シニア期の猫に起こる「変化」とは?

猫も人と同じように年齢を重ねると、体や心に少しずつ変化が出てきます。一般的に7歳頃からシニア期と呼ばれ、10歳を超えると老化のサインが見えやすくなります。
たとえば、これまで軽々と登っていた棚にためらいを見せたり、寝ている時間が増えたりすることもあるでしょう。
これは単なる「怠け」ではなく、体力や筋力の低下が始まっている証拠です。猫の老化はゆっくり進むため、飼い主が「いつもと違う」サインを見逃さない意識が必要になってきます。
猫の『老化』が進むと現れる4つのサイン

1.食欲や体重の変化
シニア猫は代謝に変化が生じるため、食欲が減ったり、逆に食べているのに体重が減ることがあります。これは消化吸収能力の低下や内臓の働きの衰え、目に見えない病気が関係しています。
とくに腎臓病や甲状腺の異常は、高齢猫でよく見られる疾患です。食べ方の変化や体重の増減が見られたら、健康状態を教えてくれるサインとして気にかけてあげましょう。
ドライフードが食べづらそうなら、ぬるま湯でふやかしたり、ウェットタイプを混ぜるのもおすすめです。食事の時間を「楽しみ」に変える工夫が、長生きの秘訣になります。
逆に食べているから安心、というわけではなく、過剰な食欲も病気が潜んでいる可能性があるため、注意を払わないといけません。
2.動きが鈍くなる・ジャンプ力が落ちる
若い頃はひとっ飛びだったソファや窓辺に、登るのをためらうようになったら要注意です。関節や筋肉が衰えている可能性があります。
高齢猫は関節炎を発症しやすく、痛みを我慢していることも少なくありません。もし着地に失敗したり、爪を引っかけて登ろうとする様子が見られたら、段差を減らしてあげるようにしましょう。
キャットタワーのステップを低くしたり、踏み台を置いてあげるだけでも猫の自信を取り戻せます。元気がない時ほど、無理をさせない環境作りが大切です。
3.甘え方や反応の変化
「最近、名前を呼んでも反応が薄い」「甘えてこなくなった」と感じたら、聴力や視力の衰え、あるいは認知機能の低下が始まっているかもしれません。
中には夜中に鳴くようになる猫もいますが、これは不安や混乱からくる行動です。叱らずに、安心できる声をかけてあげましょう。
優しくスキンシップをとる、寝床をあたたかく保つだけでも安心感が生まれます。猫が落ち着ける「居場所」を作ってあげることが、老猫との暮らしを穏やかに保つコツです。
4.トイレの失敗や水の摂取量の変化
トイレの失敗は、老化のサインとして見逃されがちです。歩くのがつらくなったり、視力が落ちてトイレの場所がわからなくなることもあります。
また、水をよく飲むようになった、あるいはほとんど飲まないという変化も注意して観察しましょう。腎臓や膀胱に負担がかかっている場合があります。
トイレを複数設置して移動距離を減らしたり、段差のない形に変えてあげると猫のストレスが軽減します。環境を整えることは、病気の予防にもつながります。
まとめ

猫の老化は、悲しい変化ではなく「新しい付き合い方を見つけるサイン」です。若い頃のように元気いっぱいではなくても、その分ゆったりと寄り添える時間が増えます。
食事や動き、トイレ、反応の変化など、どんな小さなサインも愛猫からの「今の気持ち」が表れた行動です。
大切なのは焦らず、その子のペースに合わせてあげることです。環境を整えて安心できる時間を重ねていけば、老猫との日々はますます愛おしくなります。
年齢を重ねても変わらない信頼と絆を、これからも丁寧に育てていきたいですね。