危険から逃れるための反応
動物には感情があります。喜び、楽しさといったポジティブなものだけではなく、恐怖や不安、焦りといったネガティブな感情もある理由は、危険な状況から瞬時に逃れるための行動をとるためだといわれています。
そしてそれは猫も同じで、危険を感じると恐怖や不安、焦りといったネガティブな感情が湧き起こり、その感情に従ってとっさに身を守る行動に移ります。
猫が感じる危険と人間が感じる危険は、もちろん同じこともありますが、異なる場合もあるようです。それは、猫と人の五感の精度の違いから来るのかもしれません。
飼い主として愛猫を守るためにも、愛猫が危険を感じている時の仕草や行動を理解しておくことは大切なことでしょう。
猫が危険を感じている時の仕草・行動
今回は、猫が危険を感じている時の仕草や行動、そして対処する際の注意ポイントをご紹介します。
1.体を小さくして逃げる
警戒して相手を威嚇しようとする場合、猫は背中を山なりにした上で全身の毛を逆立てて、自分を大きく見せようとします。
逆に、自然災害や大きな音などに対して危険を感じた時には、体をできるだけ小さくし、腰を低くした状態で震え、その場からそろりそろりと逃げようとします。
2.狭い場所に身を潜める
普段から猫は、暗くて体がピッタリ収まる程度の狭い場所に隠れるのが好きです。そういう場所にいると落ち着くからです。
身の危険を感じている時も、猫は暗くて狭い場所に身を潜めようとします。地震で家具が倒れたり引き出しが飛び出してしまったような場合でも、奥へ奥へと入り込み、縮こまって身を潜めるでしょう。
3.走り回る
身の危険を感じ、恐怖や不安が最高潮に達すると、一心不乱に走り回ることも少なくありません。
周りの状況があまり目に入らずに家具にぶつかったり、走りながら失禁や脱糞してしまうこともあります。
4.外に飛び出す
身の危険を感じると、本能的にその場から逃げ出そうとします。もし窓が割れたり玄関のドアが空いていたりした場合、外に飛び出してしまうかもしれません。
自然災害の場合は、家を飛び出しても危険な状況が続くため、パニックになったまま遠くまで逃げてしまうかもしれません。万が一の場合に備えて、マイクロチップや迷子札を装着しておくと良いでしょう。
5.攻撃的になる
恐怖や不安が最高潮に達すると、攻撃的になる場合もあります。
飼い主さんが愛猫を心配して思わず抱き上げたりすると、パニック状態の猫は故意ではなくても、飼い主さんを傷つけてしまうかもしれませんので注意が必要です。
猫が危険を感じている時に注意すべきこと
前述の通り、危険を感じている時の猫は非常に怯えているために、攻撃的になることも多いです。パニック状態の愛猫に駆け寄り、いきなり抱き上げたり撫でたりしようとしないでください。抱きしめたり撫でたりするのは、愛猫が落ち着いてからにしましょう。
地震や台風というような自然災害の場合は、飼い主さんご自身も恐怖、不安、焦りを感じることでしょう。しかし、飼い主さんまでパニック状態に陥ると、猫はますます不安に陥ることになります。飼い主さんは落ち着いて冷静に行動することで、愛猫を安心させましょう。
猫は本能的に危険を感じている場所から逃げ出そうとするため、割れた窓などから外に飛び出してしまうこともあります。パニック状態の愛猫が安全な場所に行けるようにサポートするとともに、外に飛び出す可能性がある場所はすぐに塞いでしまうことも大切です。
留守番時に大きな地震などを体験すると、強烈な恐怖体験から留守番そのものを怖がるようになることもあります。だからといって留守番をさせないようにすることはできませんので、時間をかけて帰宅後のアフターケアを積み重ねていくしかありません。
まとめ
基本的に、猫は臆病な動物です。とても優秀なハンターであると同時に、自らも天敵に狙われる立場にいるからです。そして、単独で生活をするため、自分の身は自分で守らなければならないからです。
猫は人よりも発達した聴覚や嗅覚を持ってるため、人がさほど危険性を感じないような状況でも、敏感に危険を感じ取って恐怖感に襲われることもあります。
また、大きな地震や激しい台風の時に、猫だけでなく飼い主さんまでもが怖がってしまうと、愛猫の恐怖心は何倍にも増強させられてしまいます。
猫が危険を感じているときに見せる仕草や行動を察知したら、飼い主さんはとにかく落ち着いて冷静に対処することで愛猫を落ち着かせましょう。そして、猫が危険な場所に逃げ込んだり、見境なく走り回って怪我をしたりしないように、近くで暖かく見守りながら誘導してあげてください。
最終的に愛猫の気持ちが落ち着いたら、しっかりスキンシップを図って安心させてあげましょう。