半数以上の飼い主さんが経験!トイレについてくる猫
「犬は人に付き、猫は家に付く」といわれるほど、猫には人懐こい印象がありません。しかし、家の中にいると愛猫が常に飼い主さんの後をついてくるといった話もよく耳にされているのではないでしょうか。
ある猫の専門サイトが行った猫の飼い主さんへのアンケートでは、68.7%の飼い主さんが「愛猫がトイレまでついてくる」と回答しました。7割近い飼い主さんが愛猫にトイレまでついてこられた経験があるというのは、想像以上に高い割合だといえるのではないでしょうか。
もちろんすべての猫がトイレまでついてくるわけではありませんし、お父さんやお母さんのどちらか片方にだけついてくる、閉まっているドアを開けて中まで入ってくる、座っている腿の上に乗ってくる、ただ床に座って見つめているだけなど、猫の行動もさまざまなようです。
猫が飼い主のトイレについてくる理由
それにしても、非常に多くの飼い主さんが経験している「トイレにまでついてこられる」という愛猫の行動には、どのような理由があるのでしょうか。
1.大好きな母猫から離れたくない
飼い猫と飼い主さんの関係は、人間や猫の母子関係と非常によく似ているということが、科学的な研究からも分かってきています。人と一緒に暮らしている猫にとっては、成猫になった後も飼い主さんは母猫と同じような存在なのです。
子猫はか弱い存在なので、できるだけ母猫から離れないようにして過ごします。母猫に甘えることで、自分を守ってもらい、不安を払拭して過ごせるのです。
人間に育てられた猫は、成猫になった後も子猫の気分が抜けず、母猫的な存在である飼い主さんのそばから離れたくないのでしょう。
2.飼い主さんの行動が気になる
母猫的な存在である飼い主さんの行動は、愛猫にとってとても重要な意味を持っています。
どんなにお腹が空いても、飼い主さんがご飯をくれなければ食事にありつけません。どんなに眠くても、飼い主さんが「さぁ、歯を磨こうね!」と言い出せば、何が何でも歯を磨かれてしまいます。
つまり、愛猫は常に飼い主さんの行動を気にしているのです。そのため、飼い主さんの行き先がトイレであったとしても、その行動を把握するためについてくるのかもしれません。
3.普段入れない場所なので興味がある
普段トイレのドアは閉まっているため、猫が自由に出入りすることはできません。
しかし、飼い主さんが時々出入りする様子を見ていて、好奇心が旺盛な猫は「あのドアの向こう側には何があるのだろう?」と興味津々のはずです。そこで飼い主さんが入ったときに一緒に中に入り、様子を探ろうとしているのかもしれません。
4.トイレも自分の縄張りだと思っている
猫は、一度自分が入ったことのある場所は「自分が入れる場所」だと認識します。
飼い主さんの家の中は自分の縄張りですので、一度トイレに入ったことのある猫は、トイレの中も自分の縄張りだと認識するのです。そこで飼い主さんが入ったときに一緒に中に入り、自分の縄張りを監視しようとしているのかもしれません。
5.飼い主さんの姿が見えないと不安になる
あまりにも飼い主さんと愛猫との関係性が親密になりすぎてしまい、お互いへの依存度が高くなりすぎてしまうと、猫は「分離不安症」というメンタルの病気を発症してしまいます。
飼い主さんの姿が見えなくなっただけで酷い不安に襲われ、パニックを起こして家中の家具を壊したり大声で鳴き続けたり自傷行為を行ったりというような問題行動を起こすようになる病気です。
ただ単にトイレについてくるだけであれば問題ありません。しかし、飼い主さんの姿が見えなくなると問題行動を起こすようになった場合は注意する必要があるでしょう。
そのような場合には、愛猫との距離感を見直して関係性の改善を図ると共に、獣医行動診療科などの専門医のいる動物病院に相談することをおすすめします。
猫とトイレにまつわるこんなエピソードも!
『普段は全く膝の上に乗ることのない猫が、トイレの便座に座っているときだけは腿に乗ってきて甘えてくる』と話している飼い主さんがいました。
トイレでの過ごし方は人によるのでなんとも言えませんが、もしかするとその飼い主さんはとても活動的な方で、膝(腿)の上でゆっくりと甘えられるタイミングがトイレの中しかなかったのかもしれません。
別の飼い主さんは、『自分がトイレに行こうとすると愛猫がトイレに先回りし、トイレの水を流した後に必ずタンクの上に上がって蛇口から出てくる水を飲む』と話していました。この猫の場合は、飼い主さんがどうこうというよりは、流れる水を飲みたくてトイレに同行しているようです。
我が家の猫たちの例をご紹介します。
一時期、3匹の猫と一緒に暮らしていました。皆仲が良くどの部屋にも自由に出入りしていましたが、なんとなくゆるい縄張りを持っていて棲み分けているようでした。
そして玄関から廊下、洗面所のエリアを縄張りとしている子だけが、トイレやお風呂についてきました。彼はこのタイミングとばかりに自分の縄張りを監視していたのかもしれません。
まとめ
実際にどのような気持ちでトイレについてきているのかは、猫自身に聞いてみなければわかりません。
しかし、普段の愛猫の様子を観察しながら想像を巡らしてみるのも、楽しいのではないでしょうか。
ただし、愛猫との距離をあまりにも縮めすぎてしまうと、かえって愛猫を苦しめ、分離不安症という病気にさせてしまうかもしれません。
愛猫との適切な距離感を保つことも、飼い主としての責任の一つといえるでしょう。