SNSがきっかけでお迎えした我が家の保護猫

SNSがきっかけでお迎えした我が家の保護猫

近年、SNSによって拡散される可愛い猫や犬、動物の情報が増えています。そんな中で注目したいのが、保護犬猫情報。刹処分される動物達を、期限が切れる前に引き取り、家族として迎える……私が他県のセンターにいる子猫を我が家に迎え入れることになったのも、この、SNSの保護猫情報がきっかけでした。

SNSで猫や犬の命を救う

SNSに溢れる癒し動画

ここ数年で、老若男女問わず誰もがSNSを利用する時代になりました。誰もが簡単にTwitterやInstagram、Facebookなどを利用した情報発信が可能となり、逆に、昔なら苦労して集めていた情報も、スマホ片手で簡単に収集できるようになりました。どころか「いいね!」や「RT」機能などで、情報の方からこちらに飛び込んでくる、そんな状況です。

中でも人気があるのが、動物画像や動画、GIFです。オシャレな家やアットホームなご家庭で可愛い仕草を見せる動物達の姿に、心癒されている人は少なくない筈。実際、そうした投稿は数多く拡散されといますし、大げさに言えば「動物動画や画像見たさにインスタに登録してる」なんていう方もいらっしゃるくらいです。というより、そうした人を著者は何人か知っています。

特に近年の猫人気は凄まじく、一時期はテレビCMやドラマで登場するペットといえば「犬」でしたが、もはやそれを追い抜く勢いで数々のアイドル猫たちが生まれています。

これには勿論、核家族化が進んで一人暮らし世帯が大半となった都市部などで、留守番できて飼いやすい猫の人気が高まった。という事情も反映されているのだとは思いますが、現在では一般家庭の飼育数が、犬より猫の方が多くなった……という調査結果も出ています。

そんな中、癒し画像だけではなく、犬や猫を助けるための情報拡散も増えてきました。いわゆる「保護犬猫情報」です。

保護犬、猫情報

保護犬・猫情報には、大きく分けてふたつのタイプがあります。ひとつは、行方不明になったペットを探す為の「保護ペット」情報。これは何らかの事情で帰ってこなくなった犬や猫を探したり、逆に迷子ペットを保護した方が飼い主を探す為の情報拡散です。

そしてもうひとつが、「里親探し」情報。シビアな話ですが、ペットブームが到来した今でも、毎日数多くの動物達が保健所・センターで刹処分されています。県によっては「刹処分ゼロ」を掲げる場所もありますが、今なお何万匹もの犬や猫、動物たちが殺されているのです。

大切なのは情報を拡散・RTする事

「里親探し」情報とは、こうしたセンターに収容された動物達が、おおよそ1週間程度の収容期間後に殺されてしまう前に「家族」を見つけてあげようとする活動の一環で、センターなどで出されている収容動物の情報を、ボランティア活動に携わる個人や団体がSNSで拡散しているのです。

もちろん、その全てが助かるわけではなく、大半の動物達が刹処分されてしまいます。けれど「RT」されることで一人でも多くの人の目にとまり、運命的な出会いが生まれることもあるのです。

私もそれを知ってからは、積極的に情報を拡散・RTするようにしています。大切なのは「いいね!」ではなく「RT」すること。こうしないと、情報が外に出ることがないからです。

保護猫・犬情報がSNSで拡散されてお迎えするまで

ここで、同じように拡散される保護猫・犬情報を見て「うちで飼いたい」と感じた方の為に、お迎えするまでの経緯を紹介したいと思います。そもそもSNSで拡散される保護猫・犬情報は、どのように生まれるのか。

