1.おねだりが目的
人間と違い、猫は言葉を話せません。自分の気持ちや意志を行動で示します。愛猫が飼い主さんのまわりをウロウロし続けるのは、もしかすると単純に「お腹空いたよ~」と訴えているだけかもしれません。
毎日忙しいと、ごはんタイムが遅れてしまうこともあります。みなさんも知っての通り、猫の腹減り時計は驚くほど正確です。ごはんタイムが迫ると急にソワソワ。
それでも飼い主さんが気づいてくれなければ、デモ行動に打って出るしかありません。「お腹空いた!お腹空いた!お腹空いた!」と心の中で連呼しつつ、飼い主さんのまわりをしきりにウロウロします。
このウロウロには、「おかわり!」「遊ぼうよ!」、さらに「かまって!」という複数のバージョンがあります。猫にとって非常に使い勝手のいい表現手段と言えるかもしれません。
ウロウロを解決するいちばんの方法は、毎日、いつも通りの時間にごはんを用意することです。おかわりに関しては、健康を害さない程度に。おもちゃ遊びや触れ合いは、愛猫のストレス解消、健康を守るうえでも大切な時間です。一日で10~15分ぐらいは確保しましょう。
2.居心地がいいから
猫にマイルールがあるとすれば、いつだって「気分良く過ごしたい!」ということです。不快感や違和感、不自由は大嫌い。苦ニャンを乗り越えてこそ猫として成長できる、という考えはおそらくありません。手っ取り早く上機嫌でいたいのが猫です。
とりわけ、その傾向が増すのは、冬場です。猫は寒さが苦手なので、常に暖かい場所にいようとします。暖を取るため、飼い主さんの身体ほど重宝するものはありません。ホットカーペット代わりに密着し、いったん落ち着くと、ロングステイがルーティンです。
なるべく寄り添ってあげたいところですが、そうもいってられません。飼い主さんが立ち上がると、愛猫がすぐに後ろをついてきます。「ええ気持ちやったのに~」人間がコタツから追い出されるのと同じ気分なのでしょう。暖を求めて、飼い主さんを追いかけます。
冬場のウロウロ防止には、万全な防寒対策が欠かせません。愛猫に適した室内温度設定に加え、あったか毛布、ふかふか猫ベッドなどを用意してあげると、安心してぬくぬくできます。
3.「分離不安症」かも
3つ目の可能性は、いわゆる「分離不安症」です。大好きな飼い主さんが一時でも自分から離れると、不安でどうしようもない、という精神状態のことを指します。特徴的なのは、おしっこの粗相や過剰な毛づくろい、鳴きやまない、暴れる、など、強いストレス症状が表れることです。
一般的な共通項として、「甘えん坊でデリケートな性格」「離乳期が早かった」「飼い主さんがひとり暮らし」「生活環境の激変を経験」などが「分離不安症」になりやすい条件と言われています。
また、先天的な要素が大きいのもポイント。直接的なきっかけは、転居などの住環境の変化、長期に渡る留守番、新しい同居猫の登場などが挙げられます。
「分離不安症」は、愛猫と飼い主さんの過剰な密着ぶりが一要因としてあります。お互いに「ひとり時間」を設けるなど、適切な距離感を保つことも必要です。
もし「分離不安症」の疑いがあるなら、以下の対処法を試してみてください。
- 安心安全なプライベート空間をつくる(猫ベッド、キャットタワーなど)
- ごはんやトイレ、水のレイアウトを見直す
- 決まった時間にしっかり遊んであげる(ひとりで遊べるおもちゃも用意)
以上のことを対策しても、相変わらず密着行動が続くようであれば、動物病院に相談するのがベストです。
まとめ
今回は、飼い主さんから離れたがらない理由として、3つの可能性を指摘しました。おねだりやリラックスタイムが目的のくっつき行動に関しては、さほど心配はいりません。
ただし、愛猫が「分離不安症」だった場合、適切な対処が不可欠です。解説した日常的な対策はもちろん、動物病院の受診もあわせて検討してみてください。