ニオイが気になるこの季節…『猫トイレがクサくなる』困った原因3選と対処法

ニオイが気になるこの季節…『猫トイレがクサくなる』困った原因3選と対処法

暑い季節になると、猫トイレのニオイが気になってしまう飼い主さんもいるかもしれません。今回の記事では、猫トイレがいつも以上ににおう原因を3つ紹介します。清潔なトイレ環境は、愛猫の健康を維持するためにも非常に大切な要素です。一読したうえで、今後の生活に役立ててみてください。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

1.ニオイの原因は「フェリニン」と「コーキシン」

トイレで穴掘り中の猫

猫トイレのニオイには、猫ならではの尿システムと、それに関わる体内物質が深く関係しています。

まず理解しておきたいのは、猫がもともと砂漠地帯に暮らしていた動物であることです。

水の少ない土地柄で暮らしていたため、猫の身体は、取り込んだ水分を効率よく活かすべく、尿を濃くして排出するシステムになっています。当然のことながら、尿が濃くなると、その分、ニオイもきつくなります。

また、猫の尿に含まれるアミノ酸の一種、「フェリニン」が空気に触れると、悪臭のもととなる「チオール」という物質に分解されることも、大きな要因です。

さらに言うと、腎臓内でつくられるタンパク質、「コーキシン」は「フェリニン」の生成に欠かせない物質で、量が多くなると、「フェリニン」→「チオール」への変化も増え、いっそう強烈なニオイを放つことになります。

たとえば、去勢していない雄猫の尿スプレーのニオイがきついのは、他の猫と比べると、「フェリニン」と「コーキシン」の生成量が多いからです。

ちなみに、「フェリニン」と「コーキシン」は、猫の身体にしかない特有の成分と言われています。

2.トイレ自体が汚れている

猫トイレを掃除する女性の手

尿システムの違いなどにより、猫の尿が独特のニオイを放つことは理解できたでしょうか。

続いては、ニオイの原因がトイレ自体にあるケースです。

猫トイレを清潔に保つためには、こまめな掃除が欠かせません。しかし、きちんと処理したつもりでも、ほんのわずかな量の尿やうんちが猫砂に残っていたら、たちまちニオイの元になってしまいます。

もうひとつ、排泄後の足の汚れは意外に盲点かもしれません。猫砂をかける拍子に、誤って足に尿やうんちがついてしまうと、トイレに接触したときに、汚れやニオイの原因になることもあります。

特に、プラスティック製の猫トイレは、もともと汚れやニオイが付着しやすい性質を持っています。長期間にわたって使用していると、猫の爪や猫砂の摩擦による細かな傷に汚れがついて、ニオイの発生源になってしまうこともあります。

猫トイレ本体のニオイがどうしても気になるようであれば、新品に買い替えるか、中性洗剤を使って丸洗いしてみてください。猫がトイレを嫌悪する原因となるので、人用の消臭剤などは使わないでください。

当たり前のことですが、長時間の尿やうんちの放置はできるだけ避け、抗菌ウエットティッシュなどでトイレまわりを常に清潔にしておくことも大切です。

近年掃除を自動化したトイレも発展していますが、猫のトイレは健康バロメーターです。自動トイレを導入するとしても、毎日飼い主自身で排泄物の回数、量、質などを確認しましょう。

3.「細菌性膀胱炎」などの病気の可能性も

尿検査と猫

最後の3つ目は、猫が何らかの病気を患って、尿のニオイに異変が生じた結果です。

とりわけ、鼻につくようなアンモニア臭が際立つ場合は、「細菌性膀胱炎」を発症している可能性があります。いつもの尿と違ったニオイに変化するのは、尿内に含まれる「ウレアーゼ産生菌」がアンモニアを大量発生させてしまうからです。

また、その他の菌の繁殖によっても尿の匂いが変化することがあるので注意が必要です。

「細菌性膀胱炎」の一般的な症状には、「頻尿」や「血尿」があり、雄猫と比べて尿道の短い雌猫がかかりやすい病気と言われています。

一方で、甘酸っぱいニオイの場合、「糖尿病」を疑ったほうがいいかもしれません。猫の尿が甘酸っぱいニオイに変わるのは、体内で生成された「ケトン体」が尿に排出されるからです。

「糖尿病」には、「多飲多尿」や「食欲増進」「体重減少」「倦怠感」などの症状がありますが、放置していると、やがて、「糖尿病性ケトアシドーシス」という合併症を引き起こす危険性もあります。突然の昏睡など、命に関わる状態なので注意が必要です。

猫の尿やうんちは健康状態を表すバロメーターであり、日頃のチェックを通じて、早めに異変に気づくことが重要です。元々水を積極的に飲まない猫の飲水量が増える場合も、同じく注意が必要です。

日常的な猫トイレの掃除はもちろん、月に一度の丸洗い(猫砂をすべて交換)、部屋の換気、さらにシステムトイレや全自動トイレの導入など、衛生面に配慮した対策を心がけてみてください。

まとめ

トイレの中を覗く猫

今回は、猫トイレのニオイが気になってしまう原因を3つの視点に絞って解説しました。

本文でも述べた通り、猫の尿には「フェリニン」と「コーキシン」という体内物質が含まれるため、もともと独特のニオイを放つしくみになっています。

猫トイレのニオイを抑える方法としては、「こまめな掃除」「月に一度の丸洗い&猫砂の全交換」「消臭効果が高い猫砂の活用」などがあります。

万が一、愛猫の尿のニオイに異変を感じたら、「細菌性膀胱炎」や「糖尿病」などの病気の可能性もあります。できるだけ早急に動物病院で診てもらうようにしてください。

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