1.タウリンとは?
タウリンはアミノ酸の一種で、タンパク質を構成する成分のひとつです。
人や犬を含む多くの動物の体内で合成されますが、猫の場合は体内でほとんど合成することができません。
そのため猫にとってタウリンは必須アミノ酸として扱われ、食事から摂取する必要があります。
猫は本来肉食動物であり、野生では主に小動物を捕食して生きてきました。獲物の肉や内臓には豊富なタウリンが含まれているため、野生下では十分タウリンを摂取できていたのです。
しかしペット化された現代の猫は、人間が用意した食事に頼るようになり、タウリンの摂取が不十分になるリスクが高まっています。
そのため猫の飼い主は、愛猫が「タウリンを十分に摂取できているかどうか」に注意しなければいけません。
市販のキャットフード(総合栄養食)の多くには、タウリンが添加されていますが、手作り食や人間の食事の残りを与える場合には、タウリン不足に陥る可能性があります。そのため、きちんとキャットフードを与える必要があります。
2.タウリンの働きは?
タウリンは、猫の体内で多岐にわたる重要な役割を果たしています。ここでは、その主な働きと効果について詳しく見ていきましょう。
視覚機能の維持
タウリンは、猫の網膜の健康維持に不可欠です。タウリンが不足すると、網膜変性の進行につながる場合があり、最悪の場合、失明に至る可能性もあります。
心臓機能の維持
タウリンは、心筋細胞の正常な収縮と弛緩を助け、心臓の健康を維持します。また血管の弾力性を保つ効果もあり、循環器系全体の健康に寄与しています。
肝臓機能の維持
タウリンは胆汁酸の形成に関与しており、肝臓の働きをサポートします。
免疫系の強化
タウリンには抗酸化作用があり、体内の有害な活性酸素を除去する働きがあります。これにより細胞の損傷を防ぎ、免疫系を強化し、健康に維持する効果があります。
生殖機能と胎児の発育
タウリンは雄猫の精子の質を向上させ、雌猫の正常な妊娠と出産を助けます。また、胎児の脳や神経系の発達にも重要な役割を果たしています。
3.タウリンが不足するとどうなる?
猫の体内でタウリンが不足すると、「タウリン欠乏症」と呼ばれる病気を発症します。
主な症状には、心筋症、視力障害、成長遅延、免疫機能の低下があります。猫の場合はとくに心臓への影響が出やすいと言われているので、注意しましょう。
タウリン欠乏症の原因としては、タウリンが不足した食事を与え続けることが多いです。
とくに手作りの食事や、総合栄養食ではないキャットフードは、タウリンが不十分である可能性が懸念されます。
もし猫にタウリン欠乏症の症状が疑われる場合は、早期に獣医師に相談し適切な対処を行いましょう。
4.タウリンの不足を防ぐためのポイント
タウリンの不足を防ぐためには、以下のポイントに注意することが大切です。
バランスの取れた食事
総合栄養食と記載されたキャットフードを選び、タウリンが適切に含まれていることを確認しましょう。基本的に「総合栄養食」と記載されたフードは、タウリンが含まれています。
また手作り食を与えるときも、なるべくタウリンが多く含まれる食材を使ったり、別途サプリメントなどを活用し、タウリン不足にならないように気をつけましょう。
定期的な健康チェック
家庭内でも、できる範囲で健康のチェックを行うのが好ましいです。たとえば体重測定・食欲や元気、被毛の状態など、家庭でもチェックできることはたくさんあります。
加えて定期的に健康診断を受けられると、より猫の健康をサポートしやすくなります。
血液検査などの検査が受けられればより理想的ですが、こまめに体重測定を行なったり、触診や聴診などをしてもらうことで飼い主さんには気づけなかったことがわかる場合もあります。
まとめ
タウリンは猫の健康にとって欠かせない栄養素であり、その不足は心筋症や視力障害などの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
飼い主はタウリンの基本的な働き、不足によるトラブル、そしてタウリン欠乏の予防方法について理解を深め、適切な食事と管理で猫の健康を守りましょう。