【獣医師が解説】猫のノミ・ダニ予防について 予防薬の選び方からよくある疑問まで解説

【獣医師が解説】猫のノミ・ダニ予防について 予防薬の選び方からよくある疑問まで解説

ノミやマダニはどうして予防しなくてはならないの?どんな予防薬をいつから使えばいいの?などの疑問について解説します。

ノミ・ダニなどの外部寄生虫について

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動物病院で「ノミやダニを予防しましょう!」と言われても、実際に実物を見たことのない人もいらっしゃるのではないでしょうか。

ノミやダニは「外部寄生虫」と呼ばれ、シラミなどと同様に基本的に体表面に寄生する寄生虫として、いわゆるお腹の虫などと言われる「内部寄生虫」と区別されています。どちらも吸血する寄生虫です。

現在では昔と比べて予防薬が発展していますので、日常的に見かけることは少なくなりましたが、ノミやダニは今でも近くにいる寄生虫です。

ノミは数mm程度の大きさのごく小さな虫で、肉眼で観察することは可能ですが、ネコちゃんの毛に埋もれてしまうとなかなか見つけづらいです。また、ノミと言われると「ピンピンとよく跳ねる」という印象がありますが、実際体表に住み着いている状態では、モゾモゾと意外と早い動きで歩き回るのを、動物病院ではよく見かけます。

ノミには「イヌノミ」や「ネコノミ」など名前の付いた種類がありますが、絶対にその種類にしか寄生しないというわけではなく、どちらも人や他の動物に寄生することがあります。

ノミ自体を見つけるのは意外と難しいので、多く寄生されている場合には「ノミの糞」を見つけることの方が簡単です。ノミの糞は黒っぽいフケのような感じで見つかりますが、血液を含んでいますので、ティッシュなどに取って水で濡らすとじわりと赤茶色ににじむのが特徴です。

動物病院で「予防しましょう!」と言われるダニとは、基本的に「マダニ」のことを指しています。ソファなど家の中に住んでハウスダストの原因とされるダニとは別種です。マダニの大きさは3~8mmですが、吸血してお腹いっぱいになると10~20mmにまで身体が膨らみます。

ここまで膨らむと見つけやすいですし、イボかなと思って来院したら吸血したマダニだった、という場合もあるくらいです。マダニはノミのようにあまり動き回らず、皮膚に口を刺しこんで連結させて吸血をおこないます。よく、「マダニを無理に引っ張って取ると、口が残るからダメ」ということを言われますね。

マダニの口は、吸血時しっかりと皮膚に固定されているので、吸血しているマダニを見つけたら家で無理に取らず、まずは動物病院にかかって除去してもらうのが最善です。

ノミやダニはどうして予防しなければならないの?

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近年、ノミやダニは日常的に見かけることが少なくなりました。しかし、見かけなくなったからといって近くに存在していないわけではありません。

ネコちゃんの完全室内飼いが推奨されてしばらく経ちます。しかしベランダに出ることがあったり、オーナーさんによる外猫ちゃんとの接触があったり、人間が室内に持ち込む可能性もゼロではありません。

ノミやダニは吸血することで痒みなどの症状を引き起こすことがあります。特にアレルギーを持っている子では、寄生している数は少なくても強い痒みを引き起こすことがあり、脱毛や皮膚炎などの症状に繋がります。

ノミやダニの寄生を確認するには、全身くまなく毛をかき分けてチェックしなくてはなりません。しかしとても小さな寄生虫ですので、寄生している数が少なければ確認が困難です。「皮膚の痒み」で来院した場合に、まずは外部寄生虫の予防・駆除をしましょうと動物病院で言われることも多いと思います。

ノミは「瓜実条虫」というお腹の虫(内部寄生虫)を媒介することも知られています。ウンチの中に米粒のような白い粒々が出てくるのが特徴的な寄生虫です。

マダニに関しては、人も含めて多くの病気を媒介することが知られています。「日本紅斑熱」や「Q熱」「ライム病」などが人に感染する病気としてありますが、最近話題になっている恐ろしい病気として「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」が有名ですね。

