警察署に現れるようになった猫
米国ミシガン州Kentwoodにある警察署に出入りしていた1匹の猫に、大事な任務が与えられました。「猫捜査課」のリーダーに就任したのです。
おまけに野良生活に別れを告げて、温かい住まいまで手にすることができました。
「警察署だから、働いているみんなはもちろんドーナツが大好物です」というのは、Tim Wieringa警部です。だから「猫捜査課」に配属されたの猫の名も、「Donut」巡査になりました。
ほぼ1年前、Donutは署の職員用裏口によく現れるようになりました。最初は寝食の場所を探しているようでした。
「1日に2、3回やって来ましたね。そのうち、みんなに餌をもらってだんだん太ってきたのです」と笑う警部。
やがてこの人懐こい猫は、そのまま警察署に住み着きました。
「この猫が誰かの飼い猫なのか、いろいろ調べた末、なんとか元の飼い主を見つけ出すことができ、その人たちもこの猫を探していたことがわかりました。彼らはさっそく警察署にやって来ましたが、署のみんなと話をするうちに、今のほうがこの猫にとって幸せな環境だと悟ったようで、引き取りをあきらめました。そこで、わたしたちがここで飼うことになったのです」
住み込み警察官に任命される
署内の職員全員がお金を出し合ってDonutにマイクロチップを装着し、ワクチン接種をして、必要な治療まで行いました。
こうしてこの猫は警察署の正式メンバーになりました。
「裏口にある猫小屋は、どんどん改良を重ねてよくなりました。冬用と夏用があるはずです。必要な餌やおやつも用意されています」
「どの車におやつが装備されているのかちゃんと知っていて、夜になるとその日の第3シフト目のパトカーに跳び乗り、何とか車内に忍び込んで食べようとしています。警察官たちが執務室で報告書を作成しているときも、コンピューターの上にジャンプして邪魔をするので、わたしたちは入力し直さなくてはいけないのですよ」と笑う警部です。
しかしその後、Donutをとりまく事態が変わりました。
「まもなく警察犬チームが編成されることになったため、Donusはもうこの警察署にいられなくなってしまいました。署内では、いかなる種類のいざこざもあってはなりません」と話す警部です。
退職後は、職員の飼い猫に
そういうわけで、Donutは警察官を離職することになりました。
「Donutは引退して、内勤の補助職員の家で暮らします。この女性はDonutを家族に迎えることをとても喜んでいます。でもきっと、ときどき強情なDonutが彼女にくっついて出勤してくることでしょう」
飼い猫から野良猫へ、そして警察猫になり、そのあとまた飼い猫へ…激動の猫人生をたどったDonut。これは数奇な運命のせいだったのでしょうか?
「いいや、単に餌につられて、さまよい続けただけだと思いますよ。この猫は映画のガーフィールドみたいな楽天家で、愉快な性格なのです」と警部。
運命のせいにせよ、食欲のせいにせよ、Donut元巡査は、希望にあふれた新しい季節がすぐ先にあることを思い出させてくれる存在ですね。
「つねに忙しい警察署ですが、Donut元巡査は、ほんの短時間でも人々を笑顔にしてくれるすばらしい働きをしました」と警部は笑って話してくれました。
出典:How a cat found a job, a new home at the Kentwood Police Department