猫がトイレで『砂かけ』をする理由3つ!砂かけをしない子にすべき対処法とは

猫がトイレで『砂かけ』をする理由3つ!砂かけをしない子にすべき対処法とは

トイレで排泄をした後の猫は、必ずといっていいほど熱心に排泄物に猫砂をかけます。この砂かけの理由にはいくつかの説があり、中にはちょっと意外な理由も。今回は、猫がトイレで「砂かけ」をする理由をご紹介します。

猫がトイレで「砂かけ」をする理由

トイレ砂のニオイを嗅ぐ猫

犬も猫も、家に迎えたその瞬間から始めなければならない最初のしつけがトイレです。もともと野生の猫は、固定の場所をトイレと定めてそこでだけ排泄をしているわけではありません。自分の縄張りの中のあちらこちらで排泄をします。

ただし、猫が好んで排泄をする場所というのは条件が決まっているため、その条件に見合った環境を用意し、それを教えることで猫は自然とそこで排泄をするようになります。そのため、猫は犬と比べるとトイレのしつけが簡単だといわれています。

このように、猫は排泄場所選びの条件を本能的に身につけています。排泄に関しては、トイレ環境の条件だけではなく、排泄後の行動も自然と身についていることがよく知られています。それは、排泄物に砂をかけて隠すという行動です。逆にいうと、砂かけができる場所であることが、猫に排泄場所として選ばれるための条件なのです。

そこで今回は、この排泄物に砂をかける「砂かけ」をする理由について解説します。

1.自分の存在を隠すため

猫は名ハンターですが、犬のように獲物を延々と追いかけて捕まえるのではなく、じっと身を隠しておき近づいてきた獲物を急襲する、待ち伏せ型の狩りを得意としています。そして同時に、自らも天敵に狙われる立場でもあります。

一方、猫は肉食性でタンパク質をたくさん摂取し、飲水量が少ないという食性のため、『排泄物のニオイがかなり強烈』であるという特徴を持っています。つまり排泄物をそのままの状態で放置してしまうと、強いニオイのため天敵に見つかって狙われたり、獲物に逃げられたりしてしまいます。

そこで、『排泄物に砂をかけて埋めてしまうことでニオイを消し、自分の存在を隠そうとしている』というのが、最も多く目にする説です。

2.仲間同士の争いを避けるため

次に有力な説とされているのが、『群れの中での力関係で下位の猫が、上位の猫に遠慮をして排泄物を隠す』という説です。

こちらは、市街地などの限られた範囲の中で、多くのノネコが生活している現代の猫たちを観察している中で導き出されました。かつて『裸のサル』という著書で一躍有名になった、動物学者のデズモンド・モリス氏が提唱しました。

3.感染拡大予防のため

猫の尿や糞の中には、猫に感染するウイルスや寄生虫などの病原体がたくさん含まれています。『これらの病原体が蔓延しないように隠している』という説も存在します。

こちらは、『猫の行動』の著者で獣医師のボニー・ビーバー氏が提唱しました。

トイレで「砂かけ」をしない子にすべき対処法

トイレに座って見上げる猫

ではここからは、トイレで砂かけをしない猫にどう対処すべきかについて解説しましょう。

猫がトイレで砂かけをしないときの理由とは

上記で2番目にご紹介したデズモンド・モリス氏の説は、ノネコを観察したところ、ボス猫は排泄物に砂をかけなかったという結果を得たことから端を発しているようです。この行動は、自分の縄張りを主張するために、あえてニオイを残しているのだと考えられています。

決められた空間にある程度の数の猫が暮らしている場合は、必然的に社会的な関係性が生ずるため、平和に暮らすための新たな処世術として行動にも変化が見られるのでしょう。

ただし、砂かけをしない理由が社会的な関係性によるものだけとはいえないようです。というのは、猫にも好みがあり、粒の大きさや硬さ、清潔さなどであまり気に入らない場合は、「早くトイレから出たい」という心理が働くと考えられるからです。

トイレに入って用を足すとそそくさと出てきてしまうような場合は、トイレに対して不満を持っている可能性が高いと考えられます。いよいよそのトイレに我慢がならなくなると、猫はその不満を「トイレの外で用を足す」という行為で飼い主さんに伝えるようになります。

砂かけをしない場合に試してみたい対処法

基本的に、排泄物の片付けを含めたトイレの衛生管理は、100%飼い主さんの仕事です。そのため、猫に砂かけをさせるようにしつけをする必要はないと考えます。

ただし、猫がトイレに不満を持っていて、砂かけをせずにとっととトイレから出ているのであれば、問題は別です。すぐに猫にとって使い心地の良いトイレに改善しましょう。

第一の最優先事項は、こまめにトイレを掃除することです。猫も、汚れたトイレを使いたいとは思いません。多頭飼育の場合は特にです。少なくとも、朝と夕方の2回はトイレ掃除をし、定期的に猫砂を取り替えるようにすることが望ましいです。

また、猫砂の種類やトイレの大きさ、数、形状、そして設置場所を変えてみて、愛猫が最も好むトイレ環境を整えるようにしてみましょう。

まとめ

砂かけをする猫

猫と一緒に暮らしていると頻繁に目にするトイレでの砂かけ行動には、いくつかの説があることが分かりました。

中には、にわかには信じがたいようなものもありますが、猫の進化の過程では、さまざまな経験知も本能の中に刷り込まれていくのかもしれません。

また、トイレで砂かけをしない理由の中には、トイレ環境への不満が含まれている場合もあることが分かりました。

トイレは、好きか嫌いかは別として、毎日複数回使わなければならない場所です。環境を嫌うことが発端となり、排泄を我慢してしまうようになると病気につながります。

愛猫の健康のためにも、トイレ環境の整備には気を遣いたいものですね。

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