知らないとびっくりする猫の「体の落とし物」3選 なかには病気が原因のことも

知らないとびっくりする猫の「体の落とし物」3選 なかには病気が原因のことも

実は、「毛」以外にも、猫の落とし物はいろいろあります。今回は、3つの部位に分け、病気の有無も含めて解説します。深刻なケースもあり、愛猫の末永い健康のためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.爪

爪を出す猫

猫の落とし物でまず挙げたいのは、爪です。まるでフカヒレのミニチュア版みたいな形で、最初に見つけたときは、「?」と思った飼い主さんもいるかもしれません。

猫の爪の構造は、内側から外側にかけて、一番内層の新しい層から新しい順にいくつもの層から成り立っています。猫共通のルーティン、爪研ぎの目的のひとつは、外側にある最も古い層を剥がし、新しい爪を前面に押し出すこと。いわば、鋭くて丈夫な爪を維持するためのメンテナンスです。

狩りやマーキングなどに欠かせない爪ですが、たとえぼろっと抜け落ちても、健康上、何も心配はいりません。猫の爪は、日々、新しいものに生え変わります。出血がある場合を除いては、単なる新陳代謝の一環だと認識して大丈夫です。

ちなみに、抜け落ちやすいタイミングは、爪研ぎやダッシュ時など、爪に何らかの力がかかる状況となっています。

2.ヒゲ

猫のヒゲ

ヒゲもまた、猫との暮らしでポピュラーな落とし物です。猫のヒゲは、人間の想像以上に高精度の機能を誇っています。

たとえば、暗がりでスムーズに歩けるのも、ヒゲの先端がセンサー代わりとなって、障害物を前もって感知できるからと言われています。その他にも、空間認識、獲物の振動キャッチ、あるいは、感情表現のツールとしても、優れた能力を発揮します。

大事なものだけに、愛猫のヒゲが抜けてしまうと、飼い主さんは心配になるかもしれません。結論から言えば、ヒゲの落とし物は、ごく自然なサイクルの結果です。猫のヒゲは、だいたい半年ぐらいで生え変わるようになっています。

ただし、大量に抜け落ちている場合は要注意です。ストレスをはじめ、皮膚コンディションの低下など飼い主さんの気づかないところで状態悪化が進んでいるかもしれません。その際は、迷うことなく動物病院に診てもらいましょう。

3.歯(病気の可能性大)

口を開けて歯を見せる猫

前述した2つの落とし物については、例外を除き、ほとんど問題はありません。しかし、子猫でもないのに、抜け落ちた歯を見つけた場合は、口まわりの病気の疑いがあります。

可能性が高いのは、歯周病などです。

歯周病は、歯周ポケットに歯垢が付着し、歯石化→歯肉炎→歯周炎というプロセスを辿ります。放っておくと、最終的に歯が抜け落ちてしまうとても怖い病気です。

目立つ症状としては、口臭の悪化、歯肉の腫れ、よだれの増加などがあります。中高齢の猫の多くが歯周病と言われ、早めのケアが肝心です。

例えばほかに挙げられる歯頚部吸収病巣は、簡単に言うと、歯が溶けるように欠落していく病気です。破菌細胞の活性化が要因のひとつとされていますが、まだ詳しいことは特定できていません。

歯周病と同様に、口臭の悪化、よだれの増加がある他、痛みを伴うため、食欲低下に陥ることがあります。中年期以降に多い病気です。

まとめ

指と猫の爪

換毛期にごそっと抜け落ちる体毛の他にも、猫の落とし物はあります。今回、取り上げたのは、爪、ヒゲ、歯の3つです。

爪とヒゲに関してはほぼ問題ありませんが、歯が抜け落ちると、歯周病など、重大な病気が隠されている可能性があります。もし症状があらわれたら、早急に動物病院へ相談してみてください。

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