高齢猫に多く見られる『関節症』4つの兆候や原因、予防法を解説

高齢猫に多く見られる『関節症』4つの兆候や原因、予防法を解説

加齢とともに体調に変化が起きてくるのは、人間も猫も同じ宿命なのかもしれません。高齢猫がかかりやすい「関節症」も例外ではありませんが、いったいどんな病気で、少しでも予防していくために、私たち飼い主には何ができるのでしょうか?この記事では、関節症の基本、よく見られる4つの兆候や原因を解説していきます。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

高齢猫に多く見られる『関節症』とは?

高齢猫の後ろ足

関節症とは、高齢猫の多くがかかってしまう病気のひとつです。

骨と骨のつなぎ目である「関節」のクッションとして働く「軟骨」がすり減ることによって、痛みを引き起こします。

一度発症すると、完治させることは難しい病気と言われており、痛み止めやサプリメントなどを使って、治療を継続的に行うことが求められます。

悪化してしまうと歩行困難となる恐れもあるため、飼い主さんの早めの気づきが重要です。

特に、猫は痛みを隠そうとする傾向があるため、これから解説する兆候を見逃さないようにしましょう。

気を付けたい4つの兆候や原因

爪とぎ器の上で休む猫

1.当たり前にできていた動作ができなくなる

関節症は、痛みや不快感を伴うため、どうしても活動範囲が狭くなりやすいです。

たしかに、高齢になるにつれて筋力がだんだんと低下するので、若い頃と比べると、活動量が少なくなるのは自然なことかもしれません。

とはいえ、ジャンプや爪とぎなど、今まで当たり前にこなせていたことができなくなっているのであれば要注意です。

ただの老化現象と思い込むのではなく、動物病院へ早めに受診するようにしましょう。

2.不自然な歩き方をする

人間が痛みを感じているときに足を引きずるのと同じように、猫も歩き方が不自然になります。

関節を曲げないように歩いていたり、足を地面につけないように歩いていたりする様子が見られるのであれば、異常が起きているサインです。

ただ、不自然な歩き方は、必ずしも関節症のときだけに見られる兆候とはかぎりません。

たとえば、つい先ほどまではスムーズに歩けていたのに、突然不自然になったのであれば、ケガをしている可能性なども考えられるでしょう。

3.毛づやが悪くなった

加齢に伴い、毛質にも変化が起こりますが、毛づくろいの不足によっても同じような兆候が見られます。

これは、先に解説した「当たり前にできていた動作」にも当てはまりますが、関節に痛みが生じると、体を曲げて毛づくろいをすることが難しくなるのです。

毛づくろいの不足は、被毛がかたまりになっている、ベタついているというように、見た目にも現れやすいため、注意して観察しましょう。

4.触られるのを嫌がる

大好きな飼い主さんに触られるのを嫌がるのも、関節症の疑いがあります。

触られると痛みを感じるためであり、飼い主さんから物理的距離を取ってしまう猫もいるかもしれません。

腫瘍やヘルニアなどにかかっているときも、触られるのを拒む傾向があり、さまざまな不調に気づく鍵となるでしょう。

また、今までは穏やかな性格だったのにも関わらず、急に怒りやすくなってしまったという場合も、痛みを抱えている可能性を疑ってください。

予防のために飼い主さんができること

猫じゃらしで遊んでいる猫

若い頃からできる予防は、体づくりです。丈夫な筋肉や適正体重を保つことは、関節症の予防に効果的です。

積極的に遊ぶ時間をつくって運動をうながし、肥満の予防のために、食事は適切な量を守りましょう。

肥満になってしまうと、体重を支える関節に負担を増やしてしまうばかりか、糖尿病や心臓病などを引き起こす原因にもなります。

もしすでに高齢猫であれば、特に気になる様子が見られなくとも、年に2回ほどは定期健診を受けて、目に見えない些細な変化にも気づけるように配慮しましょう。

また、高い場所にも登りにくくなるため、ステップを設置するなど、できるだけ関節に負担をかけないような環境を整えてあげることも大切です。

まとめ

気持ちよさそうに目をつぶる猫

高齢猫に多く見られる関節症とは、関節のクッションの役割を担う軟骨のすり減りによって、痛みを引き起こす病気です。

加齢だからと単純に考えるのではなく、動作や見た目の変化から、関節症の兆候を見極めていきましょう。

なかには、痛みにより、飼い主さんに触られることすら拒む猫もいます。

ライフステージに合わせた予防が必要であり、丈夫な筋肉や適性体重の維持は、若い頃から意識しておきたいものです。

予防をしても完全には防げませんが、早い段階で猫が抱える不調に気づくことが、何より大切でしょう。

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