ボランティア団体が拡散

まず、センターに動物が収容されると、ボランティア団体の方がセンターの開示している情報をもとに、猫の写真、年齢や状況、命の期限がいつまでか……をツイートします。

これを見て気になった方は、情報元のサイトからボランティアさんに連絡を取るか、ボランティアさん本人にDMなどで連絡をするのです。

ペットのおうちの場合

ちなみに私が利用したのは「ペットのおうち」というサイトで、ここから里親になるための必要最低限の情報をお伝えし、里親になりたい旨をメッセージよりお伝えしました。

この「必要最低限の情報」とは、ペットの飼育経験はあるか、飼育環境はどうなるか、家族構成、先住ペットはいるか、自宅訪問は可能か……等々。

こんな個人的なことを聞かれるのは何故? と不快に思うかも知れませんが、近年、こうしたサイトを利用した「里親詐欺」と呼ばれる犯罪が流行しており、虐待目的で動物を集める人も多いので、こうした情報のやりとりが必要になるわけです。

お迎えする時の条件

また、基本的に猫は「室内飼い」で「避妊・去勢手術を行う」ことが里と親になる条件として挙げられます。以前は自由に屋内外を行き来する飼い方をする方も多かったのですが、外には車や病気の危険もあり、何より飼い主の知らない場所で粗相をして人に迷惑をかける可能性だってあります。

子供を作って戻ってくることもあるし、そもそも室内飼い・避妊去勢手術を行った猫は、そうでない猫と比べて寿命が長い、とも言われているのです。こうしてボランティアの方とじっくりと相談した上で、契約書にサインをして猫の引き取りを行う……というのが通常の流れとなります。

運命の出会い

私は、ある一匹の子猫に興味を持ちました。首を傾げながらこちらを見る子猫、生後1ヶ月たらず。雄と雌がいて、既に収容期限が切れるまで2日程しかありません。その時、ふと「うちで引き取れないかな」という気持ちもよぎりましたが、すぐにブンブン首を振りました。

というのも我が家には、生後間もなく保護して家族に迎えた先住猫がいたのです。

「子猫だし、多分、すぐに飼い主が見つかる筈……」そう信じていつものようにRTした後日、首を傾げていた雌猫は引き取り手が見つからないまま、収容期限日を迎えてしまいました。

そんな馬鹿な。こんなに可愛い子猫なのに、なんで飼い主が見つからないの……。パソコンの前で一人冷や汗を流しましたが、実は春先は猫の繁殖シーズンで、保健所やセンターは子猫や成猫が溢れかえるのです。見れば子猫が収容されているセンターには、多いときには1日に20匹もの子猫や成猫が収容されており、これではとても間に合わないということが分かりました。

焦った私は家族と相談、親は「先住猫が慣れてくれるかどうか」と渋い顔をしてはいましたが、ひとまずボランティア団体の方に連絡を取り、もし他に飼い主がいないのであれば里親に立候補する……と申し出たのです。

ところが私の場合はもうひとつ問題がありました。それは、今回希望した子猫が、新幹線で2時間弱かかる他県のセンターに収容された保護猫だったということ。これについては、ボランティアの方がご厚意でセンターからの引き出しを行い、迎えに行くまでの間も預かってくれる。ということになりました。

例外もありますが、遠方からの引き取り希望の場合は即対応が難しいため、ボランティアの方がこんな形で助けてくれることも多々あります。ですがこれらはあくまで先方のご厚意ですので、かかった費用などはきちんとお支払いし、感謝の気持ちも忘れないようにしなくてはいけません。

してもらって当たり前、ではなく、ボランティアの方々も「動物を助けたい」という思いで動く一個人なのです。その後は、SNSでやり取りしつつ、待ち合わせの日程を決め、いよいよ猫の引き取りです。

新幹線の旅

ケージに入る猫

ここでもう一つ、他県からの引き取りとなると問題なのが「移動方法」です。車での移動は時間もかかるため、猫、特に子猫の場合は身体に負担がかかる場合もあり、遠方の場合は新幹線移動が多くなります。とは言え、新幹線に動物を乗せてもいいの? と疑問に思う方も多いのではないかと思うので、以下に条件を明記させていただきます。

  • ①長さ70センチ以内で、タテヨコ高さの合計が90センチ程度のケースにいれたもの
  • ②ケースと動物を合わせた重さが10キロ以内のもの

規定にはこの通り記されており、今回の場合は猫とキャリーケースの重さとサイズが規定内に収まっていれば、窓口で「手回り品料金」280円を支払った上で、子猫を新幹線で運ぶことが可能となります。

