猫の身体能力
猫はとても優れた身体能力を持っています。自力で獲物を捕まえる必要のなくなった現在のイエネコたちにも狩猟欲求が残っており、ハンターとしての高い身体能力を退化させることなく受け継いでいるのです。
その能力は瞬発力の高さが特徴的ですが、持久力はあまりありません。それでも、全力疾走すると時速48kmで走ったという記録も残っているといわれています。
室内で暮らしている猫も、よく全力疾走をします。室内にいるわけですから、当然目の前に獲物がいたからという理由ではありません。それでも、猫が突然全力疾走する理由のほとんどが、狩猟欲求に基づいていると考えられています。
突然猫が全力疾走を始める行動のことを「夜の大運動会」と呼ぶことがありますが、これも夕方や明け方に狩りを行う猫たちの習性が残っているため、明け方の4時頃によく全力疾走を始めることが多いからだといえるでしょう。
しかし明け方の4時頃と言えば、ほとんどの飼い主さんは熟睡している時間帯であり、安眠妨害も甚だしい行動です。集合住宅の場合は、そのまま階下への騒音問題につながることもあります。
猫が全力疾走するシーンや心理状態を知った上で、ご近所トラブルも含めた注意点を意識しておくことが必要です。
猫が全力疾走するシーン
1.猫同士のじゃれ合い
多頭飼いの場合は、猫同士がじゃれ合っている内に次第に気持ちが高ぶっていき、お互いに全力疾走の追いかけっこが始まることが多いです。特にまだ若くて似たような年齢のオス猫同士の場合は、激しくなることが多いでしょう。
2.一人遊びの狩猟ごっこ
猫は頭が良いので、「ごっこ遊び」をすることができます。飼い主さんが操ったおもちゃを獲物に見立てて捕まえる遊びも、ごっこ遊びです。そのため、単頭飼いでも猫は頭の中で狩りの様子を想像しながらひとり遊びをすることがあります。
そのひとり狩りごっこの中で獲物を捕まえる際に、本気で全力疾走をすることがあります。飼い主さんから見ると突然のように見えますが、猫の頭の中では必然性があって全力疾走しているというわけです。
3.興味を惹かれるものを捕まえようとして
私たち人間には認識できなくても、ごく小さな虫やホコリ等が飛来しているのをみつけ、それを捕まえようとして全力疾走をすることがあります。また飼い主さんが就寝中の暗い室内では、窓から漏れる車のヘッドライトの動きに刺激されて走り出すこともあるかもしれません。
4.トイレでの排泄後
よく「トイレハイ」などと呼ばれることのある行為で、トイレで排泄をした後、排泄物の上に砂をかけて脱兎のごとく全力疾走をすることがあります。その理由は、無防備な姿勢での排泄が無事に終わったことで安心し、気持ちが高揚するからだともいわれていますが、真偽は分かりません。
5.身の危険を感じての逃走
例えば飼い主さんに尻尾の先を踏まれた、同居猫にちょっかいを出されたといった突然身に降り掛かった危険から回避するために、全力疾走してその場から逃げ出すこともあります。突然走り始めたというときは、愛猫がケガなどをしていないかを確認することも大切です。
安全確保やご近所トラブル軽減のための注意点
猫は持久力がないため、全力疾走をしたとしても、大抵は5分前後で終わることが多いです。しかしその内容はかなり激しいことが多いです。
猫の瞬発力や筋力はとても高く、自分の体高の数倍の高さまでジャンプすることもできるため、全力疾走するのは床だけとは限りません。壁や棚、冷蔵庫の上なども全力で駆け抜け、同居猫とは空中でクロスするなど、まるで映画のワンシーンのような光景が繰り広げられます。
そのため、不安定な家具を倒したり、棚の上の装飾品を落としたりと、物損被害が生じたり、猫自身がケガをすることもあるでしょう。寝室で走り回った場合は、眠っている飼い主さんのお腹の上に飛び乗るなど、飼い主さんもおちおち寝てはいられません。集合住宅の場合は、着地音が階下への騒音問題になるかもしれません。
こういった問題も含め、特に深夜の全力疾走は避けたいところです。そこで、下記のことに注意をすることをおすすめします。
なるべく夕飯の前に、おもちゃで一緒に狩りごっこをして遊び、狩猟欲求を満足させると共に、できるだけ体力を消耗させ、夜はしっかり眠らせるようにしましょう。
室内はできるだけスッキリとさせるようにして、不安定な家具や棚の上の装飾品もなるべく撤去するようにしましょう。
フローリングの床にはカーペットなどを敷いて滑り止めをすると共に、階下への防音対策を行いましょう。
どうしても飼い主さんが寝られない場合は、猫たちを寝室に入れないようにすると良いでしょう。
まとめ
我が家には同じ年のオス猫2匹と1歳年下のメス猫が1匹いましたが、オス猫同士がじゃれ合いながら室内を全力疾走したり、メス猫も含めて3匹が夜明けの4時頃に部屋中を全力疾走し、寝ている私のお腹にダイブするといったことがよくありました。
特に若くて元気が有り余っている時期は、激しかったものです。今思えば、もっと寝る前に猫じゃらしなどで遊ばせておけばよかったと反省しています。
猫が全力疾走している様子は見ていて惚れ惚れするような姿ですが、室内の安全対策や階下のお宅への騒音対策などはくれぐれも怠らないようにし、安全で安心して暮らせるように工夫してください。