SFTSは日本では2013年に初めて患者が確認された、比較的新しいウイルス感染症です。マダニが媒介する感染症で、犬や猫を含む多くの動物に感染し、人でも感染・死亡例があります。

治療法が確立されておらず、致死率は高ければ30%にも上ると言われており、犬や猫ではさらに致死率が高いとも言われています。

現在は主に西日本で患者が確認されていますが、関東でも感染した例が確認されており、他の地域のマダニがSFTSウイルスを保持しているとの研究もあります。

犬や猫から人へどう感染するのかは、まだ研究途中であり「マダニに咬まれないこと」「犬や猫にマダニを寄生させないこと」がこの病気を防ぐためにとても重要です。

猫ではこの他に、「ヘモプラズマ感染症(以前はヘモバルトネラと呼称されていた)」という病気があります。細菌(マイコプラズマ)によって貧血が引き起こされる病気ですが、この感染経路として、ノミやマダニなどの吸血が挙げられています。

このように、ノミ・ダニそのものが及ぼす痒みなど以外にも、様々な病気の予防対策として、ノミ・ダニ予防は必要となってくるのです。

ノミダニ予防をする期間は?

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ノミやダニはいつ予防を始めれば良いか、というのは動物病院でもよくいただく質問です。

基本的にはノミ・ダニの活動が活発になるのは春から夏が多く、平均気温が18~27℃、湿度も高めな方がより活発になると言われています。

しかし気温13℃で繁殖が可能という研究もあり、暖冬の傾向がある近年では早めの対策や通年予防を推奨する傾向もあります。また地域差もありますので、お近くの動物病院で予防期間を尋ねてみるのも良いでしょう。

予防薬の選び方

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ネコちゃんのノミ・ダニ予防薬は、各メーカーが多くの種類を出しています。どの予防薬を選べばよいか、悩んだ方も多いのではないでしょうか。

ネコちゃんでは薬を飲ませることが困難なことが多いため、予防薬の多くは【滴下剤(スポット剤)】になります。


【スポット剤の特徴】
  • 皮膚に滴下することによって、皮脂腺に薬剤成分が蓄えられ、持続的に効果を発揮する。
  • 投薬が苦手な子にも投与しやすい。
  • ノミやダニが吸血しなくても効果を発揮する。

皮膚に直接滴下するので、もちろん皮脂腺に薬剤成分が移行するまでの間はシャンプーを控えなくてはなりません。

皮膚への刺激に敏感な子の場合、滴下した箇所を気にして掻いてしまったり、薬を舐めて涎が出てしまうこともありますので、特に口の届きにくい箇所(首の後ろなど)に滴下することが推奨されています。

ネコちゃんはワンちゃんに比べて身体が柔らかく、グルーミングもよくおこなう動物ですので、肩よりも頭側に滴下するのが望ましいでしょう。

基本的には1ヶ月に1回の投与を推奨されているものが多いですが、中には3ケ月効果が持続する薬も開発されています。

また、お腹の虫(内部寄生虫)にも効果を示すもの、耳ダニ(ミミヒゼンダニ)や疥癬(かいせん)にも効果を示すものなど、製品によって効果も様々です。

ワンちゃんでは有名な「フィラリア症」という心臓に寄生する寄生虫を予防する効果があるものも、近年では開発されています。フィラリア症は主にワンちゃんの病気ですが、ネコちゃんでは少数の感染でも重篤な症状を起こすことがあると言われています。

妊娠中や授乳中、体重や月齢によって使える薬が限られていることもあります。

また、市販のノミ取り首輪なども販売されていますが、基本的には忌避剤であり、駆除や予防効果は低いとされています。効果やその持続期間も動物病院で処方している予防薬の方が高いという研究がなされています。

まずはかかりつけの動物病院で、自分のネコちゃんに合った予防薬を相談してみるのが良いでしょう。

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