。
猫は、少し高めのトーンの声でゆっくりとした語り口や、緩慢な動作に安心感を覚えます。おばあちゃんになったような気持ちでゆっくりと行動すると、猫にはちょうど良いかもしれません。
まとめ

猫にもそれぞれの個性があるため、人懐こい猫もいれば、非常に臆病で人を怖がる猫もいます。保護猫などの場合は、迎え入れる前に過ごしていた環境や経験により、人に対して強いトラウマを抱えているケースもあります。
どんな猫であっても、仲良くなるための近道は猫のペースに合わせることです。猫の習性を知り、その猫の性格を把握し、ゆっくりと時間をかけて距離を縮めていくことが、最終的には最も早く仲良くなる方法なのです。猫に寄り添う気持ちで暮らすと良いでしょう。