猫は『不妊手術』をしたらどう変わる?術後の猫に訪れる3つの変化と注意点

猫は『不妊手術』をしたらどう変わる?術後の猫に訪れる3つの変化と注意点

猫を飼うと直面するのが、「不妊手術(去勢、避妊)」をどうするか、という問題です。今回は、術後、愛猫の身体や行動にどんな変化があらわれるのか、3つのポイントに分けて解説します。手術を検討中のみなさんにとって、適切な判断材料になれば幸いです。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.肥満になりやすい

ナイスバディな猫

猫の不妊手術の術後、最もわかりやすい変化は、肥満傾向になることです。

雄、雌を問わず、猫が不妊手術を受けると、ホルモンバランスが変化するため、代謝力が落ちます。その結果今まで食べていたフードと同じ量を継続すると、栄養過多になり、いつの間にか、太ってしまいます。

同時に食欲が増す一方で、運動不足になりがちなのも大きな問題です。

「肥満は万病のもと」と言われる通り、慢性的な肥満は、糖尿病や心臓病、関節炎など、さまざまな病気を引き起こします。まるまるとした姿は確かにかわいいですが、愛猫の健康長寿を考えると、非常にリスクが高い状況です。

もしみなさんの愛猫が今後不妊手術を受ける場合、術後は、「去勢・避妊手術後用のフード」を与え、なおかつ、おもちゃ遊びなどで適度な運動を習慣化するようにしましょう。

2.スプレー行為などの問題行動が減る

おしっこを処理中の飼い主と猫

2番目に挙げておきたい変化は、問題行動が減ることです。

猫の問題行動で有名なのは、「スプレー行為」です。スプレー行為とは、特に未去勢の雄猫に多い行動で、自分の縄張りを誇示するため、濃いおしっこを部屋の入り口や壁などにかけることを指します。大きな特徴は、通常のおしっこよりも匂いがきついことです。

不妊手術を受けると、ほとんどの猫でスプレー行為が減少する、と言われています(ただしスプレー行為がホルモンのせいではなく癖になっている場合はなおらないことがあります)。さらに、スプレー行為以外にも、「夜鳴き」や「粗相」「マウンティング(身体をこすりつける)」などの問題行動も減る傾向にあります。

ちなみに不妊手術を受けるタイミングは、一般的に初めての発情期を迎える生後約6ヵ月が目安とされています。

この時期を大幅に過ぎてしまうと、特に雄猫の場合、本来の攻撃性や問題行動が改善されない恐れもあり、不妊手術を検討中の飼い主さんは注意が必要です。

3.甘えん坊になりやすい

女性に甘える猫

3つ目の変化は、雄、雌ともに甘えん坊になりがちなことです。

具体的な行動としては、急にスリスリしてきたり、抱っこをせがんできたり、夜になったらベッドで添い寝してくれたり、といった変化としてあらわれます。

手術前のクールな愛猫とは違って、まるで赤ちゃん返りしたような甘えん坊ぶりに、飼い主さんは最初のうちはとまどってしまうかもしれません。術後は、激しい気性もおさまり、穏やかになる子も多いと言われています。

とはいえホルモンバランスの変化の影響により、甘えてくれるようになっただけで、もともとの基本的な性格が大きく変わるわけではありません。

最後に改めて不妊手術のメリット、デメリットをおさらいしておきましょう。

猫の不妊手術のメリットには、望まない妊娠・出産を避けることはもちろん、乳腺腫瘍(特に雌猫に多い)や子宮蓄膿症、雄猫の場合では、スプレー行為などの問題行動の減少、性衝動の抑制によるストレス軽減、攻撃的な性格が落ち着く、といった点が挙げられます。

一方で、ホルモンバランスの変化による肥満や全身麻酔のリスクなどのデメリットも存在します。

不妊手術を受けるかどうかは、愛猫の将来を左右する問題です。飼い主さんはメリット、デメリット、双方を慎重に検討したうえで、愛猫がいちばん幸せになる道を選んでみてください。

まとめ

女性に抱かれる術後の子猫

去勢、避妊を含めた不妊手術は、猫を飼うみなさんにとって、リアルな現実問題でしょう。今回は術後の愛猫の変化について、3つのポイントに分けて解説しました。

結論から言うと、不妊手術の後は、「太りやすくなる」「問題行動が減る」「甘えん坊になる」といった変化があらわれやすくなります。

本文でも触れましたが、猫の不妊手術にはメリットもあれば、デメリットもあります。2つの視点を踏まえたうえで、獣医師さんとも相談しながら、愛猫の幸せを第一に考えて、不妊手術を受けるかどうか決断してみてください。

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