猫が「家族や同居猫の名前」を覚えている理由

猫は一見、自由気ままで人の言葉なんて聞いていないようにも見えますが、実はしっかり耳を傾けています。
とくに普段の暮らしのなかで繰り返される「家族の名前」や「同居猫の名前」は、猫にとって重要な「音」としてインプットされます。
それは、猫が音と出来事を結びつけて、覚える能力に長けているからです。
たとえば「太郎」という家族の名前を飼い主が呼ぶたびに、「太郎が現れる」という経験が積み重なると、「太郎=この人」という情報が猫の中で強く結びついていきます。これは、犬や人にも共通する脳の働きです。
さらに猫は飼い主の声のトーンや話す場面の雰囲気まで読み取ることができます。「名前+感情のニュアンス」がセットで記憶に残るため、「太郎」という名前を聞くだけで、その人の声や行動も思い出します。
猫は「名前そのものの意味」は分かりませんが、「その音のあとに何が起こるか」を覚えていることで家族や猫仲間の呼び名にも次第に反応するようになります。
猫はどうやって名前を聞き分けているの?

猫が名前を聞き分ける力には、いくつかのポイントがあります。
まず、猫は「母音」と「語調」にとても敏感です。たとえば「みけ」と「もも」という呼び名でも、響きやリズムの違いを感じ取って区別することができます。
また、名前を聞いたあとに続く行動が、聞き分け力を高める重要なポイントになります。
たとえば、「みけ〜」と呼んだ直後におやつを渡す、「もも〜」と呼んだあとに抱っこするなど、名前に続く「特定の結果」を猫が予測できるようになると、その名前への反応がぐっと鋭くなります。
加えて、猫の聴覚は人よりもずっと優れていますので、高音域の音もはっきり聞き取ることができます。
人が似て聞こえる名前でも、猫にとってはまったく違った音に感じ、聞き分けることができるのです。
猫の名前を呼ぶときのコツ

猫が家族や同居猫の名前を覚えるのは、日々の経験の積み重ねと、「音のあとに起こること」を関連づけて記憶しているからです。
猫は嬉しい記憶も嫌な記憶もしっかりと覚えています。つまり、名前を覚えて反応してもらうには「その名前を聞いたあとにいいことが起こる」という成功体験を、猫の中にたくさん作ることが大切です。
名前を呼ぶときは、できるだけ明るく、やさしい声で呼びましょう。そして、そのあとにごはんや遊びなど、嬉しいと思えることをセットにすることで、呼ばれた名前に良いイメージがついて猫が名前に反応しやすくなります。
また、名前の呼び方を家族全員でなるべく統一すると、猫も混乱せずに覚えやすくなります。「たろう〜!」「たろくん!」「たーちゃん!」とバラバラに呼ぶよりは、一つの呼び名で統一するのがおすすめです。
まとめ

「名前を呼ばれる=いいことが起こる」と感じる体験が積み重なるほど、その名前は猫にとって特別なサインになります。
「音」と「経験」を結びつけるのが得意な猫だからこそ、家族や同居猫の名前もきちんと覚えて、聞き分けることができるのです。
そして愛猫が呼び名に反応してくれたときは、たくさん褒めてあげましょう。そうすれば、猫はもっと自信をもって「この音は自分に関係ある!」と感じてくれるようになります。日々の呼びかけを通じて、愛猫との絆を育てていきたいですね。