猫が『優秀なハンター』だとわかる体の特徴や習性3つ イエネコにも色濃く残る野生の気質とは?

猫が『優秀なハンター』だとわかる体の特徴や習性3つ イエネコにも色濃く残る野生の気質とは?

猫は生まれながらにして一流のハンターです。持ち前の身体能力を使って、最短距離で獲物を捕らえます。おうちでのんびり暮らす愛猫も、多少の差はあれ、れっきとした狩人。今回は、狩りに最適化した身体のつくりや習性を3つのポイントに分けて解説します。愛猫だけでなく、猫全般への理解を深めるためのヒントにしてみてください。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.驚異的なダッシュ力を生む「白筋」

走る茶トラ猫

猫の足の速さは驚異的です。最高速度は約50kmで、人類最速のスプリンターであっても遠く及ばないとされています。オリンピックの100m走に出場したら、ぶっちぎりの金メダルです。

一流のアスリートを軽々と凌駕(りょうが)する脚力は、猫ならではの身体の構造に要因があります。

特に注目したいのは、後ろ足にある「白筋」の発達ぶりです。「白筋」とは、白い筋繊維のことで、速筋と呼ばれることもあります。わかりやすく言うと、ダッシュやジャンプ時に使われる筋肉です。

この「白筋」と柔らかくバネのようにしなる「背骨を含む関節」を巧みに使って、驚きのダッシュ力が生み出されます。狙われた獲物の立場からすると、あっという間の接近です。一瞬で生死が決まります。

逆に、持久力の要となる「赤筋」(遅筋)の発達はいまいちで、長期戦は苦手な傾向があります。狩りがうまくいかない場合は、深追いせずに、次のチャンスのために体力を温存します。

2.一撃必殺の犬歯

歯のアップ

持ち前のダッシュ力で獲物に近づいたら、今度はいかに確実に仕留めるかが問題です。そのとき駆使するのが犬歯で、上と下で2本ずつあります。鋭いクサビのような形状が特徴です。

後方から獲物の首筋を狙って、鋭利な刃物のごとく、犬歯を突き刺します。すると、脊髄を切断された相手はたちまち絶命。

実は、猫の犬歯の根元には鋭敏な神経が集まっていて、センサーのような役割を果たしています。一瞬のうちに相手の急所を探り当てるのも、狩りに特化したこの感覚が備わっているからこそです。

ちなみに、猫の犬歯には縦方向に微かな溝が入っています。「血溝(bleeding groove)」と呼ばれ、獲物の血が歯にこびりつかないようにするための仕組みです。

この点からも、筋肉だけでなく歯の構造もまた、根っからのハンター仕様である、と言えます。

3.待ち伏せ

待ち伏せする猫

猫の狩りは短期決戦のように見えますが、獲物が現れるまで、木陰や岩場などで辛抱強く待っていることがほとんどです。

たとえうまく獲物と巡り合わせたとしても、成功するかどうかはわかりません。もし失敗したら、再度、獲物の接近をじっと待つだけです。

この習性は、おうちで暮らすイエネコになっても、根強く残っています。たとえば、多頭飼いの場合、こんな日常シーンがあるはずです。

物陰で待ち伏せした猫が、のんびりくつろぐ同居猫に向かって急に飛びかかる。もちろん、じゃれ合いの一面はありますが、猫なりの狩りのエクササイズと言っていいでしょう。

待つことは、ハンターとしての必須条件です。猫は気長に獲物を待ちます。

まとめ

飛びかかる子猫

猫の魅力は、かわいらしさと野性味が矛盾なく同居している点です。狩猟本能は、イエネコになった現在も変わらず受け継がれています。

室内で飼育されている猫たちですが、ネズミや昆虫、鳥類などを見かけるとその本能が発揮されることも。

今回は、ハンター気質としての特徴を3つ挙げました。普段はおっとりタイプの愛猫も、起源をたどれば名ハンターです。

日頃から1回で10分程度、いっしょに遊ぶ時間をつくると、運動不足やストレスの解消につながります。飼い主さん自身も楽しみながら、愛猫の狩猟本能を上手に引き出してみてください。

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