愛猫のための災害対策「ローリングストック」
いつ来るかは分からないけれどもいつ来てもおかしくないのが、地震をはじめとした大きな自然災害です。どうしても在宅避難ができない場合は避難所へ行くことになるでしょうが、できるだけ在宅避難をしたいと考えている愛猫家さんは多いことでしょう。
その理由は、ペットを飼っている場合は「同行避難」が推奨されているものの、避難所ではペットは飼い主さんから離され、ペット専用のエリアに隔離されることが多いからです。
また、警戒心が強く社会性の低い猫にとって、たとえ飼い主さんと一緒に過ごせたとしても、避難所での暮らしは強いストレスになり、また他の避難者に迷惑をかけてしまう可能性も否定できません。
そこで重要になるのが、災害時に在宅避難をした場合に備えての備蓄です。
ちなみに最近では、特に災害のためだけに特別な品を揃えるのではなく、自宅で生活する上で必要な食料品や生活必需品を、日頃から多めに備えておく「ローリングストック(日常備蓄)」が推奨されています。
災害のためだけを考えた特別な備蓄の場合、ストックしていたことを忘れてしまい、気付いたら賞味期限や消費期限が過ぎていたということが多いですが、ローリングストックをしていれば、常に備蓄品の鮮度を維持した状態で万が一に備えられます。
今まで一応災害用の備蓄はしてきた…と言う方でも、ぜひ愛猫のためにも「ローリングストック」について学んでおきましょう。
「ローリングストック」のやり方
「ローリングストック」とは、ストック(備蓄)したものを期限がきたら消費し、新しいものを備蓄していくことで、備蓄品を回転(ローリング)させることから「ローリングストック」と呼ばれています。
ローリングストックの良いところはは、日頃愛猫に与えているものを多めにストックしておき、それを普段使いしながら使った分を買い足すことで、賞味期限や消費期限を切らさずに備蓄できる点です。
保管期間にもよりますが、備蓄品は最低でも1週間分、できれば1ヵ月分程度は準備しておけると安心です。
特に災害時は人間への支援が優先されるため、療法食や常備薬などのペット用の物資はなかなか手に入らないことも少なくありません。そのため、動物病院にも協力してもらいましょう。
賞味期限や消費期限を切らさないコツは、多めに購入してストックしたものを、普段からどんどん使うことです。使った分を常に補充していくことで、備蓄品がなくなることはありません。
ストックしたまま手を付けなければローリングストックにはならず、いつの間にか「使えないごみ」になってしまいますので、くれぐれも気を付けてください。
とくにキャットフード、飲用水、常備薬は、必ずローリングストック方式で鮮度を維持しながら備蓄しましょう。
愛猫のために「ローリングストック」で備蓄しておきたいアイテム
ではここからは、愛猫のために「ローリングストック」で備蓄しておきたいアイテムについて解説します。
実際はご家庭によって必要となるアイテムは異なるとは思いますが、「なにから備蓄したら良いか分からない」と悩んでいる方はぜひ以下のアイテムを参考になさってください。実際にローリングストックを始めることで、必要・不必要なものが分かってくるかと思います。
キャットフード
猫は繊細な動物なので、食に関しても非常に繊細で対応が難しい場合があります。
食べ慣れないものや気に入らないものは嫌がって食べてくれないことが多いのは、猫飼い主さんのあるあるではないでしょうか。しかし、もし被災してしまったら、愛猫の好みのフードを手に入れるのが非常に難しくなる可能性も。
そこで、普段愛猫が食べ慣れているフードを備蓄しておくことが大切になります。特に療法食は手に入りづらくなることが予想されますので、必ず多めに購入し、ストックしておきましょう。
普段の食事を手作り食にしているご家庭の場合も、いざという時のために、市販のドライフードや缶詰も食べさせ、慣らしておくとよいでしょう。
飲用水
猫用の飲料水についても、フード同様注意が必要です。
水にはミネラル分の多い「硬水」と少ない「軟水」があるのはご存じだと思います。猫に硬水を飲ませ続けると、尿管結石を発症するリスクが高まりますので気を付けなくてはいけません。
ちなみに、日本の水道水は基本的には軟水なので、猫に飲ませても心配はありません。
ただし、被災時は停電に伴い断水となることが多く、水道水を飲ませられない状況になることが多いため、愛猫のために「軟水」をストックしておくことが欠かせません。
トイレ用品
飲食関係の他に重要なのが、トイレ用品です。
猫はとても綺麗好きで、汚れたトイレではなかなか排泄をしてくれず、それが原因で膀胱炎や腎臓病などにかかりやすいため注意が必要です。
トイレの猫砂やペットシーツなども多めに買っておき、手に入るようになるまでの間も普段通りにトイレ環境を整えられるように備えておきましょう。
常備薬
持病のある猫にとってとても重要なのが、常備薬です。かかりつけの動物病院で災害時に備えておきたいという趣旨を伝えると、少し多めに処方してもらえますので、相談してみてください。
病気によっては、動物病院で処方してもらえる内服薬だけではなく、薬局などで購入して使っている消毒綿や綿棒、ガーゼといった衛生用品も備蓄対象に加えましょう。
その他
避難所に行かざるを得ない場合に備えて「愛猫用の避難袋」を作っておきましょう。
その中にもローリングストックの一部を入れて、つねに新鮮なものと回していけるようにしておきましょう。
加えて、避難所で使用するためのケージや食器、迷子札付きの首輪、リードなども一緒に用意しておくと、いざというときに便利です。
まとめ
万が一に備えての日常備蓄と、鮮度を維持するための「ローリングストック」を実行し、忘れた頃にやってくる大きな災害時に備えましょう。
愛猫に負担をかけることなく無事に過ごせるよう、それぞれのご家庭の事情に合わせて対策しましょう。
また万が一に備えて、普段あまり使わない迷子札付きの首輪やリードに慣らしておく、マイクロチップを装着しておくというような対策も、忘れずに行っておきましょう。