「ポイントカラー」とは
猫柄における「ポイントカラー」とは、胴体は白に近い淡い色で、耳、マズル(鼻から口の周り)、足先、尾というような、体からはみ出すような先端部分に濃い色が現れる毛色のことをさします。
面白いことに、ポイントカラーの猫は、全身がほぼ真っ白な状態で生まれてきます。生後2週間を過ぎると、少しずつ先端の部分に色が出始め、成猫になると本来のポイントカラーが完成します。その後も、冬になるとポイントカラーの色が少し濃くなります。
このように、ポイントカラーの毛色が生育段階や季節で変化するのは、温度に関係しています。ポイントカラーの毛色を作る遺伝子の役割は本来の色が発現するのを抑制することですが、低温環境だとそれが働きづらくなります。
そのため、体温によって高温が保たれている胴体は白に近い色となり、外気等で低温になりやすい先端部分は濃い色になるのです。色が濃くなることで、日光の熱を吸収しやすくなるためだと考えられています。
また、母猫の体内は温かいため、生まれたときの全身はほぼ真っ白な状態で、成猫になった後も、外気温の低下が著しい冬になると、先端部分の色がより濃くなるというわけなのです。
「ポイントカラー」が特徴の猫種
そこで今回は、そんなちょっと珍しい「ポイントカラー」が特徴の猫種について解説します。
1.シャム
タイを原産国とする短毛種の猫で、シールポイント、チョコレートポイント、ブルーポイント、ライラックポイントなどの毛色が認められています。タイのかつての正式な国名を使い、日本ではシャムと呼ばれますが、海外ではサイアミーズと呼ばれています。
500年以上も前からタイの王室で飼われており、門外不出の宝とされて大切に飼われていました。19世紀末にヨーロッパに紹介されると爆発的な人気となり、その後も高い人気を誇っている猫種です。
2.ヒマラヤン
アメリカを原産国とする長毛種の猫で、クリームポイント、ライラックポイント、チョコレートポイント、ブルーポイントなどの毛色が認められています。
シャムとペルシャをかけ合わせて作られたため、シャムのポイントカラーとペルシャの体型を持った魅力的な猫種です。
3.バリニーズ
シャムの突然変異で生まれた長毛種の猫で、シールポイント、チョコレートポイント、ブルーポイント、ライラックポイントなどの毛色が認められています。
長毛種ですが、毛質がシルキーなため、軽いブラッシングというような簡単な手入れで問題ありません。バリニーズの名は、身のこなしの優雅さがバリの踊り子を思わせることからつけられました。
4.バーマン
バーマンは、ミャンマー(当時はビルマ)の高僧のもとに現れた白い猫が起源、という伝説が残っています。そのため「ビルマの聖猫」とも呼ばれており、寺院の守護神として大切に扱われている猫種です。
長毛種で、シールポイント、ブルーポイント、チョコレートポイント、ライラックポイントなどの毛色が認められています。環境への適応力が高く、子どもや他の動物とも仲良く過ごせます。
「ポイントカラー」の遺伝のしくみとバリエーション
猫の毛色を決める主要な遺伝子は9種類・21個あり、その内ポイントカラーに関与している遺伝子は、C遺伝子、cs遺伝子、cb遺伝子の1種類・3個です。
C遺伝子は毛色に濃淡を作りません。優性なので、対になっている染色体の内1つでもC遺伝子があれば、ポイントカラーにはなりません。
ポイントカラーの毛色を作るのが、cs遺伝子です。これは劣性なので、cs遺伝子が2つ揃って初めてポイントカラーになります。
同じく劣性のcb遺伝子は、2つ揃うとセピアの毛色になります。これは、全体の色がほぼポイントカラーと同じ色になり、先端部分がかすかに濃いポインテッドとなる毛色です。
先端部分の色が濃くなる毛色は「◯◯ポイント」と呼ばれます。例えば、薄いクリーム色に黒褐色のポイントは「シールポイント」、アイボリーにミルクチョコレート色のポイントは「チョコレートポイント」、青みがかったホワイトに青灰色のポイントは「ブルーポイント」、寒色寄りの白にごく淡いピンクのポイントは「ライラックポイント」などです。
また、ポイントの部分に縞模様が現れると「リンクスポイント」、全身の色が淡い場合はクリームポイント、足先が部分的に白くなると「ポイント&ホワイト」などと呼ばれます。
まとめ
猫の毛色は、複数の遺伝子が複雑に絡まりあって決まります。
今回ご紹介した「ポイントカラー」を作るcs遺伝子は、劣性のため対になっている染色体の双方が揃わなければなりません。そのため、野良猫の中では見つかりづらい模様なのでしょう。
ポイントカラーの猫を迎えたい方は、今回ご紹介した猫種を参考に探してみてください。