1.飼い主の手や髪の毛をグルーミング

愛猫が手や髪の毛を舐めるのは、母猫が子猫を毛づくろいするのと同じ愛情表現です。
猫のグルーミングには、「自分のニオイをつける」といった本能的な目的もあり、テリトリーのマーキングや安心感を得るための自然な行動です。しかし、飼い主の手や髪の毛を能動的にグルーミングする場合は、単なる自己マーキング以上の意味合いが強いと考えられています。
飼い主を食事の提供者ではなく「自分にとって大切な相手」として受け入れている証拠といえます。母猫が子猫を守り、舐めるのと同様に、自分の大事な存在を守る母性や保護本能が表れているのです。
2.飼い主の声に合わせて返事をする

呼びかけに対して鳴き声で返事をする猫は意外といますが、なかには飼い主の声のトーンや大きさをよく聞き分けて、それに合わせた鳴き方で返事をする猫もいます。小声で話しかけると小さな声で返事をし、大きな声には元気な声で応えるのです。
相手の声のトーンに合わせて返答するのは、社会性の高い猫ならではの特徴で、相手と感情を共有することが、関係を深める手段だと理解しているからです。
3.足元で眠る

一緒の布団で抱っこして寝たいのに、愛猫が足元に行ってしまうという飼い主さんも少なくありません。ちょっと寂しいですよね。
猫が飼い主の足元で眠るのは、飼い主の様子と周囲の状況を同時に把握したいという気持ちのあらわれだと考えられます。
実は、この位置は「飼い主が起きたときにすぐわかる」「何かあればすぐに動ける=飼い主を守れる」場所でもあります。子猫兄弟たちが丸まって寝ているとき、母猫が少しだけ離れて眠るのと同じような感覚です。
くっつきすぎず、離れすぎず、お互いの関係を対等に思っている猫の信頼の形なのかもしれません。
4.飼い主に合わせて欲求を抑える

動物は自分の欲求を制御できないと思われがちですが、猫は状況によって自分の欲求を抑えることもできます。
たとえば、飼い主が体調を崩して寝込んでいるとき、遊びや食事を催促せず、そばで静かに寄り添っていることがあります。また、忙しそうにしているときには、落ち着くまで離れて待っていることもあります。
もちろん猫も動物ですから、極度の空腹や不快・恐怖から逃れようとするような本能的な欲求を完全にコントロールできるわけではありませんが、安心できる環境で信頼する相手に対してなら、自分なりに状況を判断して欲求を抑えることができるのです。
5.プレゼントをくれる

猫が飼い主にプレゼントを持ってくる場合、「遊びのお誘い」と「プレゼント」のふたつの意味があります。
遊びのお誘いのときには、おもちゃを見せびらかすように置いて、その場から動かずにいます。手に取ってほしい、投げてほしい、とウロウロしたりおもちゃにちょっかいを出したりすることもあります。
一方、愛情を込めたプレゼントは、飼い主のそばや枕元などにそっと置かれ、猫の姿はないかもしれません。もしかしたら、おもちゃではなく食べ残したおやつかもしれません。でもそこには、「これ、どうぞ」「喜んでくれるとうれしいな」という気持ちが込められているのです。
まとめ

今回は、飼い主を愛する猫からの相思相愛のサインを紹介しました。
猫の愛情表現の多くは、母猫が子猫に対して行う行動が基盤になっています。
一般的に、オス猫は飼い主に対して甘えん坊になりやすい一方、相手に合わせてそばで見守る、静かに寄り添うといった母性行動に近いしぐさは、メス猫に多く見られる傾向があると指摘されています。
では、オス猫は今回のような行動をしないかというと、そうではありません。オス猫でも、大好きな飼い主をグルーミングしたり、お気に入りのおもちゃを持ってきてくれたりすることはあります。
猫から飼い主への愛情は、スリスリと甘えるだけでなく、寄り添ったり、与えたりするような、自立した方法でも伝えられているのです。