猫も『冷え性』になる?起こり得る4つのトラブルと温活のアイデア

猫も『冷え性』になる?起こり得る4つのトラブルと温活のアイデア

人では冬になると冷え性でお困りの方は多いのではないでしょうか。実は猫も寒さに弱く、人と同じように対策が必要です。この記事では、寒さにより起こる4つのトラブルとその対策をご紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

︎寒さによって起こるトラブル

防寒着を着る猫

人では寒さを感じやすい人を「冷え性」と言いますが、猫は基本的に全ての個体で寒さに弱い動物です。

特に猫の場合、フローリングを歩くときや体を伏せたときに床と接する、足先や足裏、お腹などがは冷えやすい部位で、冷えによるトラブルも起きやすいです。

1.下痢

人でもお腹が冷えると下痢をしてしまう方は少なくないのではないでしょうか。実は猫も寒さから下痢をしてしまう体質の猫がいます。特に猫は人よりもお腹の位置が地面に近いため、お腹は全身の中でも冷えやすい部位のひとつです。

寒くなりお腹が冷えることで、腸運動の乱れが起こり、腸内で水分の吸収ができずに細菌のバランスが崩れたり、消化酵素の働きが弱まったりして消化不良を起こします。

毎年、同じくらいの寒い時期にお腹を壊す猫は寒さが原因かもしれません。

動物病院では、うんちの細菌バランスや消化状況、寄生虫など詳しいことまで顕微鏡で見ることができます。下痢をした場合には、そのうんちを持参して獣医さんに診てもらうことをおすすめします。

2.変形性関節症

人では寒い時期になると関節が痛む方がいますが、猫も同じような症状があらわれることがあります。

変形性関節症とは、軟骨がすり減り、骨の変形により骨と骨が擦り合い痛みが生じる状態です。寒くなると、体温を逃さないために関節周囲の血管が収縮し、それにより筋肉の動きが悪くなることで関節の痛みが起こります。

特に、スコティッシュフォールドは骨の変形が起こりやすい猫種なので、小さい頃から注意が必要です。

また、シニア猫では変形性関節症が多く、高いところに登らない、ずっと寝ているといった、一見年齢に伴う変化だと思っていたものが、実は変形性関節症が原因というケースもあります。

3.免疫力の低下

人では寒くなると免疫力が低下し、風邪などの感染症が流行します。それは猫も同じで、冬になると猫カゼの再発が多くなります。

猫カゼとは、おもに猫ヘルペスウイルス感染症と猫カリシウイルス感染症のことで、ウイルスは体の中に隠れ、免疫力が低下した時に再発します。

猫カゼの再発は、季節の影響をふくめ、さまざまな要因がありますが、寒さや気温の急激な変化がストレスとなり再発することも考えられます。そのため冬は充分な防寒対策をとることが、猫カゼの再発を予防するために必要です。

4.低体温症

本来、人や猫などの哺乳類は、血液や皮膚表面の温度の変化に応じて、脳にある視床下部で体温を一定の範囲に保つことができます。

低体温症は、この自動調整機能がなんらかの原因で働かなくなってしまう病気です。

体温が37.5℃以下になった状態を低体温症といい、28℃以下になると重度低体温症から心停止を起こしやすく、命を落とす危険もあります。

特にまだ体温の調節機能が未熟な子猫や、病気の多いシニアの猫では体温の調節が難しくなっているので注意が必要です。

さらに、外に出る猫では、悪天候で寒さから避難することができず、人の山での遭難のように低体温症が発生することもあります。

︎猫の温活アイデア

猫用のこたつ

暖房を使う

猫たちが快適に感じる室温は、約20℃~25℃前後といわれています。これは一年を通して共通ですが、もちろん猫によって暑がりな猫もいれば寒がりな猫もいます。

「体を丸めている」「毛を逆立てる」などは、猫が寒い時に見られる様子です。特に朝晩は部屋の温度も下がりやすいため、猫の様子を見ながらその子に合った温度に設定しましょう。

また、エアコンをつけると部屋の湿度は低くなります。猫は湿度50%が最も快適と言われているため、同時に加湿器を使用するのが理想的です。

猫用のコタツやペットヒーターを使用する

寒くなると、人のこたつに入ったり、ホットカーペットでずっと寝ていたりする猫も少なくないと思います。

しかし、留守番時など猫が長時間こたつにいる事で酸欠になったり、ホットカーペットで低温火傷になったりするリスクもあります。

留守番時など猫の様子を見ていられない時は、一定以上の温度になったら自動でスイッチが切れる調整機能付きの「ペット用こたつ」や「ペット用ヒーター」があると便利です。

食事を温める

猫の食欲には、ご飯の香りが大きく関係しています。ウェットフードなどの食事をレンジで数秒温めるだけで、香りが増し、お腹の中から体を温めることもできます。

たった一手間で一石二鳥の効果があるので、気軽に試してみることをお勧めします。温める温度は、ほんのり人肌くらいの温度が理想的です。

熱すぎると口の中を火傷する危険性があるため、猫に与える前に、必ず手で触って熱すぎないか確認するようにしましょう。

︎まとめ

抱っこされる猫

寒さがつらい冬、人と同じように猫も体調を崩しがちです。起こり得る健康トラブルとしては、下痢や関節炎、免疫力の低下による猫カゼの発症などが考えられます。

そのようなトラブルを回避するためにも、エアコンやペット用ヒーターなどを活用して、愛猫のための温活を行いましょう。いつもの食事を少し温めることも、おすすめです。

安全性を考慮し、湯たんぽなどを代用しても良いでしょう。

猫が寒さによるストレスなく過ごせるような、快適な環境を作ってあげましょう。

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