ヤマネコのような「ワイルド」な猫種
現世のネコ科には、ヒョウ系、ボルネオヤマネコ系、カラカル系、オセロット系、リンクス系、ピューマ系、ベンガルヤマネコ系、イエネコ系という8つの系統があります。私たちの身近にいる猫たちは、皆イエネコ系の中のイエネコという種に属しています。
その名の通り、伴侶動物として人の庇護の下に暮らしています。それでも、しっかりと祖先の遺伝子が受け継がれており、その野性味を時折垣間見られることが、猫との暮らしの醍醐味の一つです。
しかし、より野性味に溢れたワイルドな猫と一緒に暮らしたいと願った人々がいました。野生のネコは、人に馴れることが難しく危険なため、イエネコと他の野生のネコを異種交配するなどにより、見た目はワイルドで性格はイエネコのような猫種が作られてきました。
そこで今回は、ヤマネコのようなワイルドな猫種の特徴や魅力を解説します。
1. サバンナ
サバンナは、サーバルキャットと複数種のイエネコをかけあわせて作出されました。
小さくて逆三角形の頭部と大きな耳、前肢よりも筋肉質で長い後肢が特徴で、4mの高さも軽々と飛び越える身体能力を持っています。
ワイルドな外見からは想像できない寂しがり屋で甘えん坊な性格と、飼い主への従順さを持ち、「犬のような猫」と呼ばれることもあります。
- 原産国:アメリカ
- 公認団体:TICA
- 被毛:短毛種
2.ベンガル
ベンガルは、猫白血病の研究のために、1963年に遺伝学者がベンガルヤマネコとイエネコを交配したのが始まりです。イエネコよりも背骨が一節多く、長い胴体と筋肉質でガッチリした体格、美しいヒョウ柄が特徴です。
猫には珍しく好んで水遊びをし、温和で甘えん坊の性格なので飼いやすい面もあります。
- 原産国:アメリカ
- 公認団体:TICA/FIFe/GCCF
- 被毛:短毛種
3.オシキャット
推しキャットは、アビシニアン、シャム、アメリカンショートヘアをかけあわせて作出され、オセロットに似た斑点があります。筋肉質でしっかりした体型、先端が黒色の長くて真っ直ぐな尻尾、さわり心地の良い被毛を持っています。
甘えん坊で家庭的な性格のため、子どもや他の同居動物とも仲良くできます。
- 原産国:アメリカ
- 公認団体:CFA/TICA/FIFe/GCCF
- 被毛:短毛種
4.チャウシー
チャウシーは、ジャングルキャットとイエネコの交配で作出されました。
横から見ると長方形に見える長い胴体と長い手足を持つ、大柄な猫です。耳先の房毛や優れたジャンプ力は、ジャングルキャットの特徴が見られます。
頭が良く、好んで飼い主ともコミュニケーションを取ろうとします。
- 原産国:アメリカ
- 公認団体:TICA
- 被毛:短毛種
5.ピクシーボブ
ピクシーボブは、保護してきた短尾猫と近所のイエネコが自然交配して生まれた雑種が始まりの大型の猫です。洋梨を逆さにしたような頭部と短尾が特徴的です。
社会性が高く、家族である子どもや他の同居動物とも仲良くできます。
- 原産国:アメリカ
- 公認団体:TICA
- 被毛:短毛種/長毛種
6.トイガー
トイガーは、トラに良く似たイエネコを作ろうと、ショートヘアーと柄模様を持つベンガルの血統から始まりました。トラのような縞模様が特徴です。
野生の大型ネコ科動物のような、貫禄のある歩き方が魅力のひとつです。
ワイルドな見かけによらず、飼い主に深い愛情を示して信頼関係を築きやすいという面も持っています。
- 原産国:アメリカ
- 公認団体:TICA
- 被毛:短毛種
7.セレンゲティ
セレンゲティは、サーバルキャットをイメージして作られましたが、ベンガルとオリエンタルショートヘアをかけあわせて作出されました。
長い耳と脚、太い首、そして大きな柄のスポットタビーが特徴です。
活発で好奇心が強く、遊び好きです。家族であれば子どもや他の同居動物とも仲良くなれます。
- 原産国:アメリカ
- 公認団体:TICA
- 被毛:短毛種
ワイルドな猫を飼育したい場合の注意点
異種交配によって作出されている場合、第1世代(F1)は野性味が色濃く残っており、下の世代になるほど穏やかなイエネコに近づきます。
猫種によっては特定動物に指定されており、飼育不可または申請が必要といった制約があるため、迎える前に自治体への確認が必要です。
ワイルドな姿をしているということは、イエネコよりも鋭い爪や強い力を持っているということです。イエネコとは異なる、より安全性を重視した生活環境の整備が必要となります。
ワイルドな魅力を持つ猫は、イエネコの倍程の運動量を必要とするのも大きな特徴です。イエネコの飼養環境や生活スタイルでは、運動不足となりストレスが溜まってしまいます。環境整備の他、十分な運動量の確保も必要です。
まとめ
イエネコの魅力は、普段は寝てばかりいるように見えるのに突然野性味溢れた行動を見せる点だと感じている飼い主さんは多いことでしょう。その魅力を突き詰めて作出されたのが、今回ご紹介したワイルドな猫種です。見た目はワイルドでも、穏やかで温和な猫種が多いです。
ただし、とても活発で多くの運動を必要とするため、イエネコと同じ感覚で迎え入れることはできません。
また、異種交配の場合、世代によっては特定動物に指定されていることもあるため、事前に十分な調査と準備が必要です。