1.24時間以上食事が摂れていない
『食欲は健康のバロメーター』というように、愛猫の食欲の有無を知ることは、その猫の健康状態を知る大きな手掛かりとなります。
猫が食欲不振を起こす疾患は多数ありますが、その中でも以下は緊急性が高いものです。
- 泌尿器疾患
- 消化器疾患
- 悪性腫瘍
- 誤飲 など
1食分の食事を食べなかった程度であれば、様子を見ても構いませんが、丸一日まったく食べない場合は、重篤な疾患が隠れているかもしれません。すぐに動物病院へ連れていきましょう。
なお、生後1~2カ月の子猫であれば8時間以上、1歳未満であれば半日以上を目安にしてください。
若齢の子猫の場合、必要とするエネルギーや栄養が多いため、食べないことで低血糖などの栄養不足に陥ってしまう危険性があります。
また成長した猫であっても、ご飯を食べないことで肝臓が変性して機能が低下していく特性があるため、完全な絶食状態が続くことは良くありません。もし食べない場合は積極的な受診をおすすめします。
また、「まったく食べないわけではないけれど普段より食欲がない」状態が3日以上続くときも、病院へ行くことをおすすめします。
食欲不振以外に、下痢や嘔吐、排便・排尿をしない、よだれを垂らすなどの症状が見られる場合も疾患が疑われるため、早急に受診してください。
2.排尿・排便が極めて少ない
猫は元々オシッコを我慢しがちな動物ですが、あまりにも排尿しないときは以下のような疾患の可能性があります。
- 泌尿器系のトラブル
- 脱水 など
24時間オシッコをしない程度であれば問題ありませんが、2~3日出ていないとなると危険です。
尿道→膀胱→尿管の順番に影響を及ぼし、最終的には腎臓にダメージを与えてしまうことになります。猫自身も大変痛みを感じている可能性があるので、早急に受診しましょう。
排便に関しても、出ていない日が続くと『巨大結腸症』を起こす可能性がありますので、早めの受診がおすすめです。
さらに、オシッコが出ているかどうかをチェックするときも、注意が必要です。一見すると何度もトイレに行っているようでも、実際には何も出ていないことがあるためです。
排泄がまったくないのか、少しはあるのかで診断結果も変わってきます。ペットシーツを裏返しにしたり、システムトイレを使ったりなどして、愛猫の排泄量までチェックするようにしてください。
尿の頻度や性質に変化を感じたら受診のうえ、尿検査をしてもらうことをおすすめします。
3.短時間に何回も吐く
猫は空腹や毛玉を取り出すために胃液や毛玉を吐くことがありますが、短時間に何度も吐くのは異常であることが多いです。
嘔吐を伴う重篤な疾患には以下のようなものがあります。
- 急性膵炎
- 腎不全
- 腸閉塞などの物理的な閉塞
- 重度の感染症
- 中毒
胃に到達した状態で吐き出すものを『嘔吐』、胃に到達する前に吐き出されるものを『吐出』といいます。どちらが重症というわけではなく、他の様々な症状から相対的に判断します。
基本的には、少しでも「いつもと違う」と感じたら受診するのがおすすめです。嘔吐を繰り返すことで脱水症状を起こしたり、消化器官がダメージを受けてしまうためです。
嘔吐の他に、元気や食欲がない、吐いたものに血や異物が混じっている、色やニオイがおかしいといった場合も早急に受診しましょう。
4.呼吸が浅い
基本的に、猫は口を開けてハアハアと呼吸することはありません。そのため、このような様子が見られた時点で異常と判断した方がいいでしょう。呼吸が苦しくなる疾患としては、以下のようなものがあります。
- 心臓病
- 熱中症
- 肺炎などの呼吸器トラブル など
猫の口呼吸で最も怖い疾患のひとつが『肥大型心筋症』です。心臓の内腔が狭くなることで血液循環が悪くなり、肺水腫や胸水が起こり、呼吸が苦しくなるという仕組みです。猫自身も苦しく、緊急性が高い状態ですので、一刻も早く動物病院を受診してください。
また暑い時期には熱中症にも注意が必要です。真夏だけでなく、温度の高い春や秋も要注意です。
この時期に猫が口呼吸を始めたら、歯茎が充血していないか、食欲不振になっていないかをチェックしてあげてください。症状が悪化すると、嘔吐や下痢、けいれんなどの症状が出ることもあります。
まとめ
今回は、猫が本気で辛いときに見せる「SOS」サインについて解説しました。
猫は我慢強い動物なので、痛みや苦しさを隠そうとする傾向があります。
愛猫の異変をチェックできるのは一緒に暮らす家族だけ。日頃から猫の様子をよく観察し、万が一のときに迅速に気が付けるようにしましょう。