猫が「お風呂上がり」を待っていてくれる理由
一時期、我が家にはオス2匹、メス1匹の猫たちが一緒に暮らしていました。皆別々に保護された子たちでしたが、特に激しい喧嘩をすることもなく、仲良く暮らしていました。
そのうち、一番体の大きいオスは玄関、トイレ、洗面所までのエリアを、体の小さいオスは冷蔵庫の上とベランダに面した部屋を、メス猫は和室を、ぼんやりとですが自分の縄張りとしているらしいことがわかってきました。
筆者のこのような猫たちとの生活を通して、猫が「お風呂上がり」を待っていてくれる理由について考えてみたいと思います。
1.パトロールしたい
体の大きいオス猫は、自分の縄張りである洗面所の続きであるお風呂場も、当然自分の縄張りにすべきエリアだと思っていたのでしょう。
ある時一緒に浴室に入り込み、浴槽の淵に乗って中を覗いたりして、一通りお風呂場がどんな場所なのかを確認しているようでした。それからは、私が浴室に入る度についてきては、中をパトロールするようになりました。
お風呂場で嫌な経験をしたことがなく、あまり濡れるのを厭わない子なら、入浴するときに一緒に入って来ても、おかしくないかもしれません。
2.飼い主を心配している
お風呂場も自分の縄張りだと確信した猫は、無防備な状態で入浴している私に対しても「見守る対象」だと認識したようです。
当時浴槽の中で本を読む習慣のあった私は、浴室の扉を少し開けたまま本を読むようにしていました。すると、私が浴槽で読書をしている間は、濡れていない扉の枠の上で、私に背を向けて侵入者を見張るように座っているようになりました。
本から目を上げ、振り返って私を見ている猫と目があい、小さく「ニャッ」と鳴いた声は、「大丈夫、誰も来ないよ」と言っていたようでした。
この猫のように、扉が閉まった状態でも入浴中の飼い主さんを心配して見張ってくれている子もいるのではないでしょうか。
3.お風呂場に興味津々だから
彼らの縄張りがまだぼんやりとしていた子猫時代は、体の小さいオス猫やメス猫も、入浴中の私を覗きにやってきました。扉を開けても入ってこようとはしませんでしたが、それは少しでも濡れるのが嫌だったからだろうと思います。
ただ、普段は閉まっている扉の向こうに入ると、2時間くらい出てこなくなり、ジャージャーと水の流れる音がしたり、急に静かになったりする気配に、「中で一体何をしているのだろう?」と興味津々だったようです。
4.マーキングのために待ち構えている
何となく彼らの縄張りがはっきりしてきてからは、入浴中にメス猫が覗きに来ることはなくなりました。しかし、私がお風呂から上がるとすぐにやってきて、私の濡れた頭に顔を突っ込み、こすりつけていました。
これは、おそらくシャンプーで流れてしまった私の頭に、マーキングをして自分のニオイをつけていたのだと思います。扉の前ではないものの、自分のニオイをつけようとお風呂から上がるのを待ち構えていたのでしょう。
お風呂上がりの飼い主さんの身体に自分の体をこすりつけたがる猫は、おそらく消えてしまった自分のニオイを少しでも早く飼い主さんにつけたいという気持ちから、お風呂上がりを待っているのかもしれません。
5.かまってもらうのを待っている
中には、興味津々で浴室の扉の前で待っていたら、お風呂上がりの飼い主さんに「待っててくれたの?ありがとうね!」などと声をかけられ、頭を撫でられたことが嬉しくて、またかまってもらおうとお風呂の出待ちをしている猫もいることでしょう。
その子にとって、飼い主さんの入浴は自分をかまってくれるサインだと感じているのでしょう。
よく観察していると気持ちがわかる?
飼い主さんのお風呂上がりを待っていてくれる猫はたくさんいます。しかし、前後の行動をよく観察していると、その子が何のために待っていてくれたのかがわかるようになるかもしれません。
ある子は浴室の中をパトロールするために扉が開くのを待っていたのかもしれませんし、入浴中の飼い主さんが心配で様子を見守っていたのかもしれません。
また、洗い流した身体にいち早くマーキングしようと待ち構えていたのかもしれませんし、お風呂上がりの飼い主さんから優しく声をかけて撫でてもらいたいのかもしれません。
何気ない猫たちの行動も、よく観察していると、彼らの意図が見えてくることがあリます。応えてあげられる期待ならば、応えてあげたくなるのが飼い主さんの心理ではないでしょうか。
パトロールをしたい子には、安全を確保した上で浴室内を探検させてあげたり、マーキングしたい子には、「洗ったばかりなのに」と言わずにマーキングをさせてあげてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、猫が「お風呂上がり」を待っていてくれる理由について解説しました。
飼い主さんと愛猫の間には、それぞれ独自のコミュニケーション方法ができあがるものです。中には、もっとユニークな理由で待ってくれている猫もいるかもしれません。
ぜひ、「お風呂上り」の出待ち以外でも、飼い主さんならではの視点で愛猫を観察し、心の交流を図ってください。