1.ちょうどいい狭さだから
肩幅程度に広げた人間の足には、ちょうど猫と同じくらいの隙間ができます。狭いところが大好きな猫にとって、これほど魅力的な寝床はありません。
野生で生きていたころの猫は、敵から身を隠すために狭い場所を寝床にしていました。例えば木の洞や岩穴のような、「ぴったりおさまって身を隠せる場所」を好んでいたようです。そのため、安心したいときは本能的に狭い場所に入ってしまいます。
ちなみに、飼い主さんの股の間で取る姿勢は、丸くなったりみよーんと伸びたりと、さまざまなようです。猫の性格によって寝相が違うのも面白いですが、いずれにしても絶妙なフィット感を満喫していると考えてよさそうです。
2.体温で暖かいから
猫の寝床の条件として忘れてはならないのが『温度』です。いくら狭くて落ち着く場所でも、凍えるような寒さでは落ち着いて眠れるわけがありません。猫は自力で体温調節できない動物なので、寒いときは温かい場所を選んで寝床にします。
そのような意味で、人間の股の間は暖かくて心地よいのだと考えられます。とくに冬場に股の間にくるという猫は、暖を取るために股の間を選んでいる可能性が高いです。暖房やヒーターとは違う、ぬくぬくとした優しい暖かさがたまらないのかもしれませんね。
ちなみに、猫が『鼻で周囲の温度を感知している』という事実は、実はあまり知られていません。猫は吸い込んだ空気の温度を鼻の中で測り、熱いか寒いかを瞬時に判断しています。この能力のおかげで、猫は暖かい場所を探すのが非常に得意なのです。
3.ニオイで安心するから
猫というと聴覚が優れているイメージがありますが、実は嗅覚も人間の比ではありません。犬ほどではないものの、人間の数万〜数十万倍の嗅覚を持っているといわれています。
つまり、猫にとって『音』に次いで重要なのが『ニオイ』。飼い主さんの股の間で寝るのは、ニオイを好んでいるからとも考えられます。
人間には『アポクリン汗腺』という汗腺があり、いわゆる『汗のニオイ』を発しています。人間の世界ではネガティブに捉えられることが多いですが、猫にとっては飼い主さんを認識するための大切なツール。股の間はアポクリン汗腺の数が多いため、安心して眠れるのでしょう。
なお、耳の後ろや脇の下もアポクリン汗腺が多い場所なので、顔周りで寝たがる猫もいるかもしれません。
4.飼い主を信頼しているから
いくら狭くて暖かいからといって、嫌いな人の股の間にすっぽりおさまることはありません。飼い主さんのことを信頼しているからこそ、密着して寝られるといえます。実際に、母猫は子猫のためにいつもより足を大きく広げていることが多いそうです。
ただし、飼い主さんと添い寝するには、股の間は遠すぎるという考え方もあります。その理由は、腕枕で寝たり顔の近くで寝る猫もいるためです。
確かに、股の間というのは簡単に手が出せない場所でもあります。(飼い主さんと一緒にいたいけど、触られたくはない…)という気持ちなのかもしれませんね。
また、飼い主さんが作業中で、その時は股の間しか落ち着ける場所がなかった、ということもあるでしょう。
まとめ
猫にとっては、外敵から身を守れる場所、すぐに逃げられる場所が『安心できる寝床』です。飼い主さんの股の間はちょうどいい狭さで暖かく、猫にとって居心地がいい場所といえます。
また、飼い主さんのニオイが嗅げる場所でもあり、お気に入りの毛布にくるまって寝ているようなやすらぎを感じられるのではないでしょうか。
猫が股の間で寝るのはさまざまな理由が考えられますが、総じて言えるのは、飼い主さんを非常に信頼しているということです。
そのため、突然体勢を変えたり大声をあげたりすると、ビックリして股の間で寝てくれなくなる可能性もあるので気を付けましょう。
猫が寝ているときは、一緒にまったりくつろいで、リラックスタイムを楽しんでください。