1.自然な生え変わり
猫のヒゲは全部で約60本あります。ひときわ目立つ口元のヒゲ(上唇毛)の数は、通常24本です。他にも、目の上(眉上毛)、目の横下(頬骨毛)、アゴの下(下唇毛)などにもヒゲがあります。
ヒゲの役割は、平衡感覚を保ったり、障害物を察知したり、温度を感知したり、いわば、高性能センサーとしての役割を担っています。大切なものだけに、ヒゲが短くなっていると、心配になる飼い主さんもいるはずです。
もし愛猫のヒゲが短くなっていたら、生え変わりの途中かもしれません。猫のヒゲは、半年周期で生え変わります。成長途中のヒゲを見て、「短くなった…?」と初めて気づくこともあるでしょう。結論から言うと、自然のサイクルなので問題なしです。
ちなみに、日本では、抜け落ちた猫のヒゲを財布に入れると、金運がアップすると言われています。一方、ヨーロッパでは、恋愛運向上がご利益。もし日本の方とヨーロッパの方が結ばれたら、抜け落ちた猫のヒゲが、二人の将来を照らす最強のお守りになってくれるかもしれません。
言うまでもないことですが、猫のヒゲを無理やり抜くのはNGです。自然に抜け落ちるのを気長に待ちましょう。
2.猫同士のじゃれ合いが原因かも
仲良さそうにグルーミングし合う愛猫たちの姿は、飼い主さんにとっても心温まる光景でしょう。お互いにグルーミングすることで、友好関係を保つ働きがあります。アログルーミングとも呼ばれ、猫同士の大切なコミュニケーションのひとつです。
実は、グルーミングの最中に相手のヒゲを抜いてしまったり、噛み切ったりすることがあります。アログルーミングは、仲の良い者同士で交わされる行動で、敵意を前提にしているものではありません。やはり、「勢いあまって」と考えるのが普通です。
ただし、同居猫同士のケンカで揉み合った末、偶発的に抜けてしまったり、噛み切ったりすることもあります。もし険悪な関係が続くようであれば、生活空間を分けるなどの対策も必要です。
3.母猫が子猫のヒゲを噛み切ることも
3つ目に挙げるのは、母猫が子猫のヒゲを噛み切ってしまうことです。なんとも不思議な行動ですが、一説では、子猫が外敵に襲われないようにするため、と考えられています。
猫のヒゲは、子猫にとっても重要な体感センサー。そのヒゲを切ることで、自由奔放な子猫の行動を制限し、自分のそばに置いておく、というのが母猫なりの狙いです。
また、毛づくろいなど、母猫が子猫の世話をしっかりやっている証拠、という側面もあります。その場合は、「かわいさあまって」ということなのかもしれません。
もし成猫同士であれば、相手を子猫扱いしている可能性もあり得ます。いずれにせよ、あまり心配しなくてもいい状況です。
まとめ
猫にとってヒゲは、外見的にも、機能的にも欠かせないものです。今回は、愛猫のヒゲが短くなる理由として、自然の生え変わり、グルーミング時、母猫の子猫ケア、3つを解説しました。
たとえヒゲが短くなっても、室内猫の場合、おうちは勝手知ったる場所であり、生活上それほど影響はありません。
もしヒゲが短くなって調子がおかしいようであれば、念のため、動物病院に一度診てもらってください。