子供からの「猫を飼いたい」というおねだりへの対処
子供はまるで乾いたスポンジのようなものです。多くの経験を通してさまざまな感情を経験し、多くの知識を身に付けます。そのため、実にさまざまなものに興味を持ちますが、すぐに別のものに興味が移ることも珍しくありません。
そんな様子を見て、「飽きっぽい」とか「根気がない」と思ってしまうのは早計です。いろいろなことに興味を持ったり失ったりしながら、自分の適性を見つけたり興味の範囲を広げたりしていくのが、成長過程においてごく自然なことだからです。
ただし、興味の対象が命ある動物の場合は、飽きたと簡単に放り出せるものではありません。そのため、子供から「猫を飼いたい」とねだられたらどう対処すべきか、と悩まれるのではないでしょうか。
親としては、子供に命の大切さや他者への思いやりなどを教える良い機会だと考えるかもしれません。その一方で、最期まで世話を続けられるのかなど、検討すべきことは多いです。
そこで今回は、子供から猫をねだられたときに考慮すべきポイントや、子供に責任感を持たせるためのポイントをご紹介します。最終決定を下す前に、親子や家族間でどのようなことを話し合えば良いのかを考える参考にしてください。
猫を迎える前に考慮すべきポイント
猫を迎えるということは、ひとつの生命を預かるということです。そこには当然さまざまな責任が伴います。
子供の純粋な願いを叶えてあげる前に、親として考慮すべきポイントについて解説します。
1.猫を飼育できる条件を満たしているか
おねだりに限らず、猫を迎え入れる前に必ず検討すべきなのが、猫を飼育できる条件を満たしているかどうかです。
例えば家族の中に一人でも猫アレルギーの方がいるのであれば、猫の飼育は諦めた方が良いかもしれません。
他にも、金銭的な余裕があるか、住環境を猫に合わせて改善できるか、猫の飼育方法や方針について家族全員が同じ見解を持てるかなどを、しっかりと確認しておく必要があります。
2.猫を飼うことで子供を成長させられるか
猫を飼うのはとても大変なことです。ご家族全員の協力や、場合によっては犠牲が必要になることもあります。そこまでして迎え入れるのですから、猫を飼うことで子供の成長を促せなければ意味がないと言っても過言にはならないでしょう。
猫は人が世話をしなければ生きていけません。しかし人の所有物ではなく、独立した一つの命です。そのことを理解させ、子供にも猫の世話を分担させるなど、子供の成長を促す方法をしっかりと考えましょう。
3.猫を迎えるのに適したタイミングか
猫の平均寿命は15年強です。猫を迎えると、それまでの生活が一変する可能性もあります。
責任を持って終生飼養するために検討すべきは、なにも子供の年齢や性格だけではありません。
子育てと猫の世話の両立可否や仕事の状況、さらにはキャリアアップなども含めたご家族全体のライフステージまで考慮した上で、最適な受け入れタイミングを判断しましょう。
4.生活習慣等を見直せるか
猫を迎え入れたその日から、多かれ少なかれこれまでの暮らし方や生活習慣を変更しなければならないことが出てきます。
例えば猫の脱走や事故防止のために、玄関や窓を開けっ放しにしない、水を張った浴槽の蓋や浴室のドアをしっかり閉めるというようなことです。
また、お子様がカブトムシなどの猫の獲物となりうる小動物を既に飼っている場合は、猫を迎え入れること自体を考え直す必要があります。
5.迎える猫の検討
迎え入れる猫についても、事前によく検討しましょう。
子猫よりも、よく人に慣れている成猫を迎え入れる方が良いというケースもあるでしょう。また純血種か雑種か、購入するのか保護猫の里親になるのか等も、子供と一緒によく話し合って決めることをおすすめします。
なおご家族に猫アレルギーがある場合でも、ロシアンブルーやベンガル、サイベリアンなどのアレルギーフリーといわれている純血種を迎え入れるという考え方もあります。主治医と相談してみるのも良いでしょう。
子供に責任感を持たせるためのポイント
さまざまなポイントをおさえながら検討を重ね、無事に猫を迎えることを決めたら、子供にも猫を飼うことの責任感を持ってもらえると良いですよね。
猫の飼育の中で子供の成長も感じることができるよう、子供に責任感を持たせるためのポイントを確認しておきましょう。
迎える前に猫の習性を理解させる
猫はかなり自立心の高い動物で、自分の身は自分で守ります。実際の猫と子供が思い描いていた理想の猫とは、異なることが多いでしょう。
接し方によっては攻撃されることもあるなど、猫の習性を事前に理解させましょう。
同時に、信頼関係を築ければ、お互いを支え合える親友になれることも教えてあげましょう。
事前にお世話ができるかどうかのテストを行う
おねだりをしているときの子供は必死なので、「何でもする」とか「ちゃんと世話をする」と約束します。しかし、だんだんと約束が果たされなくなることが多いのも事実です。
そこで、猫を飼うための簡単なテストを行ってみることをおすすめします。
「猫を飼いたい理由」と「自分ができる猫の世話」を2〜3個ずつ紙に書かせ、類似した作業を1ヵ月程度行わせるのです。続けられなかった場合、時間をおいて再テストをしてあげれば、猫飼いたさに努力するようになるかもしれません。
理想的な姿を見せる
猫を迎え入れたら、子供の分担の世話でも最初は一緒に行い、やり方を覚えさせます。
その際に大切なのは、親御さんが猫の世話や遊びを楽しむことです。その姿を見て、自分もあんなふうに楽しみたい、世話をしたいと思わせるように働きかけましょう。
猫への責任を自覚させる
猫に関しては、子供を子供扱いしないようにしましょう。積極的に子供の意見を聞くことで、「自分も猫の飼い主である」という自覚を促すのです。
採用できない意見の場合は、採用できない理由をしっかりと説明して納得させることが大切です。
まとめ
子供時代を猫と一緒に過ごすことは、子供に多くの良い影響を与えます。
ただし子供は、新しいおもちゃと同じような気持ちで猫をおねだりしているのかもしれません。
子供扱いをせずに、排泄物の世話や接し方によっては問題行動を起こすようになることなども含め、きちんと話し合いましょう。そうすることで、猫を飼うにしても飼わないにしても、子供はしっかりと成長するはずです。