球場で10年以上活躍した猫
「コロラド・ロッキーズ」は、米国メジャーリーグのナショナルリーグ西地区に所属するプロ野球チームです。このチームの本拠地Coors Field球場に10年以上住みついていたのが、猫のSmokeyです。
飼育員に世話をされながら、場内を走り回ったりネズミを追いかけたりしていたSmokeyは、地元ファンの間でたいへん有名な人気者でした。
しかし、Smokeyは高齢になって動きが鈍くなったうえ、猫免疫不全ウイルス(FIV)などの健康上の問題も出てきたため、動物保護団体「Animal Rescue of the Rockies」を通じて飼い主を探してもらうことになりました。
幸いなことに、Smokeyは、すぐにやさしい飼い主を見つけることができました。
飼い主探しが始まったことを知ったたくさんの人々から、申し込みの書類が届きました。多くの申請者の中から選ばれたのは、同団体の職員がわざわざ自宅を訪問して調査し、「Smokeyが退職後の猫生を過ごすのに適している」と判断した家族でした。
引退後は、穏やかな「家猫」生活を
野良猫は、家の中で一緒に暮らせるほど人間になつくのが難しい場合があります。
しかし同団体で子猫の里親ボランティアをつとめるJenni Leighさんは「Smokeyの場合は、球場で10年以上も人々と楽しい交流を続けてきたので、すっかり人間に心を開くようになっています」といいます。
今回の養子縁組に際して、同団体はSmokeyになり替わって声明を出しています。
「ボクは、周囲のみなさん全員に『ありがとう』とお礼をいいたいと思います。このたびDenverにあるすばらしい家で、一番手のキャッ(ト)チャーとしてのポジションを獲得することができました。ホームランを打ったような気持ちで、とてもうれしいです」
「保護団体のみなさんが、ボクを球団の本拠地がある地域の家へと導いてくれたことに感謝します。ライバルのセントスイス・カーディナルスなんかにトレードされるのは嫌ですからね。ボクのこれまでの経験に賛同してくれるなら、ぜひ地元の動物保護施設に寄付してください。それから、ペットがいるなら、ぜひ避妊・去勢手術も忘れずにね」
曲の売り上げが寄付金に
Smokeyのユニークな猫生は、地元のミュージシャンにも影響を与えました。Marty Jonesさんが歌うバラード「Smokey the Coors Field Cat」は、年をとって引退しなければならないと悟った主人公をテーマにしています。Smokeyに触発されて作曲したものです。
Martyさんは「正直いって、この猫の引退は残念です。球場で活躍する日々はもう終わったのですね。すばらしい運命でしたが、同時にほろ苦くも感じます」と話しています。この曲の売り上げの半分は、同団体へ寄付されるということです。
また、シカゴに本拠を置くビール会社Coors Lightは、同団体へ1万ドル(約150万円)を寄付しました。このお金は、猫砂や餌代などに充てられます。
みんなに愛されたSmokey、これからも穏やかな引退生活を楽しんでくださいね。