猫が様子をうかがっている時の行動とは
家の中なのに誰かの視線を感じて周囲を見回してみたら、隣の部屋から愛猫がこちらをじっと見つめていた…などということはないでしょうか。猫にも個性があるので一概には言えませんが、あまりベタベタしない猫でも、飼い主さんのことをじっと見つめていることが多いものです。
動物行動学の研究の中でも、最近は猫に関する研究も進んできており、さまざまな実験が行われるようになり、猫の能力や心理についてもいろいろと解明されてきています。とくに、猫は人の表情をからその人の感情を理解することができ、その結果によって自分の行動を変えているということがわかってきました。
つまり、飼い主さんが楽しそうな表情をしていれば自分にとって良いことがあるだろうと思って近づいていき、怒った表情をしていれば「君子危うきに近寄らず」とばかりに近づかないという具合です。つまり、猫たちは常に飼い主さんの様子をうかがい、そこで得た結果によって自分の行動を決めているということがわかってきたのです。
では、猫が様子をうかがっている時の行動には、どのようなものが見られるのでしょうか。最近の研究結果などを参考に、猫が人の様子を伺っている時にはどのような行動をするのかを考えてみたいと思います。
1.少し離れた場所から見つめる
猫にも甘えん坊の子もいれば、あまり人慣れしていない子もいます。しかし、四六時中ベッタリと飼い主さんのそばを離れないという猫は少ないでしょう。大抵は、飼い主さんとの間に適度な距離をとり、付かず離れずの位置にいます。
とはいえ、猫が身を隠しているのではない限り、猫の視界の中には大抵飼い主さんがいるはずです。そうやって、飼い主さんから少し離れた場所からひっそりと観察しているのです。
なんとなく視線を感じてあたりを見回したら愛猫と目があったという場合は、大抵こういうときなのではないでしょうか。
2.高い場所から見下ろす
猫は高い場所でくつろいでいることが多いです。高い場所は、猫にとって自分の縄張りを見渡せる場所だからだと考えられています。
くつろいでいるときの猫は、目を細めて静かにじっとしていますので、ときには眠っているように見えるかもしれません。しかし、猫が熟睡するのはごく短い時間のみで、大抵の場合はうつらうつらしているような状態なのです。
このように、高い場所からゆったりとくつろぎながら飼い主さんの様子を観察していることも多いようです。
3.物陰から見つめる
猫がドアの隙間、壁やカーテンの向こう側から顔だけを出してこちら側の様子をうかがっていることがありませんか。その光景は、テレビのサスペンスドラマさながらに見えるかもしれません。実はこれも、愛猫が飼い主さんの様子をうかがっているときの行動の一つだと考えられます。
猫は元々身を隠して獲物を待ち伏せするタイプの狩りをしますので、飼い主さんの様子をうかがう時にも、身を隠せるような場所だと安心できるのかもしれません。
4.そばに近寄り顔を見上げる
飼い主さんがどうもネガティブな気持ちでいるらしいが、かといって怒っているわけではないらしい…。そんな時には、飼い主さんのそばに近寄ってきて、体をこすりつけたり顔を覗き込んだりしながら、より深く飼い主さんの気持ちを読み取ろうとすることもあるようです。
そんな時に、もし涙ぐんでいたりしたら、そっと涙を舐めてくれることもあるでしょう。そんな愛猫の行動に、「愛猫が慰めに来てくれた」と思う飼い主さんも多いようです。
まとめ
最近の研究では、猫も犬と同様に、飼い主さんに限らず知らない人の表情も読み取れるということが分かってきました。ただし、猫は知らない人の顔色を読めるにも関わらず、知らない人の感情には関心を抱かないようだ、ということも分かってきました。
つまり、猫が飼い主さんの様子をうかがっている行動は、飼い主さんに強い関心を寄せている証拠だと考えてもよいのではないでしょうか。
ですから、もし愛猫が飼い主さんのことをそっと観察していることに気付いても、決して愛猫を驚かしたりしないであげてください。飼い主の様子をうかがうのも、愛猫からの愛情表現の一つだと考え、優しく受け止めてあげましょう。