猫の顔の形と性格の傾向には関連性がある?
アメリカの行動学者アーデン・ムーア氏が、科学的な調査結果ではないものの、ご自身の経験から『猫の顔の形と性格の傾向には関連性がある』という仮説を、2015年に出版した自著の中で発表されました。
性格は、遺伝と社会化期の経験、そしてその後の生活環境によって形成されるといわれています。顔の形は主にこの中の遺伝に関連していますので、たしかに性格傾向との関連性があると考えるのは自然なことでしょう。実際に、品種によってある程度の性格傾向が見られます。
そこで今回は、アーデン・ムーア氏の仮説で謳われている、猫の代表的な顔の形と性格傾向についてご紹介したいと思います。
猫の代表的な顔の形と性格
純血種の猫は、毛色や瞳の色、体型、顔の形などが血統として引き継がれています。そのため、顔の形は猫の体型とも深く関連していると考えられます。
1.たぬき顔(丸顔)
動物に例えると「たぬき顔」と呼ばれる丸い顔はいろいろな体型に見られますが、特にコビーやセミコビーによく見られます。品種でいうと、ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘア、マンチカン、アメリカン・ショートヘアーなどです。
性格的には穏やかでおっとりとしていて、少し臆病で内気な傾向があるといわれています。そのため、見知らぬ人や動物のことは非常に警戒しますが、飼い主さんやご家族には甘えん坊で、家の中で静かに暮らすことを好む傾向があるようです。
2.きつね顔(逆三角形、くさび形)
動物に例えると「きつね顔」と呼ばれる逆三角形(くさび形)の顔は、オリエンタルなどのスマートな体型の品種に多く見られます。シャム、コーニッシュ・レックス、バリニーズ、オリエンタル・ショートヘア、ロシアン・ブルーなどです。
性格的には好奇心旺盛な子が多く、そのためとても活動的な子が多いようです。顔の形やその体型から受ける印象も含めて、いわゆる「猫らしい猫」といえそうです。
また、他の顔の形の猫よりも、鳴き声を発することが多いともいわれています。
3.パグ顔、寅さん顔(四角)
四角い顔は、動物に例えると「パグ顔」とでも言えばよいでしょうか。人間に例えると「寅さん顔」と言えるかもしれません。
大型のロングアンドサブスタンシャルに多く、メインクーン、ノルウェージャン・フォレストキャット、バーマンなどが該当します。
体の大きい猫に多い顔の形ですが、見た目とは異なり、性格はとても落ち着きがあり、他の動物に対しても愛情深くおおらかで優しいという特徴を持つといわれています。
猫の体型分類と品種
ここからは、図鑑の解説でもよく使われている、猫の体型分類とその分類に属する品種を整理しておきましょう。
コビー
ガッシリとした体型で、全体的に丸みを帯びたシルエットをしています。肩幅や腰の幅が広くて胴が短いため、体高と体長がほぼ等しいのが特徴です。また尾が短く、頭部や足先には丸みがあります。
ペルシャ、チンチラ、エキゾチック・ショートヘア、バーミーズ、ヒマラヤンなどが該当します。
セミコビー
ガッシリとした体型ですが、コビーと比べると胴、四肢、尾が長く、体高よりも体長の方がやや長い体型で、足先の丸みもコビーほどではありません。
アメリカン・ショートヘア、スコティッシュ・フォールド、シャルトリュー、シンガプーラ、マンチカンなど、多くの人気品種が該当する体型です。
セミフォーリン
セミコビーよりもスマートな印象ですが、筋肉が発達してずっしりとした胴を持っており、丸みのあるくさび型の頭部をしています。
アメリカン・カール、エジプシャン・マウ、オシキャット、マンチカンなどが該当します。
フォーリン
全体的にほっそりとした骨格を持ち、胴が長くてスマートな体型をしています。
アビシニアン、ソマリ、ロシアン・ブルーなどが該当します。
オリエンタル
全身が細くてスリムな体型で、狭い肩幅とくさび型の頭部を持っています。そして長くてしなやかな四肢と、細く長いムチのような尾がとても特徴的な体型です。
シャム、オリエンタル・ショートヘア、ターキッシュ・アンゴラ、バリニーズ、コーニッシュ・レックスなどが該当します。
ロングアンドサブスタンシャル
これまで説明してきた5つの体型に該当しない、胴が長く胸幅の広い、大きくてがっしりとした体型です。
ノルウェージャン・フォレストキャット、メイン・クーン、ターキッシュ・バン、ラグドールなどが該当します。
まとめ
単純に顔の形だけで、その猫の性格を判断することはできません。
しかし、性格を形作る一因に遺伝も関与していることを考えると、新しく家族として迎え入れる猫を検討する際の参考として、顔の形や体型も含めて品種を検討することは、決して無意味ではないはずです。
その上で、実際に迎え入れた後はしっかりとその猫に向き合い、お互いに良い関係を築けるように努力を重ねていくことが大切です。