1.遊びや狩猟本能の発揮
猫が前足で叩いてくる行動の中で一般的な理由のひとつが「遊びや狩猟本能の発揮」です。
この行動は、猫の本能的な行動と密接に結びついています。というのも、猫は生まれながらにして狩猟本能を持っています。家猫として暮らしていても、この本能は消えることはありません。
つまり野生時代のなごりである「狩猟本能」を、家庭内でもしっかり発揮しているということです。
そのため、まるで獲物を捕まえるかのように飼い主の手や足、時には顔を狙って前足で叩いてくるのです。
特に若い猫や活発な性格の猫に、この行動が多く見られます。エネルギーに満ちあふれた猫は、その余剰エネルギーを発散させるために、遊びを通じて狩猟本能を満足させようとしているんですね。
この場合の猫は楽しんでいるだけであり、飼い主を攻撃する意図はありません。猫の遊びの一環として受け止めてあげましょう。
2.飼い主への要求や不満
猫は自分の欲求を満たすために、さまざまな方法で飼い主にアピールします。前足で叩く行動もそのひとつです。
猫が何かを求めている場合、たとえば食事やおやつを欲しがっているとき、水が新鮮でないとき、トイレがきれいでないとき、または単に遊び相手になってほしいときに、この行動を見せます。
とくに長時間一人で過ごした後や、飼い主がテレビやスマートフォンに集中している時など、猫の不満がたまっているときに見られることが多いようです。
猫が前足で軽く叩くことで飼い主の注意を引き、自分の要求を伝えようとしているのですね。
3.ストレスや不安のあらわれ
猫は非常に繊細な動物です。環境の変化や日常生活の中での不安要素に敏感に反応します。
そのような時、猫は自分の気持ちを言葉で表現することができないため、体の動きや行動で不安やストレスを表現しようとします。前足で叩く行動もそのひとつなのです。
たとえば新しい家具が部屋に入ってきたり、見知らぬ人が家を訪れたりした時、猫は不安を感じることがあります。
こうした、猫が緊張している状況で、飼い主が猫に構おうとすると「やめて!」「来ないで!」といった気持ちを伝えるために、飼い主を叩くのです。
飼い主のことを嫌いになったわけではありません。自分を守るために防御的な行動をとっているだけなのです。
4.攻撃的で戦闘モードになっている
猫は攻撃的になると、前足で飼い主を叩く行動を取ります。その理由はいくつかあって、ひとつは、先にも少し述べましたが自己防衛のためです。
猫は危険を感じると素早く防御行動をとります。たとえば知らない人や動物が近づいてきた時、猫は身体を小さくして耳を後ろに引き、尻尾をふくらませるなどの警戒姿勢をとるのです。
しかしそれでも、さらに距離を詰めようとする場合には前足で叩きます。「近づかないで」という警告のサインです。
もうひとつの理由は、縄張り意識によるもの。
猫は非常に縄張り意識が強い動物で、自分のテリトリーに他の猫や動物が入ってくることを嫌います。
とくに室内で飼われている猫は、自分の生活空間が明確に決まっているため、その範囲に他の存在が侵入することに対してとても敏感です。
飼い主も例外ではなく、猫は前足で叩くことで相手を威嚇し、自分の縄張りを守ろうとします。
まとめ
猫が前足で叩いてくる行動にはさまざまな理由がありますが、飼い主がその原因を理解し、適切に対応することが大切です。
基本的に猫が前足で叩く理由は、遊びや狩猟本能からくる行動や要求、ストレス、さらには攻撃的になっている状態が原因にあります。
もし猫が前足で叩いてきたら、そこから猫の気持ちをくみ取り、猫の気分や状態に合わせたアプローチをとってみましょう。