猫が喜ぶおもちゃは「猫じゃらし」
道端に見られるイネ科の一年草で、6〜9月頃に花穂をつける「エノコログサ」という植物があります。俗に、「猫じゃらし」と呼ばれている草です。この俗称は、猫がこの草でよく遊んでいたからつけられたといわれています。
このエノコログサによく似た形状の猫用のおもちゃがあります。その名も「猫じゃらし」です。昔はエノコログサそっくりな、棒の先に穂のような物がついている形状が主流でしたが、今は羽やネズミのぬいぐるみなどがついているなど、さまざまなものが売られています。
猫用のおもちゃは猫じゃらし以外にも沢山の種類が販売されていますが、やはり猫じゃらしは今でも愛猫家がよく購入するおもちゃの主流です。
「猫じゃらし」の上手な使い方
ではここからは、「猫じゃらし」の上手な使い方について解説します。
1.ストーリーを作る
猫のあそびは「狩りごっこ」、つまり狩りのシミュレーションです。猫じゃらしの役割は獲物役、飼い主さんの役割は、猫じゃらしを獲物として動かすための「黒子」です。猫を上手に遊ばせるためには、この大原則をしっかりと意識して遊ぶことが大切です。
その上で、愛猫の体力に合わせて10〜15分程度のストーリーを作り、猫じゃらしを上手に操りましょう。
まずは獲物の出現です。物陰に隠れていて、音を立てたり一瞬だけ姿を表したりして、猫に気付かせます。最初のうちはゆっくりとした動きをしていますが、猫に気付かれたら一目散に逃げ出します。
飼い主さんは、猫じゃらしを獲物のように動かしてください。獲物はネズミや小鳥、蛇、昆虫などです。そして最後は猫に捕まえさせて狩りを成功させ、満足感を与えましょう。
2.不規則で予想を裏切るような動き
愛猫が獲物に気付くまでは、物陰から出たり隠れたりする、ゆっくりと床を這わせている途中でピタッと止まるなど、動きに変化をつけて興味をひきつけます。
規則正しく動かしていると、次の動きを簡単に予測できるため、猫は食いついてきません。猫が「どうやって捕まえようか」と頭を使うように猫じゃらしを操りましょう。
3.追いつきそうで追いつかない
愛猫に見つかって逃げる時には、全速力で逃げましょう。遊び始める前に、障害となる家具類を片付けて、愛猫も飼い主さんもケガをしないような環境を整えておくと良いです。
愛猫は全速力で追いかけるはずですので、飼い主さんも全速力で逃げてください。
追いつきそうで追いつけない、ギリギリなスピードが理想です。体力的に自信がない飼い主さんは、釣り竿タイプの猫じゃらしだと大きく動かせるため、少し楽かもしれません。
4.レーザーポインターを使う
実態のある猫じゃらしではなく、猫を遊びに誘うきっかけとして「レーザーポインター」を使うこともできます。
ただしその場合は、注意すべきポイントがあります。
たとえ猫用のレーザーポインターだったとしても、愛猫の目に直接光を当てないようにすることと、最終的には実態のある猫じゃらしやけりぐるみなどを使い、成功体験による達成感を味あわせる必要があります。
5.途中でジャンプを入れる
逃げる時には、床を駆けるだけではなく、鳥や蝶のように飛び、高さも利用しましょう。
ジャンプさせたりキャットタワーに上らせたりすることで、運動量を増やせ、猫も夢中にさせられるでしょう。ただ飛び上がらせるのではなく、鳥が枝の先に止まって休んだり突然羽ばたいたりするように、捕まりそうで捕まらないような演出を心がけましょう。
猫の食いつきが良い猫じゃらしの形状
植物のエノコログサのように棒の先に穂がついたような棒タイプや、猫がひとり遊びできる据え置きタイプ、棒の先に紐がついていて、その先に羽やネズミのぬいぐるみなどの獲物がついている釣り竿タイプ、機械が羽を動かして猫をじゃらしてくれる電動タイプなど、さまざまな形状の猫じゃらしが製品化され、販売されています。
どの形状の猫じゃらしを好むかは、猫により異なります。そのため一概には言えないのですが、やはり猫にとって予想外の動きをする刺激的なおもちゃに対して、より食いつきが良くなるといえるでしょう。
そう考えると、最も原始的な形状ではありますが、飼い主さんが操る棒タイプや釣り竿タイプの猫じゃらしが、据え置きタイプや電動タイプよりも猫の食いつきが良いようです。
特に若くて遊び好きな猫には、より大きく変則的に動かせる釣り竿タイプの猫じゃらしが、あまり動きたがらない少し肥満気味の猫や体力が衰えてきている老猫には、振り幅の小さい棒タイプの猫じゃらしが向いています。
獲物の部分の形状については、穂のような形や羽、ネズミのぬいぐるみなど、より愛猫が好んで捕まえたがるものを選んであげましょう。
愛猫の好みを把握することが一番大切
どのタイプの猫じゃらしを好むのか、どのような獲物の見つけ方や追いかけ方を好むのかは、猫によって異なります。猫じゃらしをカーテンの裏に隠してちらつかせると目を輝かす猫もいれば、ソファの裏でゴソゴソ音を立てるとその気になる猫もいます。
床を駆け抜けて逃げる獲物を追いかけるのが好きな猫もいれば、ジャンプして前足で捕まえるのに夢中になる猫もいます。とにかく飼い主さんは、愛猫と一緒に遊びながらよく観察をし、愛猫の好みを把握することに努めましょう。
そして、愛猫の好みを遊びの中に上手に取り入れることが、最も愛猫を上手に遊ばせられる猫じゃらしの使い方につながるでしょう。
まとめ
猫は持久力がありませんし、集中力も長くは持続できません。そのため、1回の遊びはせいぜい10〜15分程度ということが多いと思います。
しかしその間は、全力投球で遊びます。くれぐれもケガをしないように環境を整え、また猫じゃらしの部品の誤飲等に注意を払いながら遊ばせましょう。