猫を「喜ばせる」飼い主の行動とは
某一般社団法人が令和3年(2021年)に行った調査結果では、猫全体の平均寿命は15.66歳でした。外に出ない猫だけで見ると、16.22歳です。待合室の壁に、御長寿猫として20歳以上の猫の写真が張り出されている動物病院も多いです。
猫にとっても人にとっても、15年という年月は決して短いものではありません。ご家庭によってそれぞれ事情は異なるでしょうが、縁あって一緒に暮らすことになった猫には、十数年以上という長い年月を、ストレスなく幸せに暮らしてもらいたいものですよね。
猫と一緒に暮らす飼い主さんが猫を「喜ばせる」行動を自然にすることが出来れば、愛猫も飼い主さんも、共に幸せに暮らしていけるでしょう。そのためにも、猫を「喜ばせる」ための行動について、考えてみましょう。
1.必要なお世話の手を抜かない
人と一緒に暮らしている猫は、自分の意思で生活することはできません。食事もトイレも寝床も、全て飼い主さんから提供されなければ手に入れられないのです。
そのため、食事の提供やトイレ・室内等の掃除、温湿度管理、寛げる場所の確保などは、飼い主さんの役目です。
必要なことを、手を抜かずに毎日しっかりと行うことが、猫を喜ばせるための最低ラインの行動です。
2.静かで落ち着いた物腰で過ごす
猫は静かな環境でいつも通りに暮らせることで、安心して過ごせます。飼い主さんは、常に静かで落ち着いた物腰で過ごしましょう。
感情の起伏が激しかったり、落ち着きがなく、いつ何を始めるか予測できないような行動の飼い主さんだと、猫は安心できません。
3.密なコミュニケーションを図る
過去に受けたトラウマなどで人に対して酷く恐怖心を抱いている猫でない限り、基本的には飼い主さんとのコミュニケーションを求めている猫がほとんどです。
飼い主さんの行動や言葉のトーンなどから、猫は飼い主さんの気持ちを汲み取ります。
ベタベタと接する必要はありませんが、常に愛猫を意識し、一緒に遊んだりブラッシングをしたりしながら、密なコミュニケーションを図る時間を作ることが、愛猫を喜ばせるでしょう。
4.程よい距離感を崩さない
愛猫との密なコミュニケーションはとても大切ですが、行き過ぎには注意が必要です。猫の限界点は人間の感覚よりも早く訪れます。気持ちよさそうに撫でられている間も、しっかりと愛猫の様子を観察してください。
あくびが増えたり尻尾をパタパタと振ったりといったストレスサインが現れたら、早々に開放することが猫を喜ばせます。
5.ワクワクできる刺激を与える
猫は保守的で、いつもと同じ穏やかで静かな毎日が繰り返されることを好みます。だからといって、退屈で全く刺激のない生活を望んでいるわけではありません。
一緒におもちゃで狩りごっこをする時間を作る、お留守番の時には窓から外の様子を見られるようにする、戸棚や冷蔵庫の上などを開放して自由に室内を見渡せるようにするなど、毎日ワクワクできる適度な刺激を与えられる飼い主さんが喜ばれます。
猫が快適に暮らすために忘れてはいけないポイント
猫の飼い主さんには、母猫になるという気持ちが必要です。食事やトイレのお世話、健康管理などを行うだけではなく、愛猫が人間社会の中で心地良く過ごせるように守るのも、飼い主さんの役割です。『愛猫は我が子』だと心得ましょう。
同時に、『猫は人ではない』という理解も必要です。猫を飼い主さんの思い通りにすることはできません。愛猫を守るために譲ってはいけないこともありますが、それ以外では飼い主さんが諦める方が、お互いにストレスなく過ごせることも多いです。
お互いの妥協点をみつけて、ある程度成り行きに任せられる心の寛容さも、猫と共に心地良く暮らすためのポイントです。
まとめ
人間同士が一緒に暮らす場合でも、お互いある程度の妥協が必要です。それと同じように、猫と一緒に暮らす場合にも、ある程度の妥協が必要になります。相手は感覚も常識も全く異なる猫ですから、人間である飼い主さんの方が妥協する点が多くなるでしょう。
それでも、猫と一緒の暮らしは飼い主さんの人生を豊かなものにしてくれるはずです。どうか猫に喜んでもらえる行動をたくさん取れる飼い主さんになって、お互いに心地良く暮らしてください。