1.室内飼いをやめてしまう

外を物憂げに眺める猫を見て、「外に出たがっているし、閉じ込めておくのはかわいそう…」と感じて、完全室内飼いをやめてしまう飼い主がいます。しかし、猫を外に出すことには交通事故や感染症、ケンカによるケガといった数多くのリスクがあるのです。
完全室内飼いの猫よりも外に出る猫の方が寿命は短くなり、外に出ることで野良猫や他の動物との接触も増えるため健康トラブルを引き起こす可能性も高くなります。
猫は本来、縄張り意識の強い動物で、安心できる環境であれば外に出なくてもストレスを感じにくい生き物。「かわいそう」ではなく、「安全に長く生きてほしい」という視点で環境を整えることが大切です。
2.適切な食事制限をしない

ダイエット中の猫に対して「ごはんを減らすのはかわいそう…」と感じて、ついついおやつをあげたり、決められた量以上に与えてしまったりする飼い主も少なくありません。しかし、肥満は糖尿病や関節炎、心臓病などさまざまな病気を引き起こしたり、悪化させる原因になります。
猫のなかには満腹感を感じにくい子もいるようで、たくさんご飯を食べたがるケースがあるため飼い主の管理が非常に重要となります。獣医師の指導のもと、必要な量を守って食事を与えることは、猫の健康を守る上での基本的な心得です。
「かわいそう」と思ってしまう気持ちもよく分かりますが、愛猫のためには長い目で見て健康を優先する姿勢が求められます。
3.病院に連れて行かない

動物病院に苦手意識を持っている猫は多く、ネットやキャリーに入れるだけで鳴いたり暴れたりすることもあります。その様子を見て「怖がっていてかわいそうだから、もう少し様子を見よう…」と病院に連れて行くのを後回しにしてしまったことはないでしょうか?
猫は不調を隠す習性があり、飼い主から見て「なんとなく元気がない」と感じる状態の裏には深刻な病気が隠れていることも少なくありません。早期発見・早期治療が重要な病気も多く、受診のタイミングが遅れることで症状が進行したり治療が難しくなったりする場合もあります。
愛猫が苦手な場所に連れていかなくてはならない申し訳なさはありますが、大切な命を守るために、いざという時はもちろん、定期的な検診も怠らないようにしましょう。
4.しつけを怠る

猫は本能で行動していることが多く、犬のようにしつけをするのは難しい動物です。それでも、猫に適切な声掛けやトレーニングを行えば、困ったイタズラや問題行動などをある程度コントロールすることができます。
「怒るのはかわいそう」「自由にさせてあげたい」などの理由でしつけをしない飼い主がいますが、適切なしつけを怠るのは猫のためになりません。問題行動によって家具や壁など大切なものを壊してしまうことや、ケガや命に関わる事故につながる可能性もあります。
できれば子猫のうちから、やってはいけないことを優しく、でもはっきりと伝えることが猫の安全と安心を守るために必要なことです。しつけは罰ではなく、“愛情を形にする手段”として考えましょう。
まとめ

私たち人間には猫の気持ちを読み取るのは難しく、「本当にこれでいいのかな?」「嫌がっていないかな?」と不安になることが多々あるでしょう。しかし、「かわいそう」という気持ちに引っ張られて間違った判断をすると、結果的に猫の健康や命を脅かすことになりかねません。
愛猫のために最も大切なのは、その瞬間の感情ではなく、長い目で将来を見据えた“冷静な判断”です。猫は飼い主を信じて頼ってくれているからこそ、一見厳しく思える対応であったとしても、猫の安全と幸せを守るためには必要不可欠なもの。
猫を「甘やかす」のではなく「守る」ことが、本当の優しさであり、責任ある飼い主の姿勢なのです。