猫がウットリする「人の声」の特徴
音楽は、私たち人間が「音を楽しむ」ものですが、すべての音を楽しめるわけではありません。楽器の音は総じて人が好きな音だといえますが、例えば黒板をひっかくような音は、大抵の方が「嫌いな音」だと言うでしょう。
同じように、猫にも好きな音と嫌いな音の傾向があるといわれています。例えば、川の水のせせらぎや穏やかに吹く風の音、さえずる鳥や虫たちの声などごく日常的な自然の音や、穏やかで一定のリズムを刻むような音などは、猫の好む音だといわれています。
一方、雷鳴や発破などの地を轟かせるような大きな音や、掃除機や大型トラックのエンジン音などの激しく続く大きな音は、猫を脅かす嫌いな音です。このような傾向により、人の声にも、猫を魅了する声とそうではない声があるといわれています。
猫がウットリする「人の声」の特徴が分かれば、その特徴に近づけることで、馴染みの薄い猫からも比較的早く懐いてもらえるようになるかもしれません。
そこで今回は、猫が聞くとウットリする「人の声」の特徴についてご紹介します。猫にとってのイケボの持ち主を目指しましょう♪
1.聞き取りやすい高めの声
猫の可聴域は幅が広く、特に高周波音(高音域)はよく聞こえることがわかっています。そのせいか、猫は比較的高周波音を好む傾向があるといわれています。「猫はモーツァルトが好き」といわれるのも、モーツァルトの曲は高周波音を多く含んでいるためです。
人の声も同じで、猫は低い声よりも比較的高い声の方が聞き取りやすく、好むといわれています。「猫は男性よりも女性によく懐く」というのも、女性の方が男性よりも声が高いことが理由の一つとされています。
2.安定した感情の話し声
猫は低い音を嫌うだけではなく、大きな音も嫌います。そのため、感情的になって大声で怒鳴ったり、興奮気味に早口でまくし立てたりするような話し方をすると、怖がられてしまいます。
少し小さめの声で、落ち着いて穏やかに話しかける声を好む傾向が強いのです。
3.のんびりしたペースの話し声
安定した感情の話し声に加えて、猫はのんびりとしたペースの話し声をより好む傾向があります。
性別を問わず、子どもたちの声は総じて高い声ですが、大きな声を出したり普段から速いペースで話すため、あまり好まれません。それよりも、高齢者のようなのんびりしたペースの話し声が好まれます。
4.猫の鳴き声にやさしく呼応する声
人の会話では、相手の話しの内容を繰り返して「共感」や「理解」していることを示すことがあります。
同じように、猫の鳴き声をやさしく繰り返すと、反応してくれることが多いです。猫の鳴き声に合わせて優しい声で「うみゃみゃ…」などとオウム返しに返答すると、興味を示して返答してくれることがあるので、一度試してみてください。
大好きな飼い主さんの声だからこその注意点も
猫との関係が深まることで、飼い主さんとの間に信頼の絆が生まれます。
信頼関係を築くことができれば、その猫にとって最も魅力的な声は、飼い主さんの声になるはずです。飼い主さんの声を聞けば、安心できるようになるからです。そうなれば、多少声が低くても、多少早口になっても、猫が嫌がって逃げていくことはなくなるでしょう。
猫は、声と良い経験を結びつけて覚えます。飼い主さんの声と「ご飯」や「ご褒美」「遊んでもらえる」といった嬉しいこと、楽しいことが結びつくことが大切なのです。
まだ信頼関係が確立できていない間は、猫が好む声を意識して、良い経験と飼い主さんの声を結びつけて覚えてもらいましょう。その第一歩として、「叱る時には名前を呼ばない」ことを意識することをおすすめします。
猫がなにか悪いことをすると、つい厳しく大きめの声で叱りつけてしまうでしょうが、そのときに猫の名前を呼ぶと、自分の名前を叱られる合図だと覚えてしまうのです。
いつも優しい声で名前を呼びかけることで、猫の名前と飼い主さんの優しい声が、しっかりと良い経験に結びついて定着するはずです。
まとめ
今回は、猫がウットリする「人の声」の特徴について解説しました。
まだ猫を迎え入れたばかりの場合は、「声を荒げること無く、赤ん坊に話しかけるときのように、少し高めの声でやさしくゆっくりと話しかける」ことを心がけることをおすすめします。
そのように心掛けることで、猫がより早く飼い主さんに心を許し、自分から近づいてきてくれるようになるでしょう。ぜひ、試してみてください。