猫が飼い主さんの顔に触るシーン

愛猫の前足で、優しくチョイチョイと顔を触られたという経験を持つ飼い主さんは、決して少なくないはずです。猫と人の身長差はかなりのものですから、愛猫が顔を触れるのは、抱き上げたり台の上に座ったりして目線がほぼ同じ高さになっている時や、飼い主さんが横になっている時などではないでしょうか。
人の顔はとても敏感です。それを理解しているのか、顔を触ってくる時、大抵の猫は爪を隠した状態で、優しく肉球でソフトタッチをするような触り方をすることが多いです。これは、興味本位と警戒心が混ざった時の触り方とは明らかに一線を画しています。
それでは、愛猫がわざわざ飼い主さんの目線と同じ高さに来てチョイチョイと顔を優しく触る時の心理や、その時に愛猫が喜ぶリアクションのとり方について探ってみましょう。
猫がチョイチョイと顔を触ってくる時の心理

1.甘えている
猫が飼い主さんの目線と同じ高さに来た時に、優しくそっと飼い主さんの顔を肉球でチョイチョイとソフトに触ってきた場合は、甘えている時かもしれません。目を細めながら、高くて小さな声で甘えたような声を出していれば、かなりの高確率で甘えていると考えて良いでしょう。
飼い主さんの顔、特に口の周りは柔らかくて母猫のお腹を思わせること、子猫が親に親愛の情を示すときに親猫の口の周りを舐めることなどから、成猫になっても子猫気分が抜けていない現代の飼い猫たちは、飼い主さんの顔を優しく触ることで甘えているのだと考えられています。
2.要求を伝えたい
猫が飼い主さんに何か要求を伝えたい時にも、顔をチョイチョイと触ることがあります。特に多いのは、明け方に眠っている飼い主さんの枕元にやってきて、前足で優しく顔をチョイチョイと触る行為かもしれません。多くの飼い主さんが、経験されているのではないでしょうか。
薄明薄暮性の猫は、獲物となる小動物が活発になる夕方や深夜(早朝)になると活動を始めるため、大抵は飼い主さんが起きる前に「お腹が空いたよ!」と言いにきているのだと推測されています。この時気付かずに眠ったままだと、起きてもらおうと猫が爪を出すかもしれませんので、注意が必要です。
3.遊びたい
飼い主さんと一緒に遊びたいという意思表示で、飼い主さんの顔をチョイチョイと触ることもあるようです。特に分かりやすいのは、顔を触った後に一旦飼い主さんのそばから離れることです。そして少し距離を置いた場所に立ち止まり、飼い主さんを振り返ることで、飼い主さんがついてきているのかを確認したり、「早くおいでよ!」と誘っているのだとも言われています。
4.気を引きたい
飼い主さんがパソコンに向かって真剣に作業をしていたり、テレビ画面や本、雑誌などに夢中になっていたりする時に、テーブルに上がって顔をチョイチョイと触る時は、「ねぇ、ちょっとは私のことも気にかけてよ!」と飼い主さんの気を引きたいのかもしれません。
猫は自由気ままに行動しているように見えますが、実は常に視界の端に飼い主さんが入るような場所にいて、飼い主さんの様子を気にかけていることが多いです。それなのに飼い主さんが他のことに夢中になって自分に注意を向けてくれなくなると、特別な用事がなくても自分に注意を向けさせたくて、気を引きにくるのでしょう。
5.優しい拒否のサイン
愛猫を抱き上げてスキンシップを楽しんでいると、突然体をのけぞるように後ろに引きながら前足を突っ張るようにして飼い主さんの顔を触った場合は、「もうこの辺でやめにしようよ」という拒否の気持ちを表しているのかもしれません。
気持ちよさそうに撫でられていた猫が、突然猫パンチを出したり唸ったりして拒絶することがあります。大抵の場合は、そうなる前に優しく「もうやめて!」というサインを出しています。そのサインの一つが、この仕草だと考えられています。この段階で愛猫の気持ちが切り替わったことに気付ければ、猫パンチを喰らうこともなくなるでしょう。
顔にソフトタッチしてきた猫が喜ぶリアクション

愛猫が飼い主さんの顔に優しくソフトタッチしてきた場合、次のようなリアクションをすると、猫が喜んでくれることが多いでしょう。その時の愛猫の気持ちを汲み取りながら、喜ぶリアクションを返してお互いの関係性を深めていきましょう。
- 愛猫の目を見ながらゆっくりと瞬きをして飼い主さんの愛情を伝える
- 飼い主さんも少し高くて小さい声で、「大好きだよ」などと話しかける
- 遊びに誘っている時は、短時間でも良いのでおもちゃで一緒に遊んであげる
- 朝起こしに来た時は、爪を出す前に起きて食事を出してあげる
なお、どうしても朝が弱くて起きられないという飼い主さんは、こまめに愛猫の爪を切っておき、タイマー仕掛けの自動給餌器を利用する等の対策を施すのも良いかもしれません。
まとめ

猫は、2〜3歳児程度の知能を持っていると言われています。そのため、過去の経験や飼い主さんとのいつものコミュニケーションを応用して、上手に飼い主さんに要求を伝えたり、甘えたりします。
爪を出さずに飼い主さんの顔を優しくチョイチョイと触る場合は、甘えたり何かを要求したり遊びたかったりなどの、甘えたい気分が強い時が多いようです。ただし、いつまでも気付かずにいると、業を煮やして爪を出すこともあります。爪を出させる前に愛猫の優しさに気付いてあげることで、お互いの信頼関係をより深めていきましょう。