猫が「緊張している」サイン
何かにつけすぐ緊張する人に対して、親しみを込めて「緊張しい」と呼ぶことがありますが、まさに猫は緊張しいの動物だといえるでしょう。普段は自信に満ち溢れているような猫たちですが、実はとても警戒心が強くて臆病な動物なのです。
人の場合は、大事なことの前に失敗を恐れて緊張しますが、猫は失敗を恐れるのではなく、些細なことで身の危険を感じて緊張することが多いようです。
リラックスしているときは、全身の力を抜き伸びたようになっている猫も、緊張すると全身に力が入って縮こまり、すぐに動けるような体勢に切り替わります。
そこで今回は、猫が「緊張している」サインについて、パーツごとに解説いたします。
1.目を大きく見開き、黒目も丸く大きくなる
緊張すると、猫は目を大きく見開き、黒目も丸く大きくなります。
猫の黒目は光量で変化しますが、緊張するとより多くの情報を得ようとして、光量とは関係なく大きく丸くなるのです。
2.耳を前に向ける、伏せる
耳が横に向いた状態で立っていれば、リラックスしています。しかし、耳が前に向いているときは、緊張のサインです。何か気になるものがあり、その方向に顔と耳を向けて情報収集しようとしているのです。
恐怖心が強くなると、耳は次第に横に向けて伏せた状態になります。耳が完全に後ろ向きになったら、一転攻撃体勢に入ったというサインです。こうなる前に対処しましょう。
3.ひげが顔の前の方を向いている
ひげも猫の気持ちをよく表すパーツの一つです。リラックスして自然に横を向いていたひげが、顔の前の方を向いた状態になったら、緊張しているサインです。
ひげも情報を収集する大切な器官なので、気になるものの方向に向け、情報収集しようとしているのです。
ひげが顔の両側面にピタッと貼り付き、さらに体も小さく見せようとしている場合は、恐怖心が強まって身を守る体勢に入ったサインです。
4.悲しげな声でミャオッと鳴く、唸る、黙る
突然ちょっと悲しげな声でミャオッと鳴く、または唸る、黙るといった場合も、緊張したサインであることが多いです。
ただし、その子や緊張の原因によっても反応が異なりますので、これらの変化が見られたときには、注意して愛猫とその周囲の様子を観察してみてください。
5.体を小さく見せようとする、周囲を調べ始める
猫が緊張すると、体を小さく見せようとします。そのため、お腹を下にして丸まった状態で座ることが多いです。肩側よりも腰側が低い状態になり、すぐにでも飛び出せる体勢になります。
リラックスして座っているように見えても、前脚を前に伸ばしている場合は、軽度ですが緊張しています。前脚も体の下に折り畳んだ香箱座りよりも、いざという時にすぐに動ける姿勢をとっているのです。
また、周囲を調べ始めたりすることも、猫の緊張しているサインです。恐怖心が強くなると固まって動けなくなったり、その場から逃げ出して姿を隠したり、逆に攻撃的になったりすることもあります。
猫の緊張がよく見られるシーンで気をつけるべきこと
ではここからは、猫の緊張がよく見られるシーンで気を付けるべきことについて解説します。
猫の性格にもよりますが、適切な対応ができるように確認しておきましょう。
入浴時
愛猫を入浴させなければならない場合には、できるだけ緊張を解させるように優しく声を掛け、少しずつお湯に慣らしていきましょう。お湯の温度は37℃程度を維持します。
緊張がピークに達しても逃げ出せないよう、扉や窓を閉めておくこと、浴槽に落下しないように目を離さないことなどに気を付けましょう。
動物病院での診察時
猫が最も嫌がる場所が、動物病院かもしれません。消毒薬のニオイがし、見知らぬ動物や白衣を着た人がたくさんいて、注射など嫌なことをされる場所だからです。
緊張し恐怖を感じた猫は、キャリーバッグの扉が開いた瞬間に逃げ出し、診察室の機材の裏側や棚の上などに逃げ込むかもしれません。
愛猫は洗濯ネットに入れてからキャリーバッグに入れると、逃げ出すことがなく安心です。かわいそうだと思うかもしれませんが、洗濯ネットに入っている方が猫も落ち着けるのです。
来客時
不審な侵入者を警戒し、来客中は隠れて出て来られない猫も多いです。
お客様には猫をかまって刺激しないように事前に頼んでおきましょう。
また、猫のために、身を隠せて落ち着ける居場所(隠れ家)を来客前に作っておいてあげましょう。
騒音が聞こえる時
猫は、大きな音が苦手です。しかし雷や近所の工事音などは、避けることができません。防音できるケージなどを室内に設置し、普段から使える隠れ家にしておくと良いでしょう。
またドライヤーや掃除機など、普段使う電化製品の音にも緊張する猫が多いです。
普段から音を聞かせ、落ち着いていられたらご褒美をあげるなどにより、電化製品の音と嬉しい体験を結びつけてあげると、怖がらないようになります。
脱走直後
玄関の扉が空いた隙に、猫が外に飛び出してしまうことがあります。
外に出た猫は未知の環境に緊張して、家を出てすぐの場所の物陰などでしばらくじっとしていることが多いです。
この状態のときに捕まえられるよう、逃げ出したらすぐに追いかけて物陰を探してみてください。
リフォームや引越し後
環境の変化も猫を緊張させ、ストレスの要因になります。
猫の緊張を解すために、猫のニオイが染み付いたブランケットや寝床などを室内の要所に置きましょう。自分のニオイがすることで、安心できるでしょう。
まとめ
今回は、猫が「緊張している」サインについて解説しました。
猫は元々緊張しやすい動物ですが、ストレスを隠そうともする性質なので、飼い主さんが気付いてあげなければいつまでも愛猫の緊張状態を解決することはできません。
さらに、猫はストレスが原因で問題行動を引き起こすこともあれば、重篤な病気を発症してしまうこともあります。
愛猫の緊張のサインにできるだけ早く気付き、速やかに緊張の原因を取り除いてあげましょう。