猫ちゃんにどんなときに洋服を着せる?
もちろんファッションで洋服を着ている猫ちゃんもいるでしょう。
しかし、実は実用性を持っている可能性もあるのです。どんな目的の時に洋服が役立つのでしょうか。
皮膚トラブル
どんな猫ちゃんでも皮膚トラブルを起こす可能性はありますが、皮膚がデリケートな猫ちゃんは、いろいろなタイミングで皮膚トラブルを繰り返す可能性があります。
治りかけでこれ以上気にして舐めてしまうことが無いように、または皮膚のコンディションをよりよく維持するために、アレルゲンや乾燥などから守るために洋服を着ている場合もあります。
接触性のアレルギーを持つ猫ちゃんの場合、素材次第で素材がアレルゲンだと皮膚のコンディションがより悪化する場合もありますが、サイズや素材を選べば保護されるため、より良い状態に維持できる可能性も高いです。
手術後の傷対策
避妊手術などの開腹手術や、腫瘍切除などの手術の場合、体表に傷が出来ることが一般的です。
抜糸の必要のない縫合方法で切開した皮膚を縫合する場合もありますが、傷口がしっかりとくっついてから抜糸をするケースも多いです。
猫ちゃんの舌はざらついている特徴があり、縫合糸を舐め切ってしまったり、傷口を開いてしまう危険性があります。
そのため、エリザベスカラーと呼ばれる傷口を舐められないようにするための襟巻を付けることが一般的ですが、頭も重くなり視界も悪くなるため、猫ちゃんたちにとって大きなストレスとなってしまうことが多いです。
ストレスが少しでも軽減できるように考えられたのが術後服と呼ばれる、傷口を保護するための洋服になります。
寒さ対策
猫ちゃんにとって、被毛は体温を温かく維持するために欠かせません。
ほとんどの猫ちゃんが被毛のある種類であることが多いですが、中には被毛の生えていない猫ちゃんもいます。
また、被毛があっても痩せ気味の猫ちゃんや、高齢の猫ちゃんなどは寒さに弱く、自分の体温を上げるだけでも体力を消耗させてしまう危険性もあります。
そんなときに洋服を着せてあげることで体を温めて、体を温めることで体力の温存につなげられる可能性があります。
どんなメリットがある?
洋服を着せることは実用性もあることがわかりました。
どんなことにもメリットとデメリットがあるため、充分理解したうえでどうするかを判断する必要があります。
洋服を着せることにはどんなメリットがあるのでしょうか。
舐めることによる外傷を防げる
猫ちゃんの舌はざらざらとしているため、ずっと舐めていたり、皮膚トラブルなどで炎症を起こしている皮膚の場合、舌によって擦りむけてしまうような外傷につながる場合があります。
痒みがある場合などに、気を反らすことが難しいケースやどうしても留守番で目を離すタイミングがある場合などに舐めすぎを防止する対策として有効です。
ただし、猫ちゃんは体も柔らかいため隙間から首を入れて舐めてしまったり、器用に脱いでしまったりするケースも多いため、洋服の形などは適したものを選ぶ必要があります。
アレルゲンなどに接触しないよう皮膚を守れる
ベランダや庭などを含むお外に出る猫ちゃんもいるでしょう。
接触性のアレルギーを持つ猫ちゃんの場合、アレルゲンとなる植物に接触することや、室内でもアレルゲンとなる素材のラグなどに接触することで皮膚トラブルにつながることがあります。
また、ノミやダニなどの予防は欠かせませんが、洋服を着せることでノミやダニとの接触も軽減できるため、予防薬や駆虫薬と併せて使用することで、よりしっかりした対策が可能となるでしょう。
素材によって被毛の代わりに体を温められる
素材によりますが、洋服が被毛の代わりに体を温めてくれる場合があります。
毛布などでも代用できますが、毛布の場所になかなかいてくれなかったり、活発に動き回ってしまう猫ちゃんの場合、洋服は体に密着しているため、体を温めるために適している可能性が高いです。
夏場は暑くなってしまう危険性もありますが、紫外線から皮膚を守ってくれる効果も期待できます。
どんなデメリットがある?
猫ちゃんにとって洋服にはたくさんのメリットがあるようですね。ではデメリットはどんなものがあるのでしょうか?
メリットとデメリットを並べて、洋服に何を期待したいかということや、メリットとデメリットのどちらが猫ちゃんに大きく影響するかということを考えることが大切です。
考えられるメリットやデメリットも猫ちゃんの体格や性格などにより個体差があります。お家の猫ちゃんではどうか、よく考えてみましょう。
動きにくさ
本来猫ちゃんたちは洋服を着る生き物ではありません。
こだわりも強く、皮膚にまとわりつく感覚が不快に感じる猫ちゃんも多いです。
また、活発な猫ちゃんが多く、素早く高いところまで上り下りをするなどの運動を好むことが多いため、洋服自体が邪魔になって動きにくくなってしまうことがあります。
何とか脱ごうとして中途半端な脱ぎ方になってしまい、ケガや窒息などの事故につながる危険性もあるため注意が必要です。
傷口の状態悪化
傷口を保護する目的で洋服を着せることもありますが、季節によっては逆効果になってしまうこともあります。
洋服の上から傷口を舐めることで、雑菌の含まれた唾液が洋服にしみこみ、傷口部分を洋服が覆うため通気性の悪さなどから細菌の繁殖が活発になり感染などにつながる危険性があります。
洋服による保護が適切なトラブルなのかをかかりつけの先生と相談をしてから洋服を着ることを決めることや、傷口の状態を定期的に観察をすることで違和感を感じたらすぐに受診をすることを心がけるなどで、状態悪化などのリスクは防げる可能性が高いです。
余計気にしてしまうスイッチとなる
普段洋服を着慣れない猫ちゃんが洋服を着ることで、余計に洋服や保護したい部分を気にしてしまうきっかけになってしまう可能性もあります。
猫ちゃんはデリケートな子が多く、普段との違いに気づきやすい生き物です。
普段は着たことのない洋服への違和感や、肌に触れる触感の違和感、密着する感じが気になるなど、洋服の素材や形状によっては猫ちゃんの性格によりますが、気になるポイントが多くなってしまい、落ち着かないことや排泄ができないこと、食欲不振に陥ることなどのトラブルにつながる可能性も考えられます。
お家の猫ちゃんが小さな変化などに気づきやすく、デリケートさんなのであれば洋服を徐々に慣らすことや、反応によっては使用を控えた方がいいかもしれません。
まとめ
このように、より健康を維持するために有意義に使用できることやたくさんのメリットがある洋服を着ることですが、猫ちゃんの性格や健康状態によっては、よりストレスになってしまったり、健康を害する原因の一つになってしまいます。
飼い主さんだけでは判断は難しいかもしれません。トラブル対策として洋服を着せてみようかなと思う場合、まずはかかりつけの先生などの専門家に相談することをおすすめします。