社交的な「山の野良猫」

画像はイメージです
フィリピン国内で3番目に高い山に住み着き、登山客らに人気のあった猫が、このほど「強制下山」させられ、人々からは不満の声が上がっています。
「Pugal」と呼ばれるこの白と茶のトラ猫は、ハイキングやキャンプをする人々に近づき、遊んだり甘えたりする社交的な性格です。ネットにはこの猫と一緒の写真がたくさん投稿され、そのかわいらしい姿が人気になっています。
しかし環境当局は、この山が生物多様性に富んだ保護地域に指定されていることから、猫を「強制的に下山」させたことを発表しました。猫は国際自然保護連合(IUCN)によって「侵略的外来種」に分類されており、山の自然環境に影響を及ぼす恐れがあるからです。
在来の野生動物を守るために

画像はイメージです
「現在、山野保護区管理事務所の職員がこの猫を世話しています。まもなく医師が猫の状態を確認するために派遣されることになっています」と、環境天然資源省(DENR)が声明を出しています。
今回の猫の下山は、地元紙Cordillera Sunが「この猫は保護区に生息する在来種や固有種を捕食する外来種であり、鳥類や小型哺乳類、小型爬虫類など、この地域に生息する野生動物を捕食している」と報じた直後に実施されました。
Pugalの下山に協力したのは地元の動物福祉団体「Furvent Animal Rescue and Advocacy」です。同団体の創設者Lovely Tuazonによると、この猫は良好な健康状態だということです。
ファンからは反発の声も

画像はイメージです
これに対して、Pugalファンからは不満の声が上がっています。環境天然資源省のFacebookページには次のようなコメントが寄せられています。
「こんな無害な猫が脅威だって?環境天然資源省の行為は的外れです。もっと注目すべき問題がほかに山ほどありますよ」
「動物たちはただ自然の生息地を楽しもうとしているのに、一部の観光客が不注意な行動や汚染によって生態系が破壊され続けているのは、本当に残念です」
こうした反発に対して、フィリピンで動物福祉の啓発を行う非営利団体「Animal Kingdom財団」のプログラムディレクターを務めるHeidi Marquez-Caguioa氏は「猫は在来の野生動物や生態系に重大な脅威を与えるため、自由に歩き回るべきではないのです。猫自身も大型の野生動物や捕食動物からの脅威を受けて危険にさらされます。さらに猫が徘徊することで病気に感染したり、野生環境に病気を広めたりする恐れもあるのです」と話しています。
出典:Why Filipinos are upset at removal of beloved cat from hiking trail