1.匂いが強い刺激になるから
猫の優れた嗅覚は、匂いを嗅ぎ分けたり、危険を察知したりするために役立っています。
猫種や個体差もありますが、匂いを感じる「嗅神経細胞」の数は、人でおよそ500万個であるのに対し、猫はおよそ4500万〜2億個あるとも言われており、匂いをキャッチする嗅上皮の面積も人間の約5倍あるとされています。
このため、アロマの匂いや他の動物の体臭が、猫にとっては強い刺激となるのも納得でしょう。
特に「酸っぱい」匂いが苦手なので、ベルガモットやマンダリン、レモンなどの柑橘系の香りは敬遠されます。
ちなみに、柑橘系に多く含まれる精油成分の「リモネン」は、みかんやレモンの皮に含まれており、誤食はもちろん、体に付着するだけでも皮膚炎になるリスクが指摘されています。
2.中毒症状を引き起こすから
アロマが原因で起こり得る中毒症状は多岐にわたり、徐脈、呼吸困難、嘔吐、下痢、食欲低下などが挙げられます。
先に精油成分について触れましたが、肉食動物である猫は、植物由来の成分である「精油」が体に合いません。
猫の肝臓は、人間とは仕組みが異なり、解毒機能を持つ「グルクロン酸抱合」の能力が著しく低いからです。
一部のネット情報では「アロマテラピーとして、猫にもマッサージは有効」という誤った発信も散見されますが、マッサージの際にアロマを使うことも厳禁ですのでご注意ください。
3.健康に長期的な影響を受けるから
空気中に漂うアロマ成分を、毛づくろいなどで吸収し続けることで、すぐに中毒症状は起きなくとも、健康に長期的な影響を受ける可能性があります。
やはり肝臓が影響を受けやすく、数年経って症状があらわれる場合もあるでしょう。
猫がいる環境はもちろん、飼い主さんの身の回りのもの全般で、使用することは控えてください。
全てのアロマが危険なのかどうかという点では、まだ明らかになっていませんが、安全と断定できる確証はないので現時点では「アロマ全般が有害」という前提で対応した方が安心です。
使ってはいけない関連アイテムとは?
アロマキャンドルやルームフレグランスなどの「芳香剤」は、使ってはいけない関連アイテムの代表と言えるでしょう。
被毛を通じて成分を吸収すること自体が問題であり、誤って猫が倒してしまう、舐めてしまうという危険性もあります。
日々の洗濯に使われる「洗剤」や「柔軟剤」も、製品によってはアロマ成分が配合されている可能性があるため、特に、猫グッズの洗濯に使用することは避けていきたいものです。
また、保湿に使われる「ハンドクリーム」や「ヘアオイル」は、見落とされやすいかもしれません。
しかし、なかには匂いが気になって、飼い主さんの手や髪を舐めようとする猫もいるため、付けた直後は猫との接触を控えましょう。
まとめ
アロマは、香りの強さや健康への悪影響をもたらすことから、猫への使用はもちろん、猫のいる環境で使うことを避けてください。
直接口に入れなくとも、毛づくろいなどで吸収されていくことによって、数年経ってから症状が起きる可能性もあるでしょう。
アロマの種類別の安全性は、現時点では全て明らかになっているわけではありません。
しかし、少しでもリスクが考えられる状況のなかで、猫との暮らしにおいて、わざわざアロマを取り入れる必要はないのではないでしょうか?
もちろん、過敏に考えすぎて、飼い主さんがストレスになるのもよくありませんが、日頃から意識づけをしながら、猫の健康を守っていくことが大切です。