新幹線の中では、基本的には足元にキャリーケースを置くのですが、私は冷房の効いた車内で子猫が風邪を引くのが心配で、膝に乗せてネット越しにちらちら様子を窺っていました。幸いにも、猫は少し緊張してはいたものの、内に入れていたブランケットに包まれてぐっすり就寝。

そして2時間を経て、ようやく駅に到着した後は、在来線に乗り換えて自宅近くの駅で降り、子猫と共に何とか無事に帰宅したのでした。

先住猫との相性

ケージを覗く猫

さて、無事に帰宅できたものの、もう一つ問題があります。それは先住猫との相性です。保護猫を迎えるご家庭で、必ず出てくるのがこの「先住ペットとのトラブル」。ペットの性格にもよるのですが、自分のテリトリーに見知らぬ動物が入り込んでくるわけですから、まず揉めます。

更に、子猫はある程度の年齢に達するまで、猫エイズ・猫白血病などに完成していないかどうかの正確な検査結果が得られません。当初、陽性反応が出ていたのだとしても、陰性に変化することも多いのです。だからこそ、先住猫にまずワクチン接種を受けさせ、里猫を検査が出来る年齢まで隔離する方法を選ぶつもりでしたが、予想以上に里猫が元気で、すぐに餌と水とベッドとトイレ完備のケージに移動させたものの、中で紙砂や水をひっくり返して暴れる始末。

ここで不審を覚えてうろうろする先住猫とは1週間くらいかけてケージ越しに気配を覚えさせ、仲良くなって貰おうと言う作戦だったのですが……仕方ない。先住猫には普段から寝起きしている2階の部屋に移動してもらい、里猫が甘えたい時にはケージの外に出す、という方法を取らざるを得ませんでした。

しかし、これがなかなか大変だったのです。他の里親さんの体験談を拝見して覚悟はしていましたが、一人っ子として可愛がられていた先住猫は拗ねて便秘になり、人見知りを一切しない里猫は、何故か我が家で過ごすうちに段々と甘えん坊の猫見知りになり……ケージに入れると寂しがってミャアミャア鳴き、抱っこしないと眠れない状態に。

幸い、里猫が快食快眠快便の健康な子ではあったのですが、用心して、現在も2匹の隔離生活が続いています。当初は拗ねる先住猫を見ていて「多頭飼いの方が、この子も寂しくないのでは」と思った自分の判断の甘さを反省しましたが、それでも必死になってすがりついて来る里猫の姿を見ていると、一歩間違えばこの子は貰い手が見つからないままひっそりと殺されていたんだ……と、やはり今を有難く思うのです。

最近は先住猫の便秘も解消され、少しずつ里猫に歩み寄るようになっているので、これから少しずつ「家族」になっていくんだろうなぁ。とほっとしています。

保護猫を飼う、という選択肢

今の猫

可愛い動物を家族に迎え入れたい、と思った時の選択肢はいくつかありますが、こうしたSNS情報により、センターに収容されたペットを引き取る方も増えてきました。もちろんペットショップの動物達だって可愛いのですが、色々な選択肢がある、殺処分される子もいる、という事実を知ったうえで決める、ということも大切だと思うのです。

眠る子猫

センターにはまだまだ沢山の動物達がいて、その中には、野良犬や野良猫以外に、飼い主の都合で捨てられた動物達もいます。そんな子たちが一匹でも幸せになれるように……そして、迎え入れたからには、一生を共にする「家族」であると認識し、可哀想な動物がこれ以上増えないように、皆で幸せになれると良いなあ。と思うのです。

参考サイト

http://www.pet-home.jp/(ペットのおうち)
https://mofmo.jp/article/6332(猫は新幹線に同乗出来る?料金やキャリーバッグの選び方についても解説。)
http://love.ap.teacup.com/seri_ai/366.html(「猫エイズと白血病について」)
https://tokyocatguardian.org/hospital/fiv_felv.html(猫エイズウイルス感染症・猫白血病ウイルス感染症 - NPO法人 東京キャットガーディアン~子猫の里親募集~)

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