猫が好きな「飼い主さんの洋服の上」
猫は、家の中を自由自在に動き回り、自分のしたいことをしたい場所で行います。愛猫のためにと飼い主さんが頭を悩ませて買ってきたおもちゃも、気に入らなければ見向きもしません。爪とぎも、必ずしも使ってくれるとは限りません。
しかし、猫のそのような性格が好きなのだという飼い主さんも多いです。ところが、そんな飼い主さんにも「ちょっと困ったな」と思わせる猫の行動があります。それは、ちょっと目を離した隙に、「飼い主さんの洋服の上」で寝てしまうということです。
脱いだばかりのシャツや取り込んだばかりの洗濯物、お気に入りのセーターなど、どのような洋服の上に陣取るかも、もちろん猫の気持ち次第です。しかし、猫に乗られた洋服は皆、猫の抜け毛にまみれ、場合によっては爪で傷ついてしまうこともあります。
なぜ、猫はわざわざ飼い主さんの洋服の上で寝たがるのでしょうか。そのワケについて、考えてみたいと思います。
猫がわざわざ「飼い主さんの洋服の上」で寝るワケ
ちょっと置いておいた隙に、あっという間に洋服の上に愛猫が…。
愛おしい気持ちになる一方、抜け毛まみれになっている様子を目にするとため息がでてしまいます。
なぜ猫は、わざわざ「飼い主さんの洋服の上」で寝るのでしょうか。
1.ニオイに惹かれる
誰もが思いつく理由が、「飼い主さんのニオイがついているから」でしょう。
猫はとても優れた嗅覚を持ち、自分の縄張りもニオイで管理しています。飼い主さんは、自分と縄張りを共有するパートナーです。その飼い主さんのニオイは、飼い主さんのことと同じくらい好きなのです。
特に留守番中、そばに誰もいなくて不安なときなどは、飼い主さんのニオイがすることで落ち着き、安心して眠ることができるのでしょう。
また猫は、縄張りを共有する相手と自分のニオイを混ぜることで、『グループのニオイを作ることがある』ともいわれています。飼い主さんの洋服に自分の体をこすりつけている場合は、飼い主さんと自分のニオイを混ぜようとしているのかもしれません。
2.温もりに惹かれる
特に冬の寒い時期に温もりを求めるのは、猫も人間も同じです。脱いだばかりの洋服であれば、まだ飼い主さんの体温で温かいでしょう。
取り込んだばかりの洗濯物であれば、日差しを浴びた温もりで温かいでしょう。寒い時期の温かい洋服は、猫にとってとても寝心地の良い場所なのです。
3.肌触りに惹かれる
中には、洋服の肌触りが好みで上に乗り、眠ってしまう猫もいます。セーターが好き、麻が好きなど、好みの触感は猫によってまちまちです。
いつも同じ洋服や似たような洋服の上で寝ている場合は、その洋服の素材の肌触りが好みなのかもしれません。
4.フィット感に惹かれる
ついさっきまで日向で干していた洋服を取り込んで積み上げている場合、とてもふかふかしているため、上に乗ったときの体が沈み込むフィット感が寝るのに適している、というケースもあるようです。
猫は、広い空間にいるときよりも、四方を囲まれた狭い空間にいる時の方が落ち着くといわれています。そのため、ある程度全身が包まれるような状態になることで、安心できるのかもしれません。
5.たまたま気に入った場所に洋服が置いてあった
特に洋服であることに理由があるわけではなく、たまたま洋服が置かれていた場所の気温や日差しが心地よかったために、寝ていたという場合もあります。
とにかく猫は、居心地の良い場所を見つける才能に秀でています。そのため、その場所を選んだ理由が、必ずしも飼い主さんの洋服にあるわけではない場合もあるのです。
洋服を守るための対策
いずれの理由にしろ、洋服の上で眠っている猫を他の場所に移動させるのは、かなり難しい場合が多いかもしれません。
せっかく眠っている愛猫を起こすのが忍びない、というだけではなく、無理やり抱き上げてしまうと猫の爪がひっかかり、生地がほつれてしまう事故が起きやすいからです。
また、猫が上に乗ってしまうことで、生地に猫の抜け毛が絡まってしまい、なかなか取れないというのも問題です。
このようなことから洋服を守るための対策として、下記のような対策をおすすめします。
- こまめに爪切りを行う
- こまめにブラッシングを行う
- 猫が洋服の上に乗ってしまった場合は、無理やり抱きかかえて下ろそうとしない
- 飼い主さんの洋服の上よりも寝心地の良い寝床を用意する
ただし、最も効果的な対策は、「脱いだ洋服や取り込んだ洗濯物を出しっぱなしにせず、すぐに猫の手の届かない場所に片付ける」ということです。
愛猫と飼い主さんがお互いに気持ちよく暮らすためのコツは、「常に室内を片付けておく」というのは鉄則と言えるでしょう。
まとめ
猫が飼い主さんの洋服の上で寝てしまうのは、その時点ではそこが猫にとって最も居心地の良い場所だからです。
それは、温もりであったり肌触りであったりフィット感であったりすることもありますが、飼い主さんの不在による猫の不安感のために、飼い主さんのニオイを求めているのかもしれません。
もしも愛猫に長時間の留守番をさせなければならないのであれば、飼い主さんが脱いだばかりの洋服をわざと出しっぱなしにして出かけるというのも、愛猫に対する思いやりかもしれません。