水を飲まない?猫ちゃんの飲水にまつわるあれこれ

水を飲まない?猫ちゃんの飲水にまつわるあれこれ

お家の猫ちゃんは水を飲んでいますか?水分を補給することは健康を維持するために欠かせません。病気や健康状態のサインともなる飲水量は、日々の健康チェック項目のひとつにもなり得ます。猫ちゃんの飲水について注目してみましょう。

普段の飲水管理できていますか?

水を飲む猫

日常生活の中で当たり前に行われている「水を飲む」ことですが、飼い主さんはどの程度把握できていますか?

水を飲むことは、体内の水分量を確保し、老廃物を尿として排出するためにも欠かせない大切なことです。飲水量や頻度の把握は病気の早期発見にもつながります。

飲水はなぜ大切?

生き物の体は約60%~80%が水分から成り立つと言われています。猫ちゃんの体の水分は約70%と言われています。

また、老廃物を排出することや、体の中の浸透圧と呼ばれる濃度の調節を行うために排尿は大切です。尿は水分と老廃物から構成されるため、水分は排尿においても大切な存在です。

これらの循環する水分は飲水からも確保されるため、生活の中でも大切な行動と言えます。

体重に応じた必要な飲水量の目安

適切な量の飲水を行い、適切な量の排尿を行うというバランスが大切です。

飲水量が少ないことに対して排尿量が多くなると脱水が起こる可能性があり、飲水量が増えている場合に、排尿量が適切でないと浮腫と呼ばれるむくみの原因になったり、循環が上手くいかないなど問題になり得ます。

1日の飲水量は体重1kgあたり約50mlが目安とされています。

例えば3㎏の体重の子であれば、150mlくらいが目安です。しかし、猫ちゃんによっては、性格などの個体差があり、あまり水を飲むことを好まない子もいます。

飲水量の把握の必要性

飲水量の把握がなぜ必要かというと、飲水量が健康状態に関与することや何か体に起こっている異常のサインであることも多い為です。

飲水量の変化に気づけたことで、大きな体調変化に至る前に病気に気付けることもあります。

例えば、腎臓疾患になると、尿を作り出す機能に異常が起こります。尿として水分を多く排出してしまうため、うすい尿をたくさんするので飲水量も増える傾向があります。

特に加齢とともに飲水量の変化が起こった場合、腎不全になりつつあったり、腎機能が低下している可能性が高いです。対策として腎臓への負担が軽減されている療法食への切り替えなどができると、致命的な状態に至る前に対策が取れる場合も多いです。

飲水量把握の方法

水を飲む猫

では、飲水量を把握すると言ってもどのようにしたらよいのでしょうか。じっと見ているだけでは、飲水量の把握は難しいでしょう。

決まった量を与える

猫ちゃんの場合、ステンレス製の食器や陶器で飲水を行う子も多いのではないでしょうか。

その場合は、計測を始める時間を決め、その子の体重に見合った量や食器に入る一定量の水を入れます。

24時間後に残った水の量を計測することでおおよその飲水量を把握できます。

蒸発による分などはある程度加味しなければなりませんが、飲水量の把握は厳密でなくても大体のものがわかれば問題ありません。注ぎ足しをする場合も同じ量に決めておくと計算が行いやすいでしょう。

ペットボトルでの給水を行う

ペットボトルでの給水も食器や陶器と同様です。ペットボトルがいっぱいになるように、もしくは決まった量を入れ、24時間後に残った量を計測します。

ペットボトルで飲水をできる猫ちゃんの場合は蒸発してしまわないため、より正確な飲水量に近いかもしれません。

飲水量に関連する猫ちゃんの病気

動物病院と猫

では飲水量を把握した方が良い病気はどのような病気があるのでしょうか。

腎不全

前述したように、猫ちゃんの加齢とともに気を付けなければならない病気が腎不全です。

腎機能が低下してくると、必要以上に尿として水分を排出してしまうため、尿量が増え、それを補おうと飲水量も増える傾向があります。

腎不全になると老廃物である血中の尿素窒素の値が上がってしまい、気持ち悪くなったり中毒症状を起こして、重症化した場合には死に至る可能性が高まります。

血液検査によって腎不全の傾向や、最近では腎臓のマーカーで早期に腎機能の低下に気づくことも出来ますが、併せて飲水量の変化や尿量の変化に気付けると、早期発見をできる可能性が高く安心です。

下部尿路疾患

膀胱炎や尿路結石症なども飲水量が関連します。

膀胱炎や尿中に結晶がある場合、尿中に含まれる細菌や結晶を排出して、より良い状態の尿を作り出して、膀胱環境や尿路の状態を少しでも改善させることが、症状の緩和や病気の治り具合に関連します。

結晶が尿中に出る子のごはんは、飲水を促して尿量を増やすような性質があります。

そのため、きちんと飲水が出来ているか、飲水量や飲水の頻度が増えて尿がしっかり出ているかということは症状の改善や治療が順調に進められているかということにも関連するため、飼い主さんも把握できると安心です。

飲水量を増やしたいときにどうしたらいい?

水を飲む猫

病気ではなくても、猫ちゃんは水をあまり飲まない傾向の子もいます。

体調や疾患の状態によっては脱水傾向になってしまったり、治療の経過があまり良好でなくなることもあるので、あまりにも飲水量が少ない場合には、飲水量を増やしてあげることをおすすめします。

ではどのようにしたらよいのでしょうか。

水飲み場の数を増やす

猫ちゃんたちは、こだわりを持っている子が多く、水飲み場の好みが個体によって違うことが多いです。

好みがわからない場合はステンレス食器、陶器、循環するタイプ、ペットボトル式などをいろいろな場所において、よく飲む場所を観察してみると、飲水をしてくれるタイプの容器が見つかるかもしれません。

また、水飲み場を人目につかない場所にしてみたり、気になる生活音が無い場所にしてみるなど、環境にも配慮してみることで、猫ちゃんが飲水しやすい環境にできる可能性があります。

スープを用いる

水分の補給は水でなければならないわけではありません。

味付けをすることは塩分や糖分の摂取過多になることもあるためにおすすめできませんが、鶏肉のだしや魚のだしで風味をつけるなどの工夫をすることで摂取を促す方法が有効な場合もあります。

ただし、脂質の多さなどで適さない原料や病気によってはこの方法が適さない場合もあるため、この方法が可能かどうかをかかりつけの先生に確認してみてください。

水分の多いフードを与える

水のみで与えることが難しくても、フードの中に含ませることで摂取が簡単になる場合もあります。

簡単な方法は、いつも与えているフードをお湯などでふやかして与える方法ですが、猫ちゃんによっては風味の変化で食べてくれない場合もあるかもしれません。

その場合は水分を多く含むウェットタイプのごはんへの切り替えなどを検討することも選択肢の一つです。

療法食を食べている猫ちゃんの場合、選択肢が狭まることもありますが、ウェットタイプの療法食も販売されているため、かかりつけの先生に食べている療法食のウェットタイプのものの有無を相談してみても良いでしょう。

まとめ

飲水は猫ちゃんの健康に大きく関連し、正常に行われているかどうかを飼い主さんが把握をして管理することは、病気の早期発見にもつながります。

特に猫ちゃんは、こだわりなどによって極端に水を飲まない子もいる場合があります。普段から健康時の飲水量を把握して、健康診断の際の数値などと照らし合わせ、体に大きく負担がかかっていないかを確認しておくと安心な場合もあります。

かかりつけの先生と相談しながら、適切な飲水量を確保して健康を維持できるようにできると安心ですね。

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