長寿猫への「表彰状」
『動物の愛護及び管理に関する法律』の中には、猫と一緒に暮らしている飼い主さんの責任が定められています。その中の一つに『動物の習性等を正しく理解し、最期まで責任を持って飼うこと』というものがあります。「適正飼養」と「終生飼養」と呼ばれているものです。
飼い主さんが愛猫の習性を理解し、猫が猫らしく振る舞えるような環境を整え、適切な健康管理を行い、愛猫との間にしっかりとした信頼関係を構築することで、初めて実現するのが適正飼養と終生飼養だといえるでしょう。
一般的に、愛猫の健康管理の目標をまずは平均寿命に定めている飼い主さんが多いのではないでしょうか。某法人が毎年発表している『全国犬猫飼育実態調査』の2022年の完全室内飼育猫の平均寿命は16.02歳でした。
しかし平均寿命を無事に迎えると、次の目標に悩む方も多いようです。
実は、動物の愛護及び管理に関する法律を啓蒙し普及推進するために、独自にご長寿の猫に表彰状を贈っている団体があります。これらを次の目標にするのも良いのではないでしょうか。
長寿猫を表彰しているのは、公益財団法人 日本動物愛護協会や自治体、獣医師会、大規模なペット関連イベントなど、いくつかあります。いずれの場合も、ご長寿猫へのお祝いと同時に、適正飼養および終生飼養の責務を全うしているご家族をたたえての表彰といった趣旨を掲げていることが多いようです。
今回は、いくつかの団体を例に、表彰の条件や申請方法をご紹介します。
公益財団法人 日本動物愛護協会
日本動物愛護協会は、「今を生きている命は幸せに、不幸な命は生み出さない!」をスローガンに、幸せな動物を増やす活動をしている公益財団法人です。
主に「動物の命を守る」「命の大切さを知ってもらう」「社会への提言」というような活動を行い、その一環として高齢ペットへの長寿表彰が行われています。
表彰の目的
表彰年齢を迎えられたということは、その動物が家庭の中で適正飼養されてきたことの証であり、また終生飼養という飼い主の責任を果たすことも可能となります。
この表彰には、一緒に暮らしてきた動物への長生きの表彰と、共に暮らしてきた家族への感謝という意味合いがあります。
表彰対象年齢
犬の場合はサイズにより異なりますが、猫の場合は一律18歳以上とされています。
申し込み条件
- 現在一緒に暮らしている猫で、表彰は一生涯に一回のみ。
- 「年齢生存証明書」は、必ずかかりつけの動物病院の獣医師が、カルテを元に書類到着日1ヵ月以内に記入したものであること。
申請方法
申請書、年齢・生存証明書、アンケート、写真1枚の4点を揃えて(公財)日本動物愛護協会の長寿表彰係宛に郵送、または公式サイトのフォームからアップロードします。
その他
表彰されたご長寿の犬と猫は、日本動物愛護協会のホームページに写真つきで公開されています。
京都府|令和5年度「長寿猫の飼い主表彰」
自治体が行っている表彰の例として、京都府の令和5年度「長寿猫の飼い主表彰」をご紹介します。
表彰の目的
愛猫を深い愛情と適正な飼い方により飼養している飼い主をたたえて表彰します。
表彰対象年齢
令和5年4月1日時点で満15歳以上であること。
申し込み条件
- 飼い猫を京都府内(京都市は独自に表彰するため除く)で飼養していること。
- 家庭で完全室内飼育していること。
- マイクロチップを装着しており、環境省指定登録機関に飼い主の情報で登録されていること。(当該猫の健康及び安全の保持上支障が生じる恐れがあると獣医師が判断した場合はこの限りではない)
- 過去3年間、飼い主及び同居家族が飼い猫の飼養管理に関する指導や注意等を受けたことがなく、飼い主が適正に飼養していること。
応募方法
長寿猫の飼い主表彰申込書に必要事項を記入し、愛猫の写真を同封の上、京都府文化生活部生活衛生課動物愛護係へ郵送または直接持参します。
その他
表彰状は、令和5年9月23日開催予定の「動物愛護フェスティバル」会場での直接お渡しか、郵送とします。希望される方に限り、飼い主名を動物愛護フェスティバル会場等で紹介する予定です。
東京都獣医師会
東京都獣医師会が、動物病院経由で贈っているご長寿の猫の表彰についてご紹介します。
表彰対象年齢
2022年9月30日時点で15歳以上であること。
申し込み条件
- 健康管理に努め愛情を持って飼育していること。
- 東京都獣医師会会員病院をかかりつけとして定期的に通院していること。
- 飼育開始から5年以上経過していること。
- 表彰は1動物につき生涯1回。
応募方法
東京都獣医師会会員病院経由で申し込みを行います。病院により、告示して自由に希望者を募ったり、条件を満たす患者さんに対して個別に希望を聞いたりと、方法はまちまちのようです。
その他
犬の場合は、畜犬登録済みで狂犬病注射済みであることも条件になります。
また、表彰状の受取も、動物病院経由となります。
まとめ
あまり知られていないかもしれませんが、一定の年齢を過ぎて長生きしており、飼い主さんから適正に飼養されていると認められる猫には、ご長寿を表彰するといった活動をしている団体や自治体、獣医師会、ペット関連イベントなどがあることがわかりました。
飼い主さんはそれぞれに工夫しながら、愛猫の快適で健康な生活をサポートしようと努力されています。
ご長寿表彰というようなご褒美を励みにするのも、毎日の工夫を楽しくするために役立つのではないでしょうか。