猫はどうして『お風呂が苦手』なの?5つの理由と必要になった場合の対処法とは

猫はどうして『お風呂が苦手』なの?5つの理由と必要になった場合の対処法とは

私たちは毎日のように入浴またはシャワーを浴びますし、犬も月に1〜2回の頻度でシャンプーをします。しかし猫はお風呂が苦手な子が多く、シャンプーをしたいのに暴れてできないと悩んでいる飼い主さんも多いようです。なぜほとんどの猫はお風呂が苦手なのでしょうか。その理由や、どうしても必要となった時の対処法についてご紹介します。

猫にお風呂は必要ない?

シャワー中の猫

例外もありますが、ほとんどの猫は水に濡れることを嫌がります。そのため、ほとんどの猫はお風呂が苦手です。

私たちの感覚では、お風呂に入ると体が温まり、身も心もリラックスでき、汗や皮脂でベタついた身体もさっぱりして気持ちの良いのがお風呂です。中には、「面倒くさいからお風呂は嫌い」という方もおられますが、大抵の方には気持ちの良いお風呂を、なぜ猫たちは必死になって抵抗するのでしょうか。

そこには、猫が祖先から引き継いだ猫の習性や本能に原因があると考えられています。

そもそもごく一部の猫を除き、野良猫も含めて猫たちに入浴やシャワーは必要ではありません。なぜなら、猫たちは自分で全身を舐め、皮膚や被毛に付いたホコリや皮脂を取り除き、被毛を梳いて風通しを良くすることで雑菌の繁殖などを防げるからです。

猫はお風呂に入らなくても、被毛や皮膚を清潔な状態に保ち、強い体臭を発することもないのです。ただし、特別な事情があって舐め取れない汚れが残ったり、強いニオイがしたりする場合は、お風呂にいれなければならないかもしれません。

また、長毛種の猫や皮膚病などで皮脂の分泌量が過剰な猫には、衛生管理の一環としてお風呂にいれる場合もあります。それでも、頻度は多くても3〜4ヵ月に1回で十分な場合が多いです。頻繁にお風呂にいれると、皮膚が乾燥したり被毛がぱさついたりして、かえって皮膚の状態を悪化させてしまうからです。

猫がお風呂を苦手な理由

お風呂から出たがる猫

ではここからは、猫がお風呂を苦手な理由と、お風呂にいれなければならない場合の対処法をご紹介しましょう。

1.濡れることが怖い

ネコ科の動物の中には、トラ、ジャガー、ベンガルヤマネコ、スナドリネコなどのように、水を嫌わない種もいます。しかし猫(イエネコ)の祖先のリビアヤマネコは、水を嫌う種でした。猫たちの水嫌いは、このリビアヤマネコから引き継いだ習性によるところが大きいと考えられています。

リビアヤマネコが暮らしていた北アフリカやアラビア半島は、砂漠の多い地域でした。朝晩の寒暖差が激しく、もし体を濡らしたまま夜を迎えると、凍死する危険が高かったのです。そのため、水に濡れることを避けて暮らす習性を身につけたのです。

2.乾きづらい毛質である

猫の下毛は量が多い上にとても柔らかくて細く、かつ油分が少ないため、濡れてしまうととても乾きにくいという特徴があります。そのためたとえ昼間でも、水に濡れるのを好む猫は少ないようです。実際、野良猫も雨の日は軒下などで雨が止むのを待っています。

イエネコの中でも、トルコのヴァン湖周辺に生息していた猫を起源に持つターキッシュ・バンは、泳ぎが得意で有名な猫種です。この品種は、下毛の量が少ないため、濡れてもすぐに乾くという特徴を持っています。

3.全身を触られたり拘束されるのが嫌い

猫の中には、自ら浴室に入って濡れるのは厭わないのに、いざ洗おうとすると死にそうな声を張り上げて逃げ出すという子がいます。

こういう猫は、体が水に濡れることを嫌っているというよりも、拘束されて全身を触ったりこすられたりするのを嫌がっている場合が多いです。

4.お風呂場の環境に慣れていない

お風呂場の環境に慣れていないために嫌がる場合もあります。浴室は音が反響するため、シャワー音も猫にとっては嫌な音に感じるのかもしれません。

また、石鹸やシャンプーのニオイを嫌がる子もいます。

5.ドライヤーの音が怖い

入浴そのものも嫌いですが、最後にドライヤーで全身を乾かされるのを嫌う子も多いです。

温かい風が当たることを不快に思う子もいるでしょうが、多くの子はドライヤーの大きな音を怖がります。

愛猫にお風呂が必要になった場合の対処法

ボディシートで拭かれる猫

殆どの猫にはお風呂が必要ないと書きましたが、一部の猫種や被毛によっては入浴がすすめられる場合も。そのような場合、「お風呂が苦手」な猫にはどのように対処すべきでしょうか。

顔に水をかけないように注意する

どうしてもきれいに洗いたい場合は、「しぶきを浴びせない」こと。また、「顔に水をかけない」ことに注意をすると、比較的おとなしく洗わせてくれることがあります。

できれば2人体制で洗い、1人は猫の体を押さえながらおやつなどで猫の気を逸らす役割を担ってもらいましょう。

汚れた部分だけ洗う

何らかの事情で取れない汚れがある場合は、全身を洗おうとせずに汚れた部分だけを洗う、という方法もあります。この場合も2人体制で洗うのが理想的です。

蒸しタオルで拭く

38〜40℃程度のお湯で濡らして固く絞ったタオルで、包むようにしながら顔→肩→前肢→胴体→腰→後肢→尻尾→肉球やその隙間→お尻周りの順に拭いていき、皮脂やベタつきを取り除きます。

優しく声をかけ続けて気を逸しながら、手早く行いましょう。また最後は、乾いたタオルで全身をしっかりと拭き、水分を取り除きましょう。水分を取り切れない場合は、ドライヤーの風量を「弱」にして乾かしましょう。

ドライシャンプーやボディシートの利用

ペットショップやホームセンターに行くと、猫用のドライシャンプーやボディシートが売られています。これらは、水で洗い流す必要のない衛生商品です。

お風呂を嫌がる子に限らず、体力が落ちてきている高齢猫や、闘病中の猫のお手入れにもおすすめです。

まとめ

シャワー中ににらんでくる猫

セルフグルーミングにより自らの身を常に清潔に保てる猫にとって、特別な理由がない限り、お風呂は必要不可欠なお手入れではありません。

嫌がる猫を無理やりお風呂にいれる必要はないのです。

どうしても体を洗う必要が生じた場合は、体を濡らさなくてもすむような方法も含め、愛猫にあった方法を選んであげましょう。

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