猫が『ヤキモチ』をやいちゃう時って?3つのシーンとアフターケア法

猫が『ヤキモチ』をやいちゃう時って?3つのシーンとアフターケア法

猫と人間は異なる動物種なので、猫の行動を100%擬人化して考えるのは間違いの元です。しかし、猫は人間と似たような感情を抱くと考えられています。もちろん、論理的な思考や複雑な感情は持てないようですが、猫には人間の嫉妬に似た感情を持ち、ヤキモチをやくことがあるといわれています。猫がヤキモチをやくシーンやそのケア方法についてご紹介します。

猫の脳の構造

猫の脳

猫の脳の構造は、人の脳とほぼ同じです。そのため、1950年代には人間の脳研究の実験に、よく猫の脳が使われていました。ただし、人間の脳は言語機能や合理的思考、倫理性などに関与する大脳新皮質の比率が多いのですが、猫にはこの部分はあまりありません。

その代わりに、生存本能として重要な不安や恐怖を司ったり愛着形成に関与する扁桃体と記憶に関与する海馬とから成る、大脳辺縁系の比率が多いのが特徴です。そのため、『猫は論理的に考えたり高度な情報処理を行うのは苦手』といわれています。

しかし、本能に沿って湧いてくる「楽しい、興味を持つ、怒り、イライラ、恐怖、不安、食欲、繁殖欲、母性本能、愛着、眠い」というような豊かな感情を持っています。

人間の感情は「喜怒哀楽」という言葉でよく表されますが、猫には哀しみ(悲しい)の感情はないといわれています。悲しんでいると生きてはいけないからだというのです。その代わりに、猫は深い愛情を抱きます。日本の有名な動物学者である今泉忠明氏は、自身の著書の中で猫の感情を「喜怒愛楽」と表現していました。

猫がヤキモチをやくシーン

手から餌をもらう同居猫を見つめる猫

最近は猫の行動や感情に関する研究も進んでおり、人間の嫉妬に似たような感情が湧くことも分かっています。

それでは、猫がヤキモチをやく代表的なシーンをご紹介しましょう。

1.何かに熱中している

飼い主さんが家にいるにも関わらず、愛猫以外の何かに集中していることがあります。PCに向かって仕事をしている、本や新聞などを読んでいる、テレビを見ているなどです。

このような時、猫は飼い主さんの愛情が他のものに移ってしまったと不安になり、自分の方に注意を向けようとします。

そしてヤキモチの対象となるディスプレイや本、モニター等と飼い主さんの間に割って入り、飼い主さんの注意を強制的に自分に向けさせようとします。

2.飼い主さんが他の猫を可愛がる

飼い主さんが、自分以外の他の猫を特別にかわいがっていると感じると、その猫に対してヤキモチをやくようになります。特に、今まで単頭飼いで飼い主さんからの愛情を一身に受けていた猫が、新しく迎えられた猫に対して嫉妬するというケースが多く見られます。

また、これまでも多頭飼いだったものの、その中の1頭が病気になり継続的な看病が必要になった場合なども、自分への関心が薄れてしまい、飼い主さんの愛情がその猫に注がれるようになったと不安になり、ヤキモチをやくようになることがあります。

猫によってみせる行動はさまざまですが、飼い主さんに対してしきりに甘えるようになったり、元気がなくなってしまったり、相手の猫が飼い主さんからお世話をされている時に邪魔をしたりというような行動をみせることが多いようです。

3.新しい家族が増えた

飼い主さんに赤ちゃんが生まれた、独身だった飼い主さんが結婚をした、頻繁に恋人が家に来るようになったなど、家に人間の家族が増えた場合にも、その人に対してヤキモチをやくようになることがあります。

特に赤ちゃんや恋人など、飼い主さんがその人にかかりっきりになってしまうと、猫の不安は最高潮に。食欲がなくなり体調を崩してしまったり、ちょっとしたことにも怒りやすくなって攻撃的になってしまうこともあります。

ヤキモチをやいた猫に対するアフターケア法

撫でられる猫

人間の場合、「嫉妬」というのは基本的に自分と他者を比較し、自分よりも優れている相手に対して引け目を感じる、妬む、恨む、更に激しくなると憎んだり敵意を持ったりといった感情のことを指します。

しかし、大脳辺縁系の割合が高い猫は、このような意識的な感情はあまり抱きません。嫉妬といっても、飼い主さんとの愛情関係に変化が生じたために感じる不安から、人間の嫉妬に相当するような行動が見られるようになるのであろうと考えられます。

そのため、愛猫の嫉妬に気付いた飼い主さんは、愛猫に対する愛情がこれから先も今まで通り変わらないということを態度で示し、愛猫を安心させることが大切です。

例えば、新しい猫を迎えた場合は、常に先住猫を優先しましょう。すると先住猫は安心し、新しい猫も自分の立場を自然に受け入れるようになるでしょう。人間の家族が増えた場合も、愛猫を優先し、できるだけ頻繁に声をかけ、毎日のコミュニケーション時間を減らさないように配慮しましょう。

また在宅勤務などで仕事の邪魔をされたくない場合は、愛猫の体がすっぽり入る程度の小さな箱を飼い主さんのすぐ近くに置いておくのがおすすめです。猫はその箱の中に自ら進んで入り、安心して飼い主さんの様子を窺いながら、静かにうたた寝などをするようになるでしょう。

まとめ

仕事の邪魔をする猫

人間は、社会の中で大勢の人々に揉まれて仕事や勉強の成績等を競いながら生きていきます。そのため、常に自分と他者を比較し、ライバルを定め、より自分が優位な立場に立とうとする習性を持っています。嫉妬は、そのような状況をベースに生まれた感情だといえるでしょう。

しかし、猫の嫉妬は違います。他者と自分を比較することはありません。ただ、状況の変化により親のような存在である飼い主さんからの愛情が減ったことで不安になり、飼い主さんの愛情を取り戻そうとするのです。

つまり、猫にとっての嫉妬はあまり自らの向上を助けるような効果は持っておらず、単なるストレスであると考えて良いでしょう。そのため、愛猫が嫉妬の感情を抱いていることに気が付いた場合は、とにかく愛猫を安心させてあげることを優先しましょう